早引き!お葬式参列のしきたり 冠婚葬祭事典⑮

冠婚葬祭事典⑮弔問編

目次 Contents

訃報を受けたら

危篤を知らされたら普段着で駆けつける

危篤の知らせを受けるのは、親せきや特に親しい友人に限られています。危篤の知らせを聞いて動揺するのは当然ですが、まずは落ち着くことがたいせっです。病院なのか自宅なのか、行くべき場所を確認し、交通手段が可能な限り一刻も早く駆けつけましょう。

死亡を知らされたら立場を踏まえた弔問を

訃報を受けた場合にまず確認することは、だれが、いつ、どこで亡くなったのかということ。また、このときに容体を聞くのは控えましょう。服装は、華美でなければ普段着のままでかまわないので、わざわざ着がえる必要はありません。
近親者であれば、ほかへ連絡するべきかどうかもたずねるとよいでしょう。少しでも遺族に協力できるように心配りをし、声をかけてあげることも近親者の役目です。
弔問は故人との付き合いの程度や立場を踏まえて行います。とりあえずの弔問は、長居せず簡単なあいさつですませるのがマナー。
故人との対面は、遺族から勧められない限り控えます。

[死亡の知らせを受けたとき]

  • 近親者の場合
    普段着や仕事着のままで直ちに駆けつけて遺族にお悔やみを述べ、手伝いを申し出ます。遠方の場合は到着の予定を電話で知らせます。
  • 友人・知人の場合
    故人や遺族と親しかった場合は、駆けつけて手伝いを申し出ます。手伝いが不要のようなら、あらためて通夜や葬儀にうかがう旨を伝え、辞去します。
  • 近隣の場合
    親しい間がらならすぐに弔問し、手伝いを申し出ます。さほど親しくない場合は、告別式に出席するだけでもよいでしょう。

メモ 遠方から危篤を知らされた場合の喪服の用意

万一の場合も考えて、喪服の用意も必要です。ただし、準備してきたことを知られてしまうのは、不幸を予測しているようで先方に対して印象がよく
ありません。遠方から駆けつける場合の喪服の用意方法は3つです。

  1. 宅配便ですぐに送れるようにし、家族や近所の人に預けておく。
  2. 後から来る人に預ける。
  3. 駅などのコインロッカーに預ける。

遺族への気づかいを忘れずに行動しましよう。


故人との対面のしかた

故人との対面は勧められなければ憤む

弔問に訪れた際、遺族から勧められない限り、故人との対面は慎むのが礼儀です。遺族から勧められたときは、謹んで受けましょう。
ただし、あまりつらい場合などは、「お目にかかると、かえってつらくなりますので」「悲しみが深くなりますので」などと伝えて辞退してもかまいません。対面の際は控えめにふるまい、「穏やかなお顔ですね」などと、遺族をいたわることばをかけましょう。勧められた場合でも、長居しないように注意します。
服装は喪服ではなく、じみな平服でうかがいます。女性ならメイクはひかえめにし、アクセサリー類もはずします。
また、このときは香典は持参しません。

[故人との対面のしかた]

  1. 「お別れをさせていただきます」と述べ、膝行で進み、故人に一礼します。
  2. 遺族の手で白布が外されたら、のぞくような姿勢で対面します。
  3. 故人に深く一礼をし、最後に遺族に一礼をして退席します。

メモ 通夜や葬儀の手伝いを申し出るとき

故人が親しい人の場合、訃報を受けたら通夜や葬儀などの手伝いを申し出るのがマナーです。
ただし、手伝いの人がそろっている場合もあるので、弔問のときに「私にできることがあれば、何でもおっしゃってください」と申し出て、遺族
の意向を確かめておきましょう。
手伝いが必要ないようなら、「いずれお通夜にうかがいます」などとあいさつを述べ、速やかに辞去するようにします。



お悔やみのことば

お悔やみは忌みことばに注意する

遺族と顔を合わせたら、話し込んだりせず、短くても相手に配慮してお悔やみのことばを述べることが大切です。
お悔やみのことばには、次のような「忌みことば」を使わないことがマナーです。

