完全版!仏式のお通夜・お葬式 冠婚葬祭事典⑰

冠婚葬祭事典⑰仏式葬儀編

目次 Contents

仏式 通夜の流れ

日本の葬儀の大半である仏式

日本の葬儀の大半は仏式の葬儀です。本来の通夜は、死者を葬る前に遺体を守って一夜を明かすことをいいます。故人の最期の儀式の間は、灯明(とうみょう)や線香は一晩中絶やさないようにし、故人が安らかに眠れるようお見送りしましょう。

[通夜の流れ]

  1. 僧侶(そうりょ)の到着
    祭壇の飾りや供物の位置を確認してもらい、控え室に案内し、着がえ後は茶菓でもてなします。
  2. 弔問(ちょうもん)者の到着
    受付を終えた弔問者から、控え室か式場に案内します。
  3. 着席
    祭壇に向かって右側に喪主、遺族、親せきが血縁の近い順に座ります。左側には世話役代表や友人、知人、一般会葬者が座ります。
  4. 読経(どきょう)
    一同が着席した後、僧侶が入場して読経を始めます。通常は30~40分ほどで、読経中に焼香をすることもあります。
  5. 焼香
    喪主から席順に焼香をします。祭壇前で僧侶に一礼してから本尊または遺影に一礼し、焼香をします。弔問者にー礼して席に戻ります。
  6. 法話
    僧侶により故人の人がらをしのぶ、仏教の法話が行われます。法話が終わったら、僧侶が退場します。
  7. 喪主のあいさつ
    読経と焼香が終わって僧侶が退席した後、弔問者へのお礼を込めて、喪主があいさつをします。
  8. 通夜ぶるまい
    あいさつの後、弔問者を通夜ぶるまいの席に案内し、僧侶と弔問客を軽食とお酒でもてなします。

遺族の弔問者へのあいさつは、座ったまま黙礼をするだけでかまいません。


仏式 通夜の時間と席次

現在では「半通夜」が一般的

本来通夜は、夜通し故人に付き添って行われるものでしたが、現在では午後6時ごろから2時間くらいの間に行われる「半通夜」が主流になっています。僧侶の読経、遺族や弔問者の焼香などが行われ、その後の通夜ぶるまいを含めても、午後10時くらいまでには終わるのが一般的です。

血縁の近い順に祭壇の近くに座る

通夜や葬儀の席順は、式の形式や場所のつごうによって変わります。血縁の近い順に柩(ひつぎ)のそばに座ります。一般弔問客は世話役の案内にしたがって、祭壇の後方に座ります。

[仏式葬儀での席次]

スペースがない場合には、喪主と遺族だけは柩のそばに座り、ほかの人はその周囲に座るようにします。通夜が始まってから親せきが到着した場合は、柩に近いほうから順に座ってもらいます。

式場の目印として、提灯を式場入口に設けることが習慣となっています。

メモ 焼香の順番

席次と同様に、血縁の近い順に行います。

  1. 喪主(故人の配偶者が喪主でない場合は、配偶者の後に続く)
  2. 故人の子ども(配偶者がいる場合それぞれ続く)
  3. 故人の両親
  4. 故人の孫
  5. 故人のきょうだい
  6. そのほかの親族
  7. 友人・知人
  8. 一般弔問客(着席順)

通夜で遺族がすること

身なりを整えて僧侶を迎える

遺族は通夜が始まる1時間前には着がえをすませ、身なりを整えておきます。僧侶が到着したら、祭壇の飾りや供物の位置などを確認してもらい、控え室に案内し、茶菓でもてなします。これは世話係か葬儀社にまかせてもよいでしょう。
喪主は僧侶の控え室にうかがってあいさつをし、葬儀社といっしょに通夜についての打ち合わせをします。このときに通夜ぶるまいを受けてくれるかどうかを、確認しておくとよいでしょう。
通夜が始まるときには、葬儀社が僧侶を式場に案内します。喪主や遺族は式の15分前には席につき、式場で僧侶を迎えます。出迎えは世話役にまかせ、喪主の遺族は会場内に座って弔問を受けます。

