目次 Contents
事務の引き継ぎ
なるべく早く事務を引き継ぐ
葬儀が終了したら、世話役にまかせていた事務を、できれば当日、または翌日くらいまでに引き継ぎます。
受け取るものは、会葬者芳名録、香典、香典帳、供物(くもつ)記帳簿、弔辞(ちょうじ)、弔電、会計書類などです。受け取る際には、きちんと内容を確認しましょう。また、世話役に前もって預けておいた現金の収支を確認し、立てかえ金などがあれば精算をします。
香典は金額を確認して引き継ぐ
香典の引き継ぎは、特に慎重に行いましょう。ときどき、香典袋にお金が入っていないことや、香典袋に書かれた金額と中身が異なることがあります。受付を務める場合は、香典を受け取ったらすぐに中身を確かめ、不具合があったら、すぐに相手にその旨を伝えましょう。そして、引き継ぐときは必ず、合計金額を確認したうえで渡すようにします。
引き継ぐもの
- 会葬者芳名録
- 香典
- 香典帳
- 供物記帳簿
- 弔辞
- 弔電
- 会計書類
- 残金
ファイル式葬儀記録
最近では、カード形の芳名録や供物記帳簿などをまとめられるファイル形式のものが、よく利用されています。
芳名録と香典帳
葬儀後は世話役から芳名録や香典帳などを受け取り、まかせていた事務をすべて引き継ぎます。
メモ 世話役は精進落としが終わるころに引き継ぎする
世話役は、精進落としが終わるまでに事務を片づけ、喪主や遺族に引き継ぎができるようにします。整理しておきたいのは次の通りです。
- 芳名帳や供物帳
- 受付の備品
- 香典の収支
- 葬儀中に現金で支払ったものの領収書
- 弔辞、弔電
各係の片づけをまとめ、遺族に世話役代表が最終的に引き継ぐのがよいでしょう。
葬儀後の支払
葬儀社からの請求書はよく確認して精算する
葬儀社や仕出屋などからの請求書は、葬儀の1~2日後に届きます。見積書と明細書を照らし合わせ、内容をしっかりチェックし、不明点があれば、業者に確認するようにします。見積もりより金額が安い場合は、葬儀社が手配した別の業者から請求書が来る可能性もあります。見積もりより請求金額が低い場合でも、見積もりの金額と大きく異なっている場合は注意するようにしましょう。
金額に問題がなければ、早めに支払いをすませます。支払い内容は正確に記録し、領収書もたいせつに保管しておきましょう。
当日に渡したほうがよい心付け
通夜や葬儀に出仕していただいた僧侶には、当日、「お車代」や「御膳料」を渡します。仕出屋に食器などを借りた場合なども心付けを包みます。また、任意ではありますが、葬儀社の担当者に心付けを包む場合もあります。
世話役への心付けも、後日渡すのが正式ですが、当日のほうが機会を逃しません。
不祝儀袋は、おおげさにならないものを選びます。
医療費の支払必ずすませる
葬儀の前後は、支払う先もさまざまです。医師に死亡診断に来てもらった場合や、病院への医療費の未払いがあれば、忘れずに支払いましょう。医師や看護師へ謝礼は不要です。
メモ 葬儀費用の領収書はしっかり保管
葬儀社、仕出屋、酒店などへの支払のみならず、タクシー代、僧侶への御布施や宗教者のお礼など、葬儀にかかる費用は相続税の控除対象になります。
支払いは正確に記録し、領収書もたいせつに保管しておきましょう。宗教者へのお礼も領収書が必要な場合は申し出ます。失礼にはなりません。
気をつけよう!少額の立てかえにも配慮を忘れずに
葬儀当日、世話役や手伝いの人が飲食代やタクシー代などを立てかえてくれている場合があります。少額で領収書がないものでも、必ず遺族が声をか
けて精算するようにします。
葬儀のお礼
寺院、神社、教会への謝礼はまとめて包む
寺院や神社、教会への謝礼は、葬儀が終わったら、当日、または翌日くらいにあいさつに出向き、渡すようにします。
謝礼の金額は規定があればそれにしたがいます。規定がない場合は、関係者や世話役と相談して決めるとよいでしょう。謝礼は、水引なしの奉書紙で包むか、白封筒に入れます。表書きは、寺院の場合は「御布施」とします。ただし当日の「お車代」や「御膳料」はそのつど渡しましょう。
神社の場合は、神職に謝礼を包み「御祭祀料」や「御礼」「御神饌料」、教会への謝礼は「献金」と表書きをします。