  • 「死、苦しみを連想させることば」
    (例)「四」「九」や、「死亡」「死去」「死ぬ」「生きる」などの直接的なことば。
  • 「重ねことば」
    (例)「重ね重ね」「たびたび」「またまた」「つくづく」などの重ねことばや、「重ねる」「繰り返す」「再び」などのことば。
  • 「不吉なことを連想させることば」
    (例)「とんだこと」「とんでもない」や、「不幸」「迷う」など直接的に不幸を感じさせることば。

[お悔やみのことばの例]

  • 基本
    このたびはまことにご愁傷さまでございます。心からお悔やみ申し上げます。
    悲しいお知らせに信じられない思いでございます。心からご冥福をお祈り申し上げます(仏式の場合)。
  • 急死の場合
    このたびは突然のことで、なんと申し上げたらよいか……。心からお悔やみ申し上げます。
  • 長患いの場合
    ご病気とうかがっておりましたが、こんなことになろうとは思ってもおりませんでした。
  • 高齢の場合
    天寿を全うされたとはいえ、ご家族のお悲しみはいかばかりかと存じます。ご心中お察しいたします。

気をつけよう! NG 電話でのお悔やみはなるべく控える

遺族は悲しみにくれているうえ、遺族は通夜や葬儀の準備に忙しいので、電話でのお悔やみは控えるのがマナーです。やむをえない場合は、お悔やみ
とうかがえない理由を伝え、ごく手短にすませるか、葬儀の日時を聞くだけにとどめます。

メモ 宗教による表現の違い

よく使われる「冥福」「成仏」「往生」などは仏教用語なので、ほかの宗教では使いません。神道では「御霊となる」、キリスト教では「帰天」「召天」などといいます。また、仏教では「永眠する」ということばは使わないので注意を。
先方の宗教をあらかじめ把握しておき、お悔やみのことばを用意します。


弔電 お悔やみ電報の打ち方

通夜、告別式の開始時刻までに届くように

弔電を送る場合は、通夜、告別式の開始時刻までに届くように申し込みます。
電報は、午前8時から午後7時に申し込んだ場合は即日配達されます。午後7時以降の申し込みの場合は、翌日午前8時以降の配達となります(午前、午後の指定可)。
弔電の文面は、自分で自由につくれるほか、NTT東日本または西日本のホームページに載っている定型文からも選べます。

通夜、告別式の場所に喪主あてに送る

弔電は、通夜や告別式の場所に、喪主あてに送るのが一般的です。喪主がわからないときは、「故○○様ご遺族様」とします。故人の遺族と知り合いで、励ましの意味を込める場合は、その大あてでもかまいません。
差し出し人の氏名はフルネームにし、勤務先や部署名、所属団体、学校名、住所、電話番号など、故人との関係を記入すると親切です。

 

電報料金は、電報料と台紙の料金を合わせた金額です。電報料は文字数によって料金が加算されていきます。台紙も種類により料金が異なります。

 

[弔電の文例]

  • 突然の悲報に接し、悲しみにたえません。ご生前のお姿をしのび、心よりご冥福をお祈りいたします。
  • 突然のご逝去の報に接し、がく然といたしております。ご家族の皆さまのお悲しみはいかばかりかとお察しいたします。心よりお悔やみ申し上げます。

メモ NTT電報の申し込み先

電報の申し込みは、電話の場合、局番なしの115番(受付は8時~22時)からできます。
インターネットなら24時間受付可能。
NTT東日本 http://www.ntt‐east.co.jp/dmail/
NTT西日本 http://www.ntt-west.co.jp/dmail/
にアクセスして申し込みます。


不祝儀袋の表書き

不和祝儀(ぶしゅうぎぶくろ)の表書きは宗教によって異なる

香典を包む不祝儀袋と表書きは、宗旨(しゅうし・葬儀の宗教形式)によって異なります。外袋の裏面は、慶事とは逆で、上を下にかぶせて折ります。水引は、不幸が二度とないことを願って「結び切り」にし、のしはつけません。
表書きは、仏式では「御霊前」「御香典」「御仏前」、神式では「御玉串(たまぐし)料」「御榊(さかき)料」、キリスト教式では「お花料」などとします。
表書きには、「涙で墨も薄れる」といった意味合いから、薄墨を使って書くのがしきたりとされています。中包みには、喪家側か整理しやすいように金額と住所、氏名を書きます。
4名以上の連名で香典を出すときは、表書きには代表者の名前を書き、左側にやや小さく「外一同」と書き添え、全員の氏名は、別の紙に書いて中袋に入れます。