受付は世話役にまかせて弔問者の入場を待つ

出口での弔問者の応対も世話役にまかせ、喪主と遺族は弔問者に黙礼であいさつします。
とはいえ突然の訃報に足を運んでくれたのですから、「生前は故人がお世話になり、誠にありがとうございました」などと感謝のことばを簡潔に述べましょう。悲しみでことばに詰まるようなら、深くおじぎするだけでも敬意は伝わります。

弔問客の出迎えは、受付にまかせます。遺族は会場内で弔問を受けましょう。

メモ お金の管理は事前に相談を

通夜当日に払うお金には、僧侶への「お車代」「御膳料」のほかに、手伝いの人への「御礼」などがあります。このほか、弔問者から受け取る香典など
もあるので、お金の管理をしっかりしておく必要があります。
通夜当日は人の出入りも多いので、喪主、世話役、受付係などで管理のしかたを相談しておきましょう。


仏式 喪主のあいさつ

通夜の最中のお悔やみには静かに返礼

弔問者のお悔やみのあいさつに対しては、静かな口調で返礼します。このとき、弔問者が目上の方でも、喪主は立たずに座ったままの返礼で十分。ことばを交わさなくても失礼にはなりません。
参列者が多い場合は、読経の途中から焼香を行うので、喪主や遺族は黙礼で応えます。

喪主は遺族を代表して弔問者にあいさつをする

読経や焼香が終わりしだい、世話役が僧侶を控え室へ案内します。僧侶が退席したら、ころあいを見て遺族を代表して喪主が弔問者にあいさつをします。
あいさつは、「通夜への参列のお礼」、「故人への生前のご厚誼(親しい付き合い)に対する謝意」などを手短かに述べます。あいさつの最後には、通夜ぶるまいの用意があることと、翌日の葬儀について知らせます。
喪主が高齢であったり、未成年、そのほかの事情であいさつができないときは、喪主にかわって喪主の家族か近親者、世話役代表があいさつをします。
僧侶へはお礼のあいさつに出向き、葬儀の時間などを確認したら通夜ぶるまいの席へ案内します。

[喪主のあいさつのことばの例]

本日はご多忙中のところお越しいただき、ごていねいなお悔やみをちょうだいいたしましてありがとうございます。
父が生前皆さまから賜りましたご厚誼(こうぎ)に、本人に代わり、お礼を申し上げます。
ささやかではございますが、別室に供養の席を設けております。父をしのぴながら、お召し上がりいただきたいと存じます。
本日はありがとうございました。

メモ 古来の通夜

通夜は古来、葬るまで鳥獣から遺体を守り、不安定な死者の魂に悪霊が近づくのを防ぐ目的で、近親者が夜通し遺体に付き添うものでした。やがて葬
儀が隣近所の人の協力で行われるようになり、喪家もその人たちに相応の接待をするようになり、現在の通夜の形が定まってきました。
かつでの通夜は、遺体をすぐに納棺せず、ろうそくや線香の火を絶やさないようにして、遺族や近親者が夜を徹して付き添って過ごしました。



仏式 通夜でのもてなし

弔問者へのお礼として簡単な料理とお酒を

通夜ぶるまいは、故人の供養とともに弔問へのお礼のしるしとして設けるものです。
本来は精進料理を用意するものでしたが、最近はあまり大がかりにせず、簡単につまめるすしやサンドイッチ、おにぎりなどを大皿で用意することが多くなっています。お清めの日本酒やビールを出しますが、ひと通り行きわたる程度で十分です。仕出屋に注文したり、葬儀社に手配してもらってもよいでしょう。