いずれの場合も、葬儀の謝礼は相続税控除の対象となるので、必ず領収書を受け取るようにします。
お世話になった方へも相応のお礼をする
葬儀委員長や世話役で特にお世話になった方へは、心付けや品物を贈ることが多いようです。品物は実用的なものでかまいません。
また、日ごろ親しくしている人が手伝ってくれた場合は、不祝儀袋か白封筒を使って「寸志」と表書きし、心付けを渡します。目上の方には「御礼」とします。
[お世話になった方へのお礼] お礼の金額と表書き
お礼の品物と表書き
|
葬儀のお礼の包みかた
お礼の表書きは宗教者により異なる
宗教関係者へのお礼の表書きは、宗教により異なります。
[宗教関係者への葬儀のお礼の表書き]
- 寺院へ
「御布施」とし、葬儀後に渡します。 - 神社へ
神職に「御祭祀料」「御礼」「御神饌料」などとして渡します。 - 教会へ
教会への謝礼は献金という形をとり、「献金」と表書きします。また、お世話になった神父、牧師とオルガン奏者には「御礼」として渡します。
[奉書紙を使った中包みの折りかた]
- お札の表を上にして、①のように折ります。
- お札の大きさに合わて左右を②③のように折ります。
- お札の大きさに合わせて上を④のように折り、あまった部分は裏に折ります。
- 表側は三角が左下(弔事用)になるようにして表書きします。
あいさつ回り
あいさつ回りは初七日までにすませる
葬儀でお世話になった方には、寺院なら当日または翌日、そのほかの方には初七日までの間に、お礼のあいさつに出向きます。その際は、喪主自身が行くのが礼儀です。あいさつに出向く先は、寺院、故人の上司や恩人、葬儀の世話役代表や世話役などが基本です。
葬儀の手伝いや借り物などでお世話になった近隣の家へのあいさつ回りは、葬儀の翌日か翌々日に行いましょう。この場合は、喪主ではなく、遺族が行ってもかまいません。
一般的にあいさつ回りの際、葬儀でお世話になった方以外へは品物を持参するのは控え、葬儀が無事に終えられたことへの感謝を伝えるだけにとどめます。服装は、喪服かじみな外出着にします。先方には事前に連絡をして、つごうを聞いてから出向きましょう。
勤務先へ訪問するときは事前に連絡を入れる
在職中に亡くなった場合は、勤務先にも早めにあいさつに行きます。人事課などに事前に連絡をし、事務手続きを同時にすませるとよいでしょう。このとき、手続きに必要な書類や印鑑などを持参します。また、社員証や身分証明書などがあれば返却し、故人の私物を整理して持ち帰ります。
[お礼のあいさつの例] 目上の方に お忙しいなかをご会葬くださいまして本当にありがとうございました。○○様にお越しいただき、故人もさぞ喜んでいることと存じます。 世話役や隣近所に 葬儀ではたいへんお世話になり、ありがとうございました。おかげさまで無事に葬儀をすませることができました。遺族一同、感謝しております。 |
メモ 供花、弔電のお礼は礼状で
香典や供花(きょうか)をいただいた方には礼状を出します。文面の構成は、
- 香典や供花を贈っていただいたことへのお礼
- 葬式が滞りなく終了したことの感謝の気持ち
- 故人に対する厚誼へのお礼
- 書面による通知であることのお詫び
などです。また、通夜や葬儀に参列してくれた人には、会葬礼状を送るようにします。
香典返し
香典返しは忌明け後に贈るが最近は「即日返し」も
香典は本来、葬儀にかかる遺族の負担を互いに扶助するという意味をもつものなので、返礼は絶対に必要というわけではありません。
しかし、習慣として定着しています。
香典返しをする場合、仏式では四十九日の忌明け後に贈るのが一般的ですが、最近では、葬儀の当日に香典返しを渡す「即日返し」も増えてきています。
香典返しは香典の「3分返し」か「半返し」
香典返しは、「3分(3分の1)返し」または「半(半額)返し」といわれ、香典の3分の1から半額程度の金額の品物が目安となります。品物は、タオルや石けんなどの実用品のほか、カタログを贈って選んでもらう香典返しも定着しています。香典返しは仏式の場合、「志」と表書きし、品物には必ずあいさつ状を添えます。