[不祝儀袋の表書きの書きかた]

  • 仏式
    「御香典」は仏式の表書きで、仏教の宗派は問いません。故人の仏教の宗派がわからない場合は、「御香典」としてもよいでしょう。自由葬でも使われます。
  • 神式
    水引は双銀または双白の結び切りの不祝儀袋を使うことが多いようです。表書きは、「御玉串料」「御榊料」「御霊前」などがあります
  • キリスト教式
    「お花料」はプロテスタント、カトリックのどちらでも用いられます。十字架や花模様の入った袋が一般的ですが、普通の白封筒を使ってもかまいません。
  • ほとんどの葬儀
    「御霊前」は、ほとんどの葬儀で使われています。ただし、浄土真宗、プロテスタントでは使いません。一般に四十九日以降は「御仏前」としますが、浄土真宗では葬儀でも「御仏前」を用います。蓮(はす)の模様は仏式専用。

気をつけよう! NG のしはつけない

古来よりおめでたい贈り物には、海産物のあわびなどの「なまもの」を添えていたというならわしがのしの起源。
そのため、不祝儀袋にのしをつけるのはタブーです。水引や外袋のかぶせかたも不祝儀ならではのルールを守りましょう。

メモ 「御霊前」は万能ではない

不祝儀袋でもつとも一般的な表書きの「御霊前」は、浄土真宗とプロテスタントでは使わないので注意。このふたつは、人が亡くなったら霊になると
する考えを認めていないからです。仏教で喪家の宗派がわからない場合は「御香典」としてもよいでしょう。


香典を用意する-基木マナーー

通夜か葬儀、告別式に持参する

香典は通夜か葬儀、告別式に持参します。
訃樹を受けてすぐの弔問のときには、前もって用意していたような印象を先方に与えてしまうので、香典は持参しません。
香典は、人物の顔がある面を表にしてお札を不祝儀袋におさめ、ふくさやふろしきなどに包んで持参します。受付があれば受付に、受付がない場合は遺族に手渡すか、祭壇に供えます。香典を通夜に持参した場合は、葬儀、告別式では記帳のみでかまいません。

金額は立場や故人との関係を考えて

一般に、血のつながりが濃いほど香典は高額になるようです。

不祝儀袋はふくさに包んで持参します。グレーなどのじみな寒色系の色のふくさを使い、包みかたにも注意します。

[金額の目安]

※金額は最多回答額から見た目安です

  20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代
祖父母 1万円 1万円 1万円 1万円 10万円
5万円 5万円 10万円 10万円 10万円
兄弟姉妹 3万円 5万円 3万円 5万円 5万円
おじ、おば 1万円 1万円 1万円 1万円 1万円
上記以外の親せき 5000円 1万円 1万円 1万円 1万円
職場関係 5000円 5000円 5000円 5000円 5000円
勤務先社員の家族 3000円 5000円 5000円 5000円 5000円
取引先関係 5000円 5000円 1万円 1万円 1万円
友人、その家族 3000円 5000円 5000円 5000円 5000円
隣人、近所 3000円 5000円 5000円 5000円 5000円
その他 5000円 5000円 5000円 5000円 1万円

全国冠婚葬祭互助協会(2006年)

メモ 新札を包むときは

香典には新札を使わないという慣習があります。新札だと不幸を予期していたようで、失礼になるという考えからです。しかし、使い古したお札を包
むのも失礼なので、最近では新札でもかまわないとされています。ただし、不快に感じる年輩の方もいるため、新札を包む場合は、一度折り目を付けて
からにするとよいでしょう。



香典を用意するー郵送する場合ー

不祝儀袋の中身は入れ忘れないように確認を

不祝儀袋の中身は、入れ忘れないように十分注意します。万が一、中身を入れ忘れた場合は、すぐに葬儀の世話役か受付係に連絡し、斎場が近いなら、できるだけその日のうちに持参しましょう。
斎場が遠方でうかがえない場合や、入れ忘れに気づいたのが後日だった場合などは、現金書留で郵送するようにします。その際には、必ずお悔やみのことばを記した、おわびの手紙を同封します。