タイミングを見てお開きのあいさつをする

通夜ぶるまいを受けている弔問者は、ころあいを見て帰宅してよいことになっていますが、なかなかきっかけをつかめないものです。
喪主か世話役代表が予定の時間を30分ほど過ぎたころ、お開きのあいさつに弔問への感謝を述べ、お開きの時間であることと翌日の葬儀、告別式の案内をしましょう。

[お開きのあいさつ例]

本日は、お忙しいなかお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。
これまで、皆さま方にたいへんお世話になりましたこと、故人になり代わり心からお礼申し上げます。故人もさぞかし喜んでいることと思います。
今夜はこれにてお開きとさせていただきたいと思います。なお、明日の葬儀、告別式は○時より、○○にて執り行います。
本日は遅くまでありがとうございました。

すしやサンドイッチ、おにぎりなど、簡単につまめるものが便利です。

メモ 通夜ぶるまいをしないとき

通夜ぶるまいをする場所がないなど、喪家のつごうや、やむを得ない事情で、通夜ぶるまいを省略することもあります。
その場合は、その事情を通夜の終わりのあいさつで簡略に説明します。そして、弔問者には会葬礼状とともに簡単な料理やおすしの折詰と酒類(日本
酒1合瓶か缶ビール)などを「粗供養」としておもち帰りいただきましょう。


仏式 通夜の後

僧侶にお礼を渡し世話役には感謝のことばを

僧侶には、読経(どきょう)の後、着がえがすんだら、通夜ぶるまいの席へ案内してもてなします。
僧侶が辞退したら「御膳料」としてお金を包み、「お車代」といっしょに渡します。お経のお礼としての「御布施」は、葬儀後に一括して渡すほうがよいでしょう。
寺院以外で通夜、葬儀を行う場合は、僧侶を送迎するしないにかかわらず、「お車代」を渡します。どちらも白封筒を使います。
葬儀社に紹介された僧侶の場合は、そのつど「御布施」を渡すことが多いようです。
世話役へは、葬儀いっさいがすべて終わったらお礼をします。しかし、通夜では、それぞれの仕事で忙しく、ゆっくり食事をとる時間がないので、手のすいたときや帰宅してから食べられるように、折詰などを用意しておくとよいでしょう。
通夜ふるまいが終わって、弔問者が帰ったら、「本日は、お力添えをいただき、ほんとうにありがとうございました。明日のこともありますので、今日はどうぞお休みください。後は私たちで見守ります」などと、世話役へ感謝の言葉を述べましょう。

片づけを終えたら故人と最後の夜を

片づけは、世話役の人が中心になってやってくれますが、まかせっきりにせず遺族や親族も協力しましょう。
世話役を見送り、故人と最後の夜を過ごす遺族と近親者は、横になってもいいような服装に着がえてもかまいません。ろうそくや線香の火を絶やさないよう、遺体を交代で見守ってあげましょう。

メモ 見送りは世話役にまかせる

喪主や遺族は、故人の遺体のそばから離れてはいけないことになっています。そのため、通夜ふるまいが終わっても、弔問者の見送りはせず、着席し
たままで黙礼で感謝を伝えましょう。
見送りは、接待係や世話役代表などにまかせます。


葬儀、告別式とは

最近は続けて行われる葬儀と告別式

葬儀は、遺族と近親者が故人をあの世に送る宗教的な儀式です。これに対して告別式は、生前に故人と付き合いのあった人たちが、故人と最後のお別れをする社会的な儀式です。
また、葬儀は故人が生きている人に別れを告げる儀式、告別式は生きている人が故人に別れを告げる儀式だとする考えかたもあります。
このように葬儀と告別式は、本来、性格の異なる儀式ですが、現在では時間的な事情や斎場のっごうから、区別せずに同時に行う場合が多くなってきました。葬儀と告別式の両方がいっしょになったこの形式は「葬儀・告別式」と呼ばれています。
葬儀と告別式が区別されて行われる場合は、一般の会葬者は告別式のほうに参加するのが普通です。