一家の生計を支えていた人が亡くなった場合は、香典返しはせず、香典をそのまま遺族の生活費や教育費に当ててもかまいません。
また、故人の遺志や遺族の希望で、香典を社会福祉施設や団体などに寄付することもあります。
いずれの場合も、香典返しをしない理由をしたためた、あいさつ状を送るのが礼儀です。
メモ 神式、キリスト教式の香典返し
香典返しは忌明けに贈るため、宗教により異なってきます。
- 神式
神式では、一般的に五十日祭が忌明けにあたり、このころに品物とあいさつ状を贈ります。表書きは、「志」または「偲草」とします。 - キリスト教式
キリスト教では忌明けの感覚はありませんが、死後1か月目の命日に合わせて品物を贈るケースも多くなっています。表書きは「記念品」とします。
香典返しに添えるあいさつ状
最近は定型の書式を使うのが一般的
あいさつ状は、奉書紙に薄墨で手書きするのが正式ですが、最近では、デパートなどで用意されている定型の文面を使うことが多いようです。黒か灰色の枠がついたはがきか礼状に、故人の氏名や戒名、喪主の氏名などを入れて印刷します。
[香典返しに添える仏式あいさつ状の文例] 句読点は使わない古典的な文章にします。あいさつ状の基本構成は次の通りです。
[香典を寄付した場合のあいさつ状の文例] 故人の遺志や遺族の希望で、香典を基金や社会福祉施設などに寄付した場合は、その旨を明記します。 |
名義変更の手続き
故人名義の契約は名義変更が必要
故人の名義で契約していたものは名義変更が必要です。特に世帯主の変更や公共料金などの名義変更は、葬儀後なるべく早めに行わなければいけません。下の表のように、死亡後速やかに行うものと、相続確定後に行うものがあります。必要となる書類や手続きのしかたは、個々のケースにより異なるので、申請窓口で確認するようにしましょう。
故人が世帯主の場合は、死後14日以内に住民票のある役場に「世帯主変更届」を提出します。また、電気、ガス、水道、電話などの名義変更も忘れずに行いましょう。
不動産や預貯金、株式、自動車などは、故人の死亡直後から相続人の共有財産となるため、相続が確定してからでないと名義変更はできません。
[名義変更の手続き] それぞれのヶ-スにより、添付書類や手続きが異なるので、必ず申請窓口で確認を。
[返却や停止手続きが必要なもの] |
保険、年金の手続き
保険金は加入先によって手続きが変わる
- 【生命保険加入者の場合】
保険金の受取人が、保険会社に被保険者(故人)の氏名、保険証券番号、死亡日などを報告し、死亡保険金請求書を取り寄せます。
故人が災害死亡の場合は、事故を証明する書類、加入後2年以内の死亡の場合は、保険会社所定の死亡証明書の提出が必要です。 - 【健康保険加入者の場合】
死亡した被保険者と生計維持関係にあった人が請求する場合は「埋葬料」が、埋葬料を受ける者がいない場合は葬儀を行った人に「埋葬費」が、支給されます。被扶養者が死亡した場合は「家族埋葬料」が支給されます。 - 【国民健康保険加入者の場合】
葬儀を行った人に「葬祭費」が支給されますが、制度、金額は自治体により異なります。
年金は受給資格のある遺族に支給される
- 【国民年金加入者の場合】
加入者の故人が生計を担っていた場合は、次の通り受給資格がある遺族に支給されます。- 遺族基礎年金:18歳到達年度の末日(3月31旦を経過していない(20歳未満で障害等級1級または2級)子どもをもつ妻か、子ども自身。
- 寡婦年金:保険料を25年以上納付した夫が亡くなった場合、婚姻期間が10年以上の妻。
- 死亡一時金:像険料を3年以上納付し、老齢基礎年金、障害基礎年金を受給していない遺族。
- 【厚生年金加入者の場合】
加入者の故人が生計を担っていた場合は、遺族に「遺族厚生年金」が支給されます。故人の勤務先を管轄する社会保険事務所で手続きをします。
メモ 姓を変更するには
配偶者の死亡後、「婚姻関係終了届」を提出すれば、婚姻関係が解消できます。さらに、「復氏届」を提出すれば、旧姓(実家の姓)に戻すことができます。
子どもの姓や戸籍を変更するときは、「子の氏変更許可申立書」を家庭裁判所に提出し、許可が下りたら市区町村に入籍届けを出します。