郵送するときは現金書留で送る

やむをえない事情や、あまり付き合いのない遠方の親せきなどで、通夜にも告別式にも出席できない場合も、香典を現金書留で郵送しても失礼にはなりません。ただし、お悔やみのことばを記した手紙を必ず同封しましょう。

現金書留で郵送するときは、香典を不祝儀袋に入れ、紙を必ず添えます。

 

[郵送するときに添える手紙の文例]

お母さまのご逝去のお知らせを受けて、たいへん驚いております。ご家族の皆さまは、さぞお力落としのこととお察しいたします。
本来ならば、すぐにもお悔やみに参上すべきところ、遠方ゆえ、それもならずまことに心苦しく思っております。
心ばかりではございますが、※香料を同封いたしましたので、お収めくださいませ。
略儀ながら書中をもちまして、心からお悔やみ申し上げます。

※ご香料は、神式の場合は「御玉串料」、キリスト教式の場合は「お花料」となります

気をつけよう! 電報での送金はNG

香典を弔電といっしよに送金することもできますが、先方に郵便局まで出向かせることになるので、失礼になります。

メモ 中袋の書きかた

香典の中袋には、表に金額を書き、裏に住所、氏名を書きます。金額は「壱(一)」「弐(二)」「参(三)」などの漢数字を使って書くのが基本です
。お札は向きをそろえて入れましょう。


供物、供花を贈る-基本マナーー

先方の意向を確かめてから贈る

死者に供える品物や花を、供物(くもつ)、供花(きょうか)といいます。供物、供花を贈るのは近親者や親しい関係者が多いようですが、置き場所や順序、祭壇のデザインのっごうもあるので、贈る場合は先方へ事前に確認するようにします。
供物は通夜に贈る場合は当日の午前中まで、葬儀の場合は前日までに届くようにします。
もっとも手早くて確実なのは、葬儀を担当している葬儀社に頼むことです。予算内で適切なものを選んでくれるでしょう。

供花には花環と生花がある

供物は、仏式の場合、線香、抹香(まっこう)、ろうそく、干菓子、果物を贈るのが一般的です。また最近では、故人が好んだものを贈るケースも珍しくありません。かさばらないものの場合は、通夜や葬儀の際に、じみな色のふろしきに包んで持参しましょう。
供花は、斎場の外に飾る花環と、式場内に飾る生花があります。花環は団体や公的な立場にある人、生花は近親者や友人などが贈ることが多いようです。
花環は葬儀を担当している葬儀社、生花は生花店か葬儀社に依頼します。
花環は貸し花環で統一されることが多いようです。生花は白を主体にするのが一般的ですが、中部、関西地方などは、花環の代わりに常緑小高木の櫁(しきみ)を用いることもあります。

生花は白を中心にすることが多いようですが、故人が好んだ色の花をまとめて贈ることもあります。

メモ 供物の由来

かつでの日本では、神前に飲食物を供えることで、神と交信できると信じられており、そのときに供えられる食物や品物のことを供物といいました。
当時は、煮たり焼いたりしたものを供えていましたが、しだいに生のままで供えることが多くなり、葬式の供物としてささげられるようなりました。

メモ 供花に選ぶ花

供花は、白に限らず黄菊や胡蝶蘭(こちょうらん)も使われるようですが、ピンクなど淡い色を加えるのが通例。故人の好きな花があれば加えてもかまいませんが、赤や原色などのはでな色やとげのあるバラは避けましょう。


供物、供花を贈るー注意したいことー

供物、供花は宗教上の違いがあるので注意

神式の場合、供物は鮮魚、野菜、乾物などを供えますが、香をたかないので線香や抹香は供えません。お酒を供えることもできます。また、供花は仏式同様、花環や生花を贈ります。キリスト教式の場合、供物を供える習慣はなく、供花は原則として生花だけです。ただし、葬儀によっては、あらかじめ祭壇が生花で飾られている場合もあるので、個々の供花をどう受け付けるか事前に確認しましょう。