葬儀でもっとも重要な読経と引導

「引導を渡す」とは、故人を生死の苦しみや迷いから救って彼岸や浄土へ導くことで、葬儀のなかでもっとも重要な儀式です。読経中に僧侶から故人に引導が渡されます(ただし、浄土真宗では引導はありません)。
読経は、宗派や葬儀の規模によって異なりますが、一般的には30~40分ほどかかります。読経の途中から焼香を始めることもあります。焼香の始まりは僧侶の指示にしたがいましょう。

宗派によっては、読経中に僧侶から引導が渡されます。残された人々は成仏を祈ります。

メモ 弔電の披露の注意点

僧侶の読経と弔辞の朗読が終わると、弔電を披露します。弔電はあらかじめ喪主や世話役代表が整理しておき、披露は、選んだ弔電を進行係が2~5通
を代読したら、断ってから名前だけを読み上げます。
読み上げる順番は、仕事関係のなかでは取引先や役職などをできるだけ考慮するようにしましょう。また、進行係と事前に氏名や社名の読みかたを確
認しておくとよいでしょう。


葬儀、告別式の流れ

僧侶の入場から式が始まる

葬儀と告別式は、本来は異なる儀式ですが、現在では同時に行うことがほとんどです。僧侶が葬儀後に一度退場して、告別式で再び入場する場合と、合わせて行う場合があります。

告別式では、一般会葬者のみ焼香が行われます。

[葬儀、告別式の流れ]

葬儀

  1. 一同着席、僧侶入場
    喪主、遺族、親せきは開始時刻の15分前には着席します。続いて葬儀委員長、一般会葬者など、全員が着席した後、葬儀社が僧侶を招き入れます。
  2. 開式の辞
    司会が「ただいまより故○○の葬儀を執り行います」と簡単なあいさつをし、開会の辞を告げます。
  3. 読経
    読経は30~40分です。宗派によっては読経の間に僧侶から故人への引導が渡されます。引導とは、故人を生死の苦しみや迷いから救い、彼岸や浄土へ導く儀式です。
  4. 弔辞と弔電
    弔辞がある場合は、だいたい3人以内の人に頼み、弔電は2~5通を紹介します。大きな葬儀の場合は、ここで葬儀委員長が式辞を述べることも。
  5. 焼香
    僧侶が焼香したあと、読経中に喪主、遺族や親せき、友人、知人が席順に焼香をし、一般会葬者が焼香をします。焼香の後、僧侶が法話や説経をすることもあります。
  6. 僧侶退場、閉会の辞
    休憩をとる場合には、ここで僧侶は一度退場します。司会が葬儀の終了と、続いて告別式に移行することを告げるあいさつをします。

告別式

  1. 僧侶入場
    再び僧侶が入場します。司会が告別式の開会を告げ、僧侶は読経を始めます。
  2. 焼香
    一般会葬者のみ焼香が行われます。遺族は焼香の後、会葬者に黙礼をします。
  3. 僧侶退場、閉会の辞
    一般会葬者の焼香がすみ、読経が終わると、僧侶は退場します。司会が閉会のあいさつをして告別式は終了し、出棺(しゅっかん)準備が始まります。

仏式 葬儀、告別式の準備

喪主、世話役代表は僧侶、葬儀社と最終打ち合わせ

喪主と世話役代表は、葬儀前に僧侶、葬儀社と打ち合わせをします。葬儀と告別式は合わせて1~2時間くらいですが、規模によって異なります。葬儀社に相談して時間を決めましょう。
祭壇の設営や形態は宗派によって異なるところがあるので、最終的に僧侶に確認してもらいます。

[葬儀準備のチェック項目]

口進行
口世話役代表のあいさつの内容
口弔辞の依頼先、内容
口弔電紹介の範囲、名前の読みかた
口火葬場への同行の人数
口祭壇の飾り付け、会場の準備
口精進落とし、会葬礼状の数
口心付けの用意