メモ 住宅ローンが残っている場合の手続き
住宅ローンなどの金額の大きなローンには、信用生命保険がついているものです。ローン返済の途中で契約者が死亡した場合は、ローンの残額は生命保険会社が支払ってくれるので、関係の金融機関に連絡しましょう。
保険、年金の手続き一覧
[保険、年金の手続き]
保険、年金の申請は、家族構成や自治体などにより、必要書類が異なってきます。申請窓口で必ず確認しましょう。※●は必要の意味です
申請期限 | 印鑑 | 印鑑証明書 | 住民票 | 戸籍謄本(抄本) | 除籍謄本(抄本) | そのほか必要なもの | 提出する窓口 | 備考 | ||
生命保険 | 保険金 | 3年以内 | ● | ● 保険金受取人 |
● 被保険者 |
● 保険金 受取人 |
― | ・保険証書 ・死亡診断書 |
各生命保険会社 | 勤務先で加入している保険や生命保険つき住宅ローンがあれば手続きをする。 |
健康保険 | 埋葬料(費 | 2年以内 | ● | ― | ― | ― | ― | ・健康保険証 ・埋葬許可証か死亡診断書のコピー ・振込先口座番号 ・遺族以外が申請する場合は 葬儀費用領収書も必要 |
勤務先を管轄する社会保険事務 所、または健康保険組合 |
「家族埋葬料」は健康保険加入者の扶養家族死亡の際に支給される。 |
家族埋葬料 | 2年 以内 |
● | ― | ― | ― | ― | ||||
国民健康保険 | 葬祭費 | 2年 以内 |
● | ― | ― | ― | ― | ・葬儀に関する領収書など ・被保険者証 ・振込先口座番号 |
市区町村の国民健康保険課 | 市区町村ごとに支給制度が異なり支給がない場合もある。 |
厚生年金 | 遺族厚生年金 | 5年 以内 |
● | ― | ● 請求者の世 帯全員の住 民票と、死 亡者の住民 票除票 |
● 請求者 |
― | ・死亡診断書のコピー等 ・死亡者および請求者の年金手帳ま たは基礎年金番号通知書等 ・請求者の所得に関する証明書(死 亡一時金には不要) ・預金通帳等* |
勤務先をまたは住居地を管轄する年金事務所 | 死亡者の住民票除票は不要なケースもある。 |
国民年金 | 5年 以内 |
● | ― | ● 請求者の世帯全員の住民票と、死亡者の住民 票除票 |
● 請求者 |
― | ・「遺族基礎年金」「寡婦年金」「死亡一時金」の同時受給はできない。 ・死亡者の住民票除票は不要なケースもある。 |
|||
寡婦年金 | 5年 以内 |
● | ● 請求者の世帯全員の住民票と、死亡者の住民 票除票 |
● 請求者 |
― | ・死亡者および請求者の年金手帳または基礎年金番号通知書等 ・請求者の所得に関する証明書(死亡一時金には不 要) ・預金通帳等* |
住民地の市町村の年金担当窓口 | |||
死亡一時金 | 2年 以内 |
● | ● 請求者の世帯全員の住民票と、死亡者の住民 票除票 |
● 請求者 |
― |
※預金通帳等は請求者名義のもの
遺産相続と相続税-相続人
遺言書がない場合は法律に基づき相続する
遺産は、故人の遺言書がない場合、民法で定められた法定相続人によって分割します。
相続の資格をもっ人は、配偶者、子ども(胎児も含む)、直系尊属(親など)、兄弟姉妹となり、それぞれ一定の順位、相続分が決められています。配偶者はつねに相続人となり、配偶者とそのほかの相続人、第1順位の子ども、第2順位の直系尊属、第3順位の兄弟姉妹の順で相続します。配偶者がいない場合は、左記の第1順位から第3順位の順で相続し、同順位の人が複数いる場合は、均等に分割します。相続は、家族構成などによって異なってくるので、専門家に相談するとよいでしょう。
遺産には、預貯金、不動産、宝石貴金属などのほか、借金などの負債も含まれます。財産分割の前に遺産を調査し、遺産目録をつくっておくとよいでしょう。
[遺産相続の順位と相続分(配偶者がいる場合)]
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遺産相続と相続税-遺産となるもの
遺産にはプラスの財産とマイナスの財産がある