喪家が供物、供花を辞退することもある

故人の遺志や喪家の事情などで、供物や供花を辞退する場合があります。
葬儀の案内などに「ご供物、ご供花の儀はご辞退申し上げます」とあった場合は、供物や供花は贈らないようにしますが、香典は持参してもかまいません。「ご厚志ご辞退申し上げます」とあった場合は、供物や供花だけでなく、香典も受け取らないという意味です。
いずれの場合も、先方の意向を尊重して、無理に受け取ってもらおうとしないことがたいせつです。
供物や供花は本来、香典と同じ意味合いのものですが、品物とお金の両方を贈ってもかまいません。そのときは、故人と自分の関係を考えて、先方の負担にならないように配慮をしましょう。

供物を贈る場合は、はでな色の包装紙は雰囲気にそぐわないので避けてもらいましょう。

気をつけよう! 「粗末なものですが」はつかわない

供物を持参するときのことばに、「粗末なものですが」などと言わないように気をつけましょう。故人にそんなものをと思われかねません。

メモ 遠方から贈る場合

遠方から花を贈りたい場合は、近くの生花店からも送れますが、葬儀を担当する葬儀社に直接頼むこともできます。また、NTTでは、弔電といっ
しよに花を贈る「フラワー電報」を扱っているので、利用してもよいでしょう。


男性の装い

参列者はブラックスーツが基本

男性の参列者は、黒無地のダブルまたはシングルのスーツを着用します。略礼装のブラックスーツは、通夜、葬儀、告別式、法事のすべてに着ることができます。ネクタイは黒の結び下げで、シャツは光沢のない白、靴は光沢のない革製のもの、靴下は黒を選びましょう。
会社帰りなどに、とりあえずの弔問に訪れるときは、じみな色のダークスーツであればかまいません。そのときはネクタイだけでも黒にかえ、哀悼の意を表します。黒いネクタイは駅の売店などにも売っています。

ハンカチや小物も色柄があるものはもたない

ハンカチや傘などの小物も、色物は目立つので避けます。ハンカチなら白無地か黒のフォーマル用のものを用意しましょう。傘は黒かじみな色のものを。1本もっておくと、いざというときにも、あわてなくてすみます。
カフスボタンは控え、ネクタイピンは使いません。靴は前日のうちに汚れを落としておきましょう。

 

ブラックスーツは現在では礼服として通用するくらい広く着用されています。黒無地であれば、ダブルでもシングルでも。1着は用意しておくと安心です。

気をつけよう! 上着を着たままはNG

屋外での待ち時間に着るのはやむをえませんが、コートなどの上着を着たまま、葬儀室内に入ってはいけません。
葬儀中や、故人を見送る場では脱ぐのがマナーです。

メモ 男の子の装い

子どもの場合、白いシャツに黒やグレーのズボン、じみな色のベストやジャケットを合わせます。靴下と靴は黒で、絵柄のないものを。


女性の装い

遺族よりおおげさにならないじみな装いで

最近は参列者も通夜から喪服を着る人が増えていますが、通夜はじみな平服でもかまいません。葬儀では、遺族よりおおげさにならないじみな装いをするのが本来のマナー。
アクセサリーは、黒か白のパール、オニキスの一連ネックレス、もしくはシンプルな一粒ネックレスにし、指輪は結婚指輪のみにとどめましょう。香水やマニユキアは避け、ハンカチや腕時計などの小物は色柄のないものを。

  • 和装
    略礼装にあたるねずみや寒色系の色喪服で、―つ紋か三つ紋付き。半襟、長襦袢、足袋以外の小物は黒を。
  • 洋装
    一般参列者ならパンツタイプの喪服でかまいません。レースや透ける素材は、はでになるので避けて。

[弔事での女性の装い]

和装 通夜 黒喪服の着物かじみな色無地の一つ紋、三つ紋付きか、じみな小紋に黒の一つ紋付き羽織。黒岳帯に黒の小物。
葬儀・告別式 黒喪服の着物かじみな色無地の―つ紋、三つ紋付きか、じみな小紋に黒喪帯。小物は黒か、じみな色。
法要 四十九日は色無地の一つ紋、三つ紋付き。一周忌は黒喪服または色無地の-つ紋、三つ紋付き。黒喪帯に黒の小物。
洋装 共通 黒無地のスーツやワンピース、アンサンブル、または、じみな色の礼装。