弔辞の依頼と弔電選び

弔辞は故人の親しかった上司や知人などに依頼します。人数は3人以内で、各3分くらいが目安。弔辞を述べる人には、前のほうの席に座ってもらいます。弔電は2~5通ほどを喪主と世話役代表が選んで紹介します。

火葬場の同行者の人数を確認

火葬場に同行するのは、遺族、近親者のほか、ごく親しい友人、知人です。同行を希望する大や同行してもらいたい人の人数を、世話役代表が確認します。車の手配があるため、通夜ぶるまいのときに確認しておきましょう。
火葬場での納めの式に読経をお願いする場合は、事前に僧侶に確認を取って人数に加え、喪主と同じ車で火葬場に向かいます。

メモ 席次を決める

席次は基本的に通夜のときと同じように故人と深い順に、祭壇に近いほうから座ります。
地域によって違いがありますが、右側の前から喪主と遺族、その後ろに近親者が座ります。左側は前から世話役代表、弔辞朗読者が座り、続いて一般会
葬者が座ります。
親せきが開始時間に遅れる場合は、座る場所を確保しておきましょう。



仏式 葬儀、告別式で遺族がすること

一般会葬者には黙礼で返礼し会葬礼状を渡す

一般会葬者が焼香をするときには、喪主と遺族は会葬者のほうを向いて黙礼で返礼しましょう。葬儀委員長も遺族と同じように黙礼をします。焼香をすませた一般会葬者には、葬儀社か世話役が会葬礼状を渡します。

感謝を込めて心付け、謝礼を渡す

心付けは、仕事を担当してくれた人にお礼の気持ちを込めて渡すものです。心付けを渡す必要があるのは、霊柩車やハイヤー、マイクロバスの運転手、斎場や火葬場の係員などで、金額は2000円~1万円が適当です。喪主か近親者が渡します。渡すタイミングは、葬儀社に案内してもらうとよいでしょう。
通夜からいろいろお世話になった世話役や、お手伝いをしてくれた人への金額の目安は、葬儀社に聞くとよいでしょう。

仏式の祭壇。祭壇の大きさなどは部屋の広さや予算に合わせ、葬儀社と相談して決めましょう。

不祝儀袋や白い封筒に、目下の人には「寸志」、目上の方には「御礼」と表書きします。

メモ 進行は葬儀社に頼む

葬儀社には、葬儀全体の進行を依頼します。以前は、世話役のうちのひとりが進行係として司会をしていましたが、最近では司会も葬儀社に頼むこと
が当たりまえになりました。
式全体をまかせるわけですから、お互いに連絡もれのないよう、事前の打ち合わせはしつかりしておきましょう。

喪主のあいさつを記した会葬礼状を渡すのも葬儀社の仕事。渡す際は、ハンカチなどの返礼品を添えるケースが多いようです。


仏式 出棺

出棺時に行われる最後の対面

出棺前には、遺族や親せきなどの縁の深い人たちにより、最後の対面が行われます。地域によっては柩にふたをした後、小石を使ってくぎを打つ「くぎ打ちの儀式」を行います。
故人への未練を断つという儀式ですが、最近ではほとんど行われていません。

[出棺の流れ]

  1. 最後の対面
    柩(ひつぎ)を祭壇から移動してふたを開けます。遺族、親せきが供えられた花を故人のまわりに飾りながら最後の対面をします。
  2. 柩を運ぶ
    柩は、遺族や親せき、友人など男性6人ほどで運びます。喪主が位牌を、喪主に次ぐ遺族が遺影をもち、後に続きます。
  3. 出棺のあいさつ
    柩が霊柩車に納められ、喪主は見送る人たちにあいさつをします。あいさつが終わったら一礼し、火葬場へ向かいます。

[出棺のあいさつ例]

