喜ばれる 中元・歳暮の贈り方 冠婚葬祭事典②

冠婚葬祭ガイドブックアイキャッチ 贈り物のマナー編

目次 Contents

贈る側のマナー

贈り物は自分本位にならず相手の立場で選ぶ

贈り物は、お祝いや日ごろの感謝の気持ちなどを、品物に託して伝えるもの。贈り物を選ぶには、相手の好みやライフスタイルを考慮することがたいせつです。どんなに素敵な置物でも、相手の趣味に合わなければ喜んではもらえません。また、何のために贈るのか、目的も考えて贈り物を選びましょう。

配送にする場合は送り状を出す

贈り物は本来、持参するのが正式なマナーです。配送を頼む場合は、贈り物の目的と到着日を記した送り状を出すようにしましょう。
送り状は品物より数日前に届くのがベスト。親しい間がらなら、品物のなかに送り状を同封したり、電話で伝えてもかまいません。

[贈答にふさわしくない品物]

贈る目的によっては縁起が悪いと思われるので、品物を選ぶときは注意しましょう。

刃物 「切る=縁を切る」を連想させることから、結婚祝いにはNG。
電気ストーブ、キャンドル、ライター 「火」を連想させることから、新築祝いや転居祝いにはNG。
鉢植え 「根つく=寝つく」を連想させることから、病気見舞いにはNG。

[贈る時期]

時期を逃さずに。贈答品季節のごあいさつは、には、時期に応じた のしをつけましょう。

お中元 7月上旬~7月15日ごろ(関西では8月上旬~8月15日ごろ)
暑中見舞い 7月7日ごろ~立秋(8月8日ごろ)
残暑見舞い 立秋(8月8日ごろ)~8月末日
お歳暮 12月上旬~12月20日ごろ
お年賀 1月2日~松の内(1月7日)
寒中見舞い 松の内の翌日~立春

 


いただく側のマナー

お礼のことばはすぐに伝える

贈り物が宅配便などで届いたら、遅くとも2~3日中にはお礼を伝えます。親しい間がらなら電話、目上の方にはあらためてお礼状を出すのがマナーです。

贈りものありがとう贈り物を手渡されたときは、まずはお礼を言って、品物を受け取ります。正式にはその場で開封するのは失礼になりますが、親しい間がらならその場で開けて、喜びを表してもいいでしょう。

贈り物のお返しは3分の1から半額程度

出産祝いや病気見舞い、香典などをいただいたときには、それぞれ内祝い、快気祝い、香典返しなどのお返しをします。
お返しは、3分のIから半額程度の金額を目安にするのが一般的。贈り物をいただいてから、10日から1か月のうちに、なるべく早めに届けるようにします。
一方、贈り物のなかには、お中元やお歳暮などのように、お返しが不要なものもあります。災害見舞いのような非常時の見舞いにも、お返しは必要ありません。その場合も、お礼は必ず伝えるようにしましょう。


お中元、お歳暮を贈る

お世話になっている人に時期を逃さずふさわしいものを

お中元とお歳暮は、日ごろ会えない人やいつもお世話になっている人に感謝を込めて贈るものです。贈る相手は、会社の上司や仲人、親族、習いごとの先生が一般的です。別居している場合は、両親に贈ることもあります。
贈る時期は、お中元なら7月上旬から15日ごろ、お歳暮なら12月上旬から20日ごろまでに贈るのが一般的。時期を逃してしまったときは、のしの表書きを「暑中御見舞」「御年賀」などと変え、ふさわしい時期に贈ります。

贈り物は相手にふさわしいものを予算は3000~5000円が一般的。相手の好みや家族構成を考えて、喜ばれる品を選びます。

配送するときは別便であいさつ状を出す

本来は持参するのが正式ですが、近年ではデパートなどから配送するのが主流です。ただし、品物とは別にあいさつ状を送るのがマナー。品物より前にあいさつ状が届くのがベストですが、同時に送ってもかまいません。

やめるときは、時間をかけて引く

お中元やお歳暮をやめたいときは、できるだけ角が立たないように少しずつ引いていくのが賢い方法です。まずお中元を省略してお歳暮のみ贈るようにし、それもやめるときは、季節のあいさつ状だけにします。

 



お年賀、お年玉を贈る

年始のごあいさつに手みやげ程度の品物を

年の始めに親せきや仲人、上司、習いごとの先生などの家をたずねてごあいさつをするのが、年始回りです。元日を避けた2日から松の内の7日まで、午前10時から日中の間、事前に先方のつごうを聞き、時間を約束してうかがいます。
年始回りには、お年賀の品として、手みやげを持参します。金額の目安は1000~3000円で、菓子類や果物、タオル、お茶などが一般的です。カジュアルすぎる服装は避け、年始のあわただしい時期なので、玄関先であいさつをすませたら、早めに失礼します。上がるように勧められても丁重に断り、強く引き止められた場合も長居はしないこと。また、お年玉の心配をさせないよう、子どもは連れて行かないほうがよいでしょう。