故人の遺産には、預貯金や不動産、借地権、借家権、宝石貴金属などのプラスの遺産だけでなく、借金などの負債といったマイナスの遺産もあります。
相続人であっても、相続するかしないかは自由なので、マイナスの遺産が多い場合は、相続を放棄することもできます。この場合、3か月以内に家庭裁判所に申し立てます。
相続税は基礎控除額の範囲なら免除される
遺産を相続したからといって、必ず相続税がかかるというわけではありません。相続税には「基礎控除」といって、ある一定の金額は課税を免除されるシステムがあります。
具体的には、基礎控除額(5000万円+1000万円×法廷相続人数)の範囲内であれば相続税はかからないので、これを超えない場合は申告の必要はありません。
また、先祖代々の墓や葬儀費用、債務などは相続税の対象からはずされ、非課税扱いとなります。葬儀費用などは、申告時に領収書が必要になるので、保管しておきましょう。
遺産相続の手続きは複雑で、専門知識も必要になります。手続きをする場合は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのが安心でしょう。
[遺産となるものの一例]
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メモ マイナスの遺産は相続しない方法も
遺産相続には、相続人の権利義務を継承する単純承認のほか、相続放棄や限定承認という方法もあります。どちらの場合も、相続人になったことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に申し立てをする必要があります。
- 「相続放棄」
相続そのものを放棄することで、マイナスの遺産、プラスの遺産のどちらも引き継ぎません。 - 「限定承認」
プラスの遺産からマイナスの遺産を返済し、残った分を相続します。弁済はプラスの遺産の範囲内なので、相続人の財産を持ち出してまで返済するこ
とはありません。
相続の手続きは複雑なことが多いので、弁護士や司法書士などの専門家に相談しながら進めるとよいでしょう。
形見分けをする
遺品の整理と形見分けは忌明けまでにすませる
「形見分け」は、故人の親せきや親しくしていた人たちに故人の遺品(衣類、装身具、収集品など)を記念として贈るならわしで、仏式では四十九日、神式では五十日祭の忌明け、キリスト教式では死後1か月ごろなどに行われるのが一般的です。
遺言にしたがうか相手の意思を尊重する
形見分けの品は、故人の遺言があればそれにしたがいますが、ない場合は遺族が相談のうえで決めます。目上の方には、先方が希望しない限り形見分けはしないものです。
形見分けは事前に相手に受け取る意思があるか確かめ、包装せずに手渡します。
[遺品の仕分けかた]
- 保存する
日記や手帳、故人あての手紙など、故人がたいせつに保管していたものは、処分してもよいと判断できるまで残します。権利、貸借関係などの書類は、数年間は保管しましょう。 - 寄付する
蔵書や衣類などで、傷みがなく未使用のものは寄付して、役立ててもらえる場合もあります。寄付先は役所などに問い合わせるとよいでしょう。 - 処分する
故人が使用していたもので傷んでいるものはある程度は処分します。寝具類は、使用していた故人が感染症やその疑いのある病気だった場合は、処分したほうがよいでしょう。 - 返却する
故人の勤務先の鍵、社員証、書類、制服などは、勤務先に返却するか、処分方法を相談します。また、友人、知人からの借り物、ツケなどがないか、周囲にたずねましょう。 - 形見分けする
指輪や時計などの装身具、着物などの衣類、蔵書、骨董美術品、収集品など、故人の趣味の品が形見分けの代表的なものです。年長者には形見分けしないのがマナーですが、故人の希望であれば渡してもかまわないでしょう。
メモ 時価110万円以上の品は贈与税の対象になる
形見分けの品物が高価な場合、贈与税が発生することがあります。目安としては、時価110万円を超えると対象になる可能性が出てきます。相手に
迷惑をかけないように、贈る相手や贈るものは慎重に選びましょう。
葬儀後のしきたりQ&A
Q いただいた香典にお金が入っていなかったら?