本日はご多用中にもかかわらず、故○○の葬儀、告別式にご参列いただきましてありがとうございます。故人は○月○日午後○時○分、○○
(死因)のために○年の生涯を終えました。
故人が安らかな最期を迎えることができましたのは、皆さまのおかげと感謝しております。今後も変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。
本日はまことにありがとうございました。

柩には花とともに故人の愛用品などを入れます。入れられないものもあるので、事前に葬儀社に確認しておきましょう。

メモ 柩の運び方

柩は遺族や親せき、故人に世話になった近親者、友人など、男性6人の手で運ぶのが一般的です。関東では遺体の足を前に、関西では頭を前にして運ぶことが多いようです。
また、死者の霊が戻れないように玄関から出棺しないというならわしや、遺影、位牌のほかに香盆(こうぼん)、骨箱(こつばこ)、だんごなどを遺族がもつ習慣がある地域もあります。


仏式 火葬

火葬場では埋葬許可証をもらう

火葬場へ移動する際、出席者の人数を葬儀社に伝えておき、火葬を待つ間のもてなしの準備をしておいてもらいましょう。
火葬場に着いたら死体火葬許可証を提出し、火葬後には埋葬許可証を受け取ります。このような手続きも葬儀社にまかせましょう。

拾骨はふたりひと組で行う

火葬後には、あの世への橋渡しの意味を込め、血筋の近い人からふたりひと組になってひとつの骨を拾います。
足の骨から上半身へと順に拾っていくのが一般的です。のど仏(実際は第二頚骨)は、もっとも血筋の近い人が再び最後に拾う習慣もありますが、地方によって違いがあります。

[車での席次]

火葬場へ向かうときは、僧侶には霊柩車に続く1号車の後部座席の奥に座ってもらいます。僧侶の横に喪主が座り、助手席に喪主に次ぐ遺族が座るのが一般的です。

[火葬の流れ]

  1. 納めの式
    柩が炉のなかに入れられたら、僧侶が読経を始めます。読経の間、喪主から順に焼香をし、焼香と読経が終わったら合掌をして控え室に向かいます。
  2. 茶毘(だび)
    火葬を待つ間、控え室に移り、ここで簡単に茶菓や酒、軽食をふるまいます。
  3. 拾骨
    喪主、遺族、親せき、友人、知人の順に骨を拾います。骨つぼのなかで生きているときと同じ形になるよう、足の骨から順に拾っていきます。

メモ 分骨する場合

寺が遠く、近くの墓にも納骨したい、あるいは宗派の本山にも納骨したいなど、いくつかの墓に分けて納骨したいときは、分骨します。
分骨したいときは、事前に葬儀社に伝えておくと、分骨用の骨つばを用意してくれます。分骨するお骨は拾骨のときに火葬場の係の人が分けてくれま
す。
また、散骨の希望があるときは、葬儀社に早い段階で伝えておきましょう。


仏式 遺骨を迎える

火葬の間に骨迎えの準備をしてもらう

家で葬儀を行う場合は、出棺後に骨迎えの準備を葬儀社や残った人にお願いします。
また、還骨(かんこつ)法要などの儀式が終わった後に、すぐに精進落としに移る用意もしておいてもらいます。精進落としは遺族がもてなしをす
るものなので、世話役などに手間をかけさせないよう、葬儀社に頼んでおきましょう。

火葬を終えて戻ったら遺骨を迎える還骨法要を行う

火葬場から帰ってきたら遺骨を後飾りの祭壇に安置し、位牌、遺影を置き、遺骨を迎える「還骨法要」の儀式を行います。僧侶がお経をあげ、喪主から順番に遺族、親せき、友人などの会葬者一同が焼香をして、葬儀が終了します。最近では、初七日の法要も還骨法要とあわせて行われることが多くなりました。

[骨迎え、初七日の流れ]