気をつけよう! 2連のネックレスはつけない

2連以上のアクセサリーは、2重3重と不幸が重なるという意味につながるため、避けます。ネックレスは1連のものを選びましょう。また、イヤリ
ングはつけてもかまいませんが、つける場合はネックレスにそろえましょう。

メモ 女の子の装い

ワンピースやシャツとスカートの組み合わせ。黒やグレー、紺などで、まとめ、靴下も白か黒にします。


弔辞を頼まれたら

頼まれたら快く引き受ける

弔辞は、故人を弔い、しのんでささげるものです。遺族から依頼されたら、よほどのことがない限り引き受けるのが礼儀。頼まれたときは快く引き受けましょう。また、弔辞をぜひささげたいというときには、葬儀の前日までに遺族や世話役に申し出ます。
弔辞を頼まれたときは、ほかに弔辞を読む人がいるかを確認します。複数いるなら、その人の故人との関係を遺族や世話人に聞いておき、内容が重ならないようにします。
弔辞は巻紙か奉書紙に薄墨を使って楷書で書き、奉書紙に包んで「弔辞」と表書きするのが正式ですが、無地の便せんに万年筆で書いて白封筒に入れるか、市販の弔辞用紙を用いてもかまいません。遺族が長く保存しますので、ていねいに書くようにしましょう。

3分程度の内容で下書きを書く

弔辞は、自分のことばで故人に語りかけるような文面にします。故人を追悼し、遺族をなぐさめる内容で、長さは400字詰め原稿用紙2~3枚で、3分程度にまとめるのが一般的です。事前に弔事に予定されている時間を確認しておくとよいでしょう。
弔辞では死や苦を連想させるような忌みことばを使わないように。

[弔辞の包みかた]

  1. 弔辞の巻紙を奉書紙の中央に置きます
  2. 右、左の順に三つ折りにします。左が前にくるように。
  3. 上下をそれぞれ裏側へ折ります。
  4. 薄墨の毛筆で、表側に「弔辞」と書きます。

弔辞の読みかた

ことばを区切りながらゆっくり心を込めて読む

弔辞を読むときは、進行役に促されてから祭壇に進み、僧侶などの宗教者や遺族に一礼をしてから、祭壇に向かい、遺影に一礼して、読み始めます。
読むときは、ことばを区切りながら、ゆっくりと故人に語りかけるように読みます。早口や小声にならないように注意しながら、心を込めて読みましょう。
弔辞は形式的には書いたものを読むように見えますが、特に故人と親しかった人が、ほかの参列者に故人の人がらを伝えるというたいせつな役割があります。自分の心を素直に表現して、参列者に、故人の死を惜しみ、哀悼する気持ちを伝えましょう。

[弔辞の読みかた]

  1. 祭壇の前に進み、宗教者、遺族、遺影に一礼します。
  2. 上包みを開き卓上に置くか、適当な場所がないときはポケットや左手にもったままにします。
  3. 上包みを手でもつ場合は、弔辞の下に重ねて、肩の高さにもって朗読します。
  4. 読み終えたら、包み直して表書きを祭壇に向けて供え、再び遺影、宗教者、遺族に一礼します。

メモ 弔辞の扱いかた

上包みはつねに左手に持ち、右手で弔文を扱うのがしきたりです。
まず、祭壇の前に立ったら、右手で上包みを開いて弔文を取り出します。
そして、右手で巻紙を開きながら読んでいき、読み終えたら、そのまま元のように弔文を巻き直します。右手で弔文を上包みに包んだら、最後は両手で
祭壇に供えましょう。