お年玉は年齢に応じた金額を贈る

お正月の間(松の内)に会った親せきや親しい人の子どもに贈るのがお年玉です。
お年玉の金額は、子どもの年齢に応じて決めましょう。親せきや親しい人の間で、あらかじめ決まりをつくっておくと安心です。
お年玉は元来、目下の大に与えるもの。目上の方の子どもにお年玉を渡すのは失礼になることもあるので、表書きを「御年賀」として、図書カードなどを贈りましょう。

[お年玉の金額の目安]
ひと月のおこづかい程度の額が目安になります。小さい子には、絵本やおもちゃを贈っても。

小学校入学前 1,000円
小学校低学年 3,000円
小学校高学年 3,000円
中学生 5,000円
高校生 5,000円~1万円
大学生 1万円

 

 


病気見舞いを贈る

見舞い品は気晴らしになるものを選ぶ

退屈で気がめいりがちな入院生活では、花や果物などの定番品のほか、気晴らしになるような本やCDが喜ばれます。文字の多い本は疲れてしまうので、楽しい写真集や気軽に読める漫画などがおすすめ。親しい間がらなら、入院生活で役立つパジャマなどの実用品を贈ってもよいでしょう。
一般的には、見舞い金を包んで贈りますが、このときは水引をかけず、のしもつけないじみな包みかたにします。

病気見舞い

見るだけで楽しめる写真集や気軽に読める漫画などがおすすめ。手入れの簡単なフラワーアレンジメントも、病室の雰囲気を明るくします。

お見舞いのタイミングは相手のつごうに合わせて

知人が入院したときは、すぐにでも駆けつけたくなってしまいがちですが、相手の迷惑になることも。入院直後や手術前後は直接見舞いに行くのは避け、ひとりか小人数で、家族に問い合わせてから行きましょう。

お返しの快気祝いは折を見て早めに贈る

退院後には快気祝いとして、お見舞いのお返しを贈ります。お見舞いへのお礼の手紙を添えて、お菓子や調味料、のりなどの食べ物を贈るのが一般的。お見舞いの品の3分の1から半額程度の品物を選びましょう。表書きは、「快気祝」「内祝」とします。
退院はしたものの快気とはいえない場合は退院祝いとして、お返しを贈ります。

 


災害見舞いを贈る

駆けつけて手伝うのが何よりのお見舞い

火事や水害、大地震などの災害に知人がみまわれた場合、近くであれば、すぐに駆けつけて手伝いを申し出ます。動きやすい服装で、食料、飲料水、タオル、軍手などを持参します。現地では、詳しい事情はせんさくせずに、てきぱきと働くことがたいせつです。
大地震などの広範囲に渡る災害では、電話、交通網が混乱します。事態を冷静に判断し、復旧のじゃまにならない配慮が必要です。

現金や日用品などすぐに役立つものを贈る

災害直後は、おにぎりなどの食料品、生活用品、替えの衣類、現金など、すぐに役立つものが重宝されます。
災害時には、目上の方にお金を包んでも失礼ではありません。知人どうしで、まとまった金額を贈るのもよいでしょう。

[届けたい品]

家財を失った人に必要なものは、現金、品物、労力の三つ。本人に直接聞いて、そのとき本当に必要としているものを届けましょう。

  • 応急処置セット
    応急処置セット
    ちょっとしたケガや体調不良時に役立ちます。
  • 衣服や毛布
    衣類・毛布
    衣類は清潔なものを。毛布は何枚あっても重宝します。
  • 食料品
    非常用食料
    すぐに食べられるものと保存のきくものを用意します。
  • 現金
    災害見舞い
    お金は万能の道具です。金額の大小は問いません。

 


陣中見舞いを贈る

頑張っている人を励まして景気づけるものを

職場やスポーツの合宿、芝居のけいこ場など、頑張っている人が集まる場所に、激励の気持ちを込めて贈るのが陣中見舞いです。相手を励まし、景気づけをする意味があります。
人が詰めている場には、軽食やつまみ、お菓子、飲み物などの食料品を差し入れるのが一般的です。集まっている人たちの顔ぶれを考え、喜ばれそうなものを選びましょう。チョコレートなどの甘いものは、疲労回復にも役立ちます。また、選挙事務所への見舞い品は、その場が華やぐような鉢植えなどもおすすめです。
陣中見舞いは、仕事や練習に一所懸命になっている人たちを応援するものなので、余計な手間をかけさせないこともたいせつです。出演者や関係者がその場でいただけるように、お葉子なら個包装されているもの、果物ならすぐに食べられるものか、カットされたものを選びます。おしぼりや紙皿、フォークなどを添えると親切でしょう。
贈る相手がおおぜいの場合は、事前に人数を把握して全員に行き渡るように、数や量に余裕をもって贈りましょう。