A 差し出し人を確認し、連絡するようにしましょう
香典を受け取ったらその場で金額をすぐに確認し、お金が入っていない場合は、すぐに相手にその旨を伝えます。
受け取ったときに気付かなかったら、まず袋の表書きを見て差し出し大を確認します。まだ通夜や葬儀が終わっていないときなら、帰るころを見計らって、失礼のないように香典の中身が入っていなかった旨を伝え、人の目につかないところで中身を入れ直してもらいましょう。
葬儀後に気がついた場合は、会計係か受付係から連絡をしてもらい、いったん香典袋をお返ししましょう。気がつかないふりをして、忌明けに香典返しを送るのは、失礼になるヶ-スもあります。
ただし、相手の状況によっては、連絡せずにそっとしておいたほうがいい場合も。
迷うようなら、葬儀社に相談して。
Q 葬儀費用を遺産からまかなってもよい?
A 基本的に葬儀費用は相続財産から控除されます
葬儀費用は、香典でまかなえれば問題ありませんが、相続財産から支払われる場合が多いようです。
一時的に喪主が費用を立てかえて、相続人どうしで葬儀費用を均等に負担することに決めた場合は、後日それぞれの相続財産から葬儀費用を控除しても問題はありません。基本的に、相続税を計算するとき、葬儀費用は差し引いて計算ができます。葬儀費用の領収書は、相続税の申告の際に必要になるので、保管しておきましょう。また、葬儀費用を立てかえるのがむずかしい場合、故人の預貯金からねん出するという手もあります。ただし、死亡が確認された時点で故人の口座は凍結されてしまうので、注意しましょう。
Q 遺体を寝かせておいた布団はどうするもの?
A 葬儀社によっては、引き取ってくれるので、相談してみましょう
遺体を布団に安置すると、ドライアイスなどで水がしみてしまう場合が多く、またそうでなくても、故人の使用後は処分してしまうことが多いようです。ただし、亡くなった後、すぐには「ごみ」扱いとして出しにくいものです。葬儀社によっては有料で引き取ってくれるところもあるので、相談してみましょう。
Q 2通以上の遺言状が見つかつたら?
A 日付のいちばん新しい遺言状が有効となります
2通以上の遺言状が見つかり、前の遺言状と後の遺言状の内容が異なる部分があれば、後の遺言状の内容が有効になります。
ただし、両立する内容であれば、前の遺言状も有効です。
また、公正証書遺言の後に自筆証言遺言が見つかった場合、法律上適正ならば、自筆、公正などの形式に優劣はないので、この場合は後に見つかった自筆証言遺言が有効になります。
Q 年賀欠礼のあいさつは、いつごろ、どの程度の付き合いの人に出す?
A 毎年やりとりをしている相手に、遅くとも12月の初めに届くように出します
年賀欠礼する側の範囲は、故人が二親等までの親族、または故人と同居していた場合というケースが多いようです。
欠礼状を出す先は、毎年年賀状をやりとりしているか、先方が故人と知り合いかなど、家どうしの付き合いの程度を基本に決めます。仕事関係先などには、欠礼状を省略する場合もあります。
年賀欠礼状は、11月の末、遅くとも12月の初めまでには、先方に届くように手配したいものです。
欠礼状を送らなかった相手や喪中を知らずに年賀状を送ってきた相手には、寒中見舞いなどで対応するようにしましょう。
冠婚葬祭早引き事典シリーズ
① 教えて 祝儀袋の表書き
② 喜ばれる 中元・歳暮の贈り方
③ バッチリ決める!訪問のマナー
④ 大切なお客様の おもてなし
⑤ おいしくいただくテーブルマナー
⑥ 『手紙の書き方』これで解決!
⑦ これで安心!結婚式に招待されたら!
⑧ 仲人を頼まれたら
⑨ 婚約・結納のしきたり
⑩ 結婚披露宴のプランニング
⑪ 結婚式挙式のプランニング
⑫ 出産から成人まで!わが子のお祝いごと
⑬ 大切にしたい人生の記念日・お祝いごと
⑭ 暮らしの歳時記
⑮ お葬式参列のしきたり
⑯ ご臨終!突然「遺族」になったら
⑰ 仏式のお通夜・お葬式
⑱ 神式・キリスト教式のお葬式
⑲ 終活・生前にしておきたいこと
⑳ お葬式 Q&A よくあるご質問
㉑ お葬式が終わってからのこと
㉒ お墓と納骨のこと
㉓ 四十九日・年忌法要の行い方
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