弔辞の文例

弔辞の文例一友人の場合ー

○○さん、○○さん……、何度呼ぴかけても、あなたはもうこたえてくれないのですね。あなたの輝くような笑顔も、もう目にすることはできないのですね。
あの日、あなたが亡くなられたと聞いたとき、これは何かのまちがいだと思いました。あなたとのお別れの日がこんなにも早く来るなんて、信じられません。
あなたと出会ったのは、大学生のときでした。ふたりとも映画が好きということもあって気が合い、映画のこと、恋愛や将来の夢のこと、たくさんの話をしましたね。お互い結婚してからも家族ぐるみで付き合い、夏休みにみんなで旅行に行ったこともありました。
あなたのことを思い出すと、笑顔ばかりが浮かんできます。ほがらかで、笑顔を絶やさない、ひまわりのような人でした。悩んだり落ち込んだりしたときも、あなたと話すと気持ちが明るくなりました。本当に、私はどれだけあなたの存在に救われたことでしょう。
そんなあなたが突然この世を去ってしまいました。運命のいたずらに腹立たしい思いでいっぱいです。いちばん悔しいのは、あなた自身であるにちがいありません。深い愛情で結ばれたご主人の△△さん、お子さまの口口さんと◇◇さんを残して先立ち、どんなにかご無念であったことでしょう。
○○さん。私たちの心のなかに、あななたとの思い出を胸に、私たちはあなたの分まで精いっぱい生きていきます。
ご遺族の方々の悲しみを思うと、どうお慰めしてよいかことばもありません。
微力ながら、できる限りお力になりたいと思っております。ご遺族の皆さまを、そして私たちを、どうか見守ってください。
○○さん。心残りではありますが最後のお別れを告げます。どうぞ安らからにお眠りください。さようなら。
  1. 故人への呼びかけ
    「○○さん」「○○先生」などと語りかけます。社葬や団体葬では肩書きを入れ、フルネームで呼びかけます。
  2. 故人の死への驚きと哀悼の意を表す
    訃報を聞いたときの驚きや悲しみなどを述べ、故人への哀悼の意を表します。悲しみの表現は抑えぎみにします。
  3. 故人との関係
    故人と自分との関係が、弔辞を聞いている遺族や参列者にわかるようにします。
  4. 故人の人柄や業績をたたえる
    具体的なエピソードを盛り込みます。故人の経歴や業績に誤りがないよう、事前に遺族に確認しましょう。
  5. 残された者の決意
    悲しみを乗り越えて生きていく決意、故人の遺志を引き継ぐ決意などを述べます。
  6. 遺族への心配りとお別れのことば
    遺族に対して慰めのことばを述べ、最後に別れのことばを述べて結びます。

[弔辞で使える表現]

出だしのことば

  • ○○さんのご霊前に謹んで哀悼の意をささげます。
  • ○○(会社、団体名)を代表し、弔辞を述べさせていただきます。

哀悼のことば

  • ○○さんの突然のご他界を私はまだ信じることができません。
  • こんなにも早くお別れの日が来ようとは夢にも思いませんでした。
  • 志半ばで急逝され、さぞご無念であったことと存じます。
  • かけがえのない存在であった○○さんを失った悲しみは筆舌に尽くしがたいものです。

結びのことば

  • どうぞ安らかにお眠りください。
  • 心からご冥福をお祈り申し上げます(浄土真宗を除く仏式の場合)。
  • これからも私たちを見守ってください。
  • ご遺志を成し遂げることを誓います。

気をつけよう! 故人の業績をまちがえない

故人の業績をまちがえることは禁物です。故人の経歴や業績は、事前に遺族に確認しておくとよいでしょう。固有名詞や漢字にもまちがいがないよう
に注意します。

メモ 事故死、子どもの死の場合

事故などの不慮の死や子どもの死の場合、特に遺族の心情を配慮した表現にします。交通事故などで亡くなった場合、事故の話を具体的にすると遺族
の悲しみをあおるので、簡潔かつ控えめに。
子どもの死も両親には悲しみが深いので、おおげさな表現は避けます。


通夜への参列

弔問の時間は遅過ぎず早過ぎず

通夜は、本来、遺族や近親者をはじめ、故人とごく親しい人たちが別れを惜しむためのものです。それほど親しくない人は、通夜ではなく告別式に参列するのが通例です。ただし、斎場で行われる最近の通夜では、告別式に出られない人が出席することも多くなっています。通夜は夕刻、告別式はたいてい日中に行われるので、会社勤めの人は通夜に参列しやすい事情もあります。友人の場合は、特に親しかった人が代表で通夜に出席し、ほかの人は告別式に参列してもよいでしょう。
通夜は午後6時か7時ごろから始まるのが一般的です。早く到着しすぎると、準備が整っていない場合もありますが、仏式の場合は、遅くとも僧侶の読経が始まる前には式場に到着するようにします。