持参する場合は相手のつごうを聞いてから

多忙な時間に訪問しては失礼なので、持参する時間などは、相手とあらかじめ相談して決めます。それでも相手に急な予定が入ってしまった場合は、直接渡さず受付に預けるなど、相手に気をつかわせないのもマナーです。
直接渡せた場合も、激励のことばを添えてあいさつをしたら、じゃまにならないように長居は避けましょう。

 


花を贈るときのマナー

花は贈り物に迷ったときの便利なアイテム

贈り物に迷ったとき、花はとても便利なアイテム。見た目にも美しく、周囲の空気を華やかにしてくれます。開店祝いや発表会のお祝いなどにはもちろん、友人宅への手みやげや記念日のお祝い、ちょっとしたお礼にも使えます。500円ぐらいのミニブーケから数万円もするものまで、選択の幅も広いので、目的に合わせて使い分けましょう。
ただし、花を贈るときは相手の状況を考慮します。外出先で直接渡すなら、もち歩いてじゃまにならない大きさのものにし、重い鉢植えなどは生花店に配送を頼みましょう。
生花店に配送を頼む場合は、相手のつごうを聞いてから配送日時を決めます。相手の不在時に花を贈ってしまうと、せっかくの花を傷めてしまいかねないので注意が必要です。
花の手入れが得意な人には鉢植えも喜ばれますが、人によっては負担となることがあります。そんなときは、手入れの簡単なアレンジメントを選ぶとよいでしょう。また、「根つく=寝つく」を連想させる鉢植えは縁起が悪いといわれ、病気見舞いにはタブーとされているので、気をつけましょう。

[病気見舞いに不向きな花]

鉢植え以外にも「縁起が悪い」などの理由で避けたほうがよい花があります。

百合 香りが強く、花粉が周囲を汚すこともあります。
葬儀を連想して嫌う人がいるので、避けます。
芥子(けし) 花びらが散つてまわりを汚すため、手入れが大変なので避けます。
椿 花がぽとりと落ちることから、不吉だと嫌う人もあるので要注意。
紫陽花(あじさい) 色があせていくので、不吉な印象を与え
ます。
シクラメン 「死」「苦」を連想させます。

 


みやげ、退院時のお礼を渡す

旅行先から生鮮食品を送るときは事前に連絡を

旅先からのみやげとして地方の特産品を送るときは、相手のつごうを聞いてからにします。特に生鮮食品を送るときは、相手が不在だと鮮度が落ちてしまいます。必ず先方の予定を聞いてから、配達日時を指定して送るようにしましょう。また旬の生鮮食品でも、家族が少ないと、食べきれずに困ってしまうこともあるので人数も考厄しましょう。
旅先のみやげとしてポピュラーな置物や民芸品は、相手の趣味がわかるような親しい間がらを除いては、避けたほうが無難です。趣味に合わないと、贈られたほうは扱いに困ってしまいます。自分が気に入ったという理由だけで、みやげを選ぶのはやめましょう。
旅行みやげで迷ったときには、食べてなくなる食料品を選んだほうが安心です。

退院時の病院へのお礼は皆でいただけるものを

退院するときに、それまでお世話になった医師や看護師に、特別にお礼をしたいこともあるでしょう。最近は、病院側でお礼をいっさい受け取らないところが増えていますが、それでも何かを贈りたいときは、お菓子や飲み物など、休憩のときに皆で分けられるものをそっと贈るようにします。お菓子の場合、生菓子より、個包装された、日もちがするものがおすすめ。
看護師個人にお礼をしたい場合は、ハンカチやタオルなどの小物を、周囲の目のないところでそっと渡すようにします。現金や、商品券など換金性のあるものは避けましょう。
いずれの場合も、相手から受け取りを断られたときは、無理強いせずに、速やかにもち帰るのがマナーです。

 



ふろしきのマナー

贈り物を直接手渡すときはふろしきに包んで持参

直接出向いて贈り物を手渡すときは、ふろしきに包んで持参するのが正式なマナー。渡すときは、ひと言簡単なあいさつを添えると、ていねいな印象になります。
贈り物は、部屋に通されてあいさつをすませた後、ふろしきから出して渡します。ふろしきの解きかたは、包んだときと反対の手順で行います。ふろしきを解ききったら品物をもち上げ、まず自分の正面に置き、ふろしきを手早く正方形に畳んで横に置きます。それから品物を両手でもって、のし紙が相手から読める向きになるように時計回りにゆっくりと回し、品物を相手の正面に向けたら、あらためて礼をして両手で渡します。
いつでも落ち着いてスムーズに行えるように、繰り返し練習しておくとよいでしょう。