  1. 後飾りの準備
    出棺を見送った後、遺骨を迎えるため、残った世話役の人は部屋を片づけ、葬儀社に後飾りの祭壇を準備してもらいます。
  2. お清め
    火葬場から戻ったら、玄関前でひしゃくの水で両手を洗い、塩で身を清めます。最近は、手水は省略する場合もあります(浄土真宗ではお清
    めはしません)。
  3. 還骨法要
    位牌、遺骨、遺影を後飾りに安置します。この後、僧侶によってお経があげられ、一同が焼香をします。
  4. 初七日の法要
    引き続き僧侶が読経し、喪主から始め、一同が焼香をします(還骨法要とあわせて、焼香は1度だけの場合もあります)。

メモ 最近は初七日も葬儀と同じ日に行う

本来、初七日の法要は死亡した日を含めた7日後に行われます。しかし、その場合は葬儀後またすぐに集まることになり、遠方から来る人にはたいへ
んな負担になります。このような会葬者の負担に配慮して、現在では初七日の法要も葬儀と同日に行うことが多くなっています。
また還骨法要を省略して、お清めの後に初七日の法要、精進落としと続けることもあります。



仏式 進落とし

労をねぎらうための精進落とし

還骨法要の後に、精進落としの宴席を設けます。精進落としは本来、通夜から四十九日の忌明けまで精進料理で肉や魚などを絶ち、忌明け後に通常の食事に戻ることでした。しかし現在では、葬儀後に世話役や僧侶、お世話になった人たちを遺族がもてなし、労をねぎらって感謝する意味合いが強くなっています。精進落としに出席できない人には、折詰を用意しておくとよいでしょう。

喪主のあいさつで開宴する

精進落としを始める前に、喪主または遺族代表が簡単なあいさつをします。葬儀が無事に終了したことを伝え、お世話になったことへの感謝と労をねぎらい、精進落としの席へ誘います。遺族は各席を回って接待をしましょう。宴は出席者の疲労を考慮し、1~2時間でお開きにします。ころあいを見て喪主があいさつをして締めくくりましょう。

[精進落としの席次]

僧侶や世話役、友人、知人には上座に座っていただき、喪主や遺族は末席に座ります。遺族は席を回り、感謝の気持ちを伝えましょう。

[精進落としのあいさつ例]

通夜から葬儀、告別式まで長時間にわたってご尽力を賜り、誠にありがとうございました。おかげさまで葬儀いっさいをとどこおりなく終了することができました。
ささやかではございますが、精進落としの錨を設けましたのでごゆっくりお召し上がりください。本日はありがとうございました。

メモ 僧侶が欠席のときは

なんらかの用事で僧侶が精進落としに出席できない場合は、「お車代」とは別に、「御膳料」を包んで渡しましょう。
金額は1万円程度が一般的ですが、葬儀社に相談してみるとよいでしょう。



冠婚葬祭早引き事典シリーズ

① 教えて 祝儀袋の表書き
② 喜ばれる 中元・歳暮の贈り方
③ バッチリ決める!訪問のマナー
④ 大切なお客様の おもてなし
⑤ おいしくいただくテーブルマナー
⑥ 『手紙の書き方』これで解決!
⑦ これで安心!結婚式に招待されたら!
⑧ 仲人を頼まれたら
⑨ 婚約・結納のしきたり
⑩ 結婚披露宴のプランニング
⑪ 結婚式挙式のプランニング
⑫ 出産から成人まで!わが子のお祝いごと
⑬ 大切にしたい人生の記念日・お祝いごと
⑭ 暮らしの歳時記
⑮ お葬式参列のしきたり
⑯ ご臨終!突然「遺族」になったら
⑰ 仏式のお通夜・お葬式
⑱ 神式・キリスト教式のお葬式
⑲ 終活・生前にしておきたいこと
⑳ お葬式 Q&A よくあるご質問
㉑ お葬式が終わってからのこと
㉒ お墓と納骨のこと
㉓ 四十九日・年忌法要の行い方

 

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