ふろしきのマナー品物を取り出したら、ふろしきを手早<畳むのがポイントです。

紫のふろしきは慶弔どちらでも使える

ふろしきの色は、慶事では赤やピンクなどの明るい色、弔事ではグレーや青などのじみな色を使います。高貴な色である紫は慶弔どちらにも使えるうえ、あらたまった席にも利用できるので、1辺が70~90センチの上質な紫のふろしきを1枚もっておくと便利です。
1辺が45センチくらいのものは、ふくさの代わりとしても使えます。

 


ふろしきの包みかた

ふろしきの柄が、きれいに見えるように包みます。あらたまった席には、フォーマルな平包み、普段には安定性が高くてもち運びやすいお使い包みがおすすめです。中身の形やシーンによって使い分けましょう。

[平包みの包みかた]

  1. 品物を中央に置き。手前からふろし
    きをかぷせます。
    ふろしきの包み方1
  2. 左端、右端の順にかぷせて、角をきれいに整えます。
    ふろしきの包み方2
  3. 向こう側の端をもち上げてかぶせ、左右の端を軽く両側に引きます。
    ふろしきの包み方3

[お使い包みの包みかた]

  1. 中央に品物を置き、手前側からふろしきをかぶせ、かぶせた端は品物の下に折り込みます。
    ふろしきの包み方4
  2. 向こう側の端をもち上げて全体をくるみ、先端は下に折り込みます。
    ふろしきの包み方5
  3. 角を整えながら、左右の端を結びます。縦結びにならないように2回結びます。
    ふろしきの包み方6

贈り物のマナーQ&A

Q 喪中の人にお中元やお歳暮を贈ってもかまわない?

A 差し支えはありませんが、時期をずらすなどの配慮をします
お中元やお歳暮は祝いごとではないので贈つてかまいません。ただし紅白の水引はつけず、普通の包装紙で贈ります。また、
贈る時期は、四十九日を過ぎてからにします。

Q「お年賀」に対するお返しは何を用意すればいい?

A 基本的には不要。おせち料理などで、もてなしましょう
お年賀や子どもにもらったお年玉に対するお返しは、基本的には不要です。おせち料理やおとそなどでもてなし、いっしょに新年を祝うことがお礼になります。気になる場合は、帰りにおみやげとしてお菓子などを渡してもよいでしょう。

Q 病気見舞いに食べ物を差し入れてもいいの?

A 食事制限に障ることもあるので、事前に家族に確認しましよう
病気によっては、加療中に厳しい食事制限があります。食べ物の差し入れは、事前に相手の家族に確認をしたほうがよいでしょう。食べ物を差し入れてもよいときは、入院中は食欲がわかないこともあるので、日もちのする食品や、量より質を重視した品を選ぶなどの配慮をします。

Q 届いた品物が不良品だったら相手に知らせるべき?

A すぐに販売店に連絡します
送っていただいた品物が不良品だった、ジュースの瓶が割れていたなど、届いた品物に不備があるときは、まず販売店に連絡して対応を求めるようにします。明らかに宅配中に壊れてしまったような場合は、配送業者に連絡をします。贈り主に直接知らせるのではなく、まずは販売店や配送業者に問い合わせましょう。

贈り物が破損贈り物が破損していたら、まずは販売店に連絡を入れます。

 

 

 

 

 


冠婚葬祭早引き事典シリーズ

① 教えて 祝儀袋の表書き
② 喜ばれる 中元・歳暮の贈り方
③ バッチリ決める!訪問のマナー
④ 大切なお客様の おもてなし
⑤ おいしくいただくテーブルマナー
⑥ 『手紙の書き方』これで解決!
⑦ これで安心!結婚式に招待されたら!
⑧ 仲人を頼まれたら
⑨ 婚約・結納のしきたり
⑩ 結婚披露宴のプランニング
⑪ 結婚式挙式のプランニング
⑫ 出産から成人まで!わが子のお祝いごと
⑬ 大切にしたい人生の記念日・お祝いごと
⑭ 暮らしの歳時記
⑮ お葬式参列のしきたり
⑯ ご臨終!突然「遺族」になったら
⑰ 仏式のお通夜・お葬式
⑱ 神式・キリスト教式のお葬式
⑲ 終活・生前にしておきたいこと
⑳ お葬式 Q&A よくあるご質問
㉑ お葬式が終わってからのこと
㉒ お墓と納骨のこと
㉓ 四十九日・年忌法要の行い方

 

 

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