服装は、じみな外出着でかまわない

本来、喪服とは喪に服する人のものなので、一般参列者の場合、じみな外出着程度でかまいません。光沢のある素材、肌を露出するデザインは避けます。仕事先から駆けつける場合などは、はででなければそのままでもよいでしょう。

[装いのポイント]

  • 男性はダークスーツ、黒か、じみなネクタイ
    通夜には正式な喪服でなく、略礼装にするのがマナーです。急なときは、職場の服装のままでもかまいませんが、シャツは白、ネクタイは黒かじみな色にかえたいもの。黒いネクタイは駅の売店などでも売っているので、かえてから参列しましょう。
  • 女性は、じみなスーツやワンピースなど
    じみなブラウスに黒無地のスカートかパンツが好まし<、はでなものは避けます。ヘアスタイルはシンプルにまとめ、メイクも控えめに。出先から駆けつけるときなどで、着がえられない場合には、アクセサリー類はなるべくはずすなどの配慮をします。

気をつけよう! 大きな音や声を出さない

しめやかな通夜の会場で大きな音を立てたり、声を上げたりするのはマナー違反。ほかの参列者との私語も失礼な行為になるので慎むようにします。
携帯電話の電源も切っておきましょう。また、会場の外に出たからといって、すぐに知人などと大きな声で話し合ったり、笑い合ったりするのも失礼になります。
子連れでの参列も、亡くなったのが子どもの友人である場合以外は、周囲に迷惑をかけるもとになるので、控えたほうが無難です。


受付でのふるまい

香典を差し出してから記帳する

式場に受付がある場合は、お悔やみを述べてから、持参した香典を手渡します。
受付の人にあいさつをしたら、香典をふくさから取り出して、表書きを相手に向けて両手で差し出します。その後、会葬者芳記帳をして、最後に再び一礼をします。

代理で参列するときは受付で申し出る

家族などの代理人として参列するときは、受付でだれの代理で来たのかを伝えたうえで香典を差し出します。不祝儀袋の表書きには出席できなかった本人の名前を書きます。
記帳する際も、代理人ではなく、本人の名前を書きます。その下や横に小さく「代」(妻の場合は「内」)と書き、そこに代理人の名前を添えます。遺族へのお悔やみも、「○○の代理で来ました」と伝えてから述べるようにしましょう。

[受付での香典の渡しかた]

  1. 「このたびはご愁傷さまです」などと受付の人におじぎをして、あいさつします。
  2. ふくさから不祝儀袋を取り出し、じくさを手早く畳み、その上にのせて差し出します。記帳し、最後に一礼します。

代理人として記帳をする際は、来られなかった本人の名前を書き、その下に小さく「代」(妻の場合は「内」)と書き、代理人の名前を書きます。

気をつけよう! 香典を無言で差し出さない

受付で何も言わずに香典を差し出し、記帳をするのはマナー違反です。受付の人は喪家側の代表と考え、心を込めたお悔やみのことばを述べましょう。

気をつけよう! 代理人は自分の名前だけ書かない

代理人として参列する際、代理人が自分の名前を書いてしまうと、遺族が香典を整理するときに混乱する恐れがあります。必ず代理人であることを、
明記するようにしましょう。


通夜でのふるまいー焼香までー

案内にしたがって席次へ進む

記帳をすませたら、祭壇のある部屋に進みます。部屋に入るときには、先客に黙礼するのが礼儀です。席次が決められていれば案内にしたがって着席しますが、一般の弔問者は先着順に着席してかまいません。
着席する際、自分より年輩の方が多い場合は後方に座るのがマナーですが、混んできた場合や前の席を勧められた場合は、あまり遠慮せずに前のほうに詰めて座ります。すでに通夜が始まっているときは、案内にしたがって着席しましょう。
仏式の通夜は、僧侶の読経、喪主や遺族、親せきの焼香、弔問者の焼香の順に進みます。
ほとんどの場合、案内係が誘導してくれるので、自分の番になったら次の人に会釈して進み、遺族と僧侶に一礼して焼香します。

和室での移動は膝行(しっこう)、膝退(しったい)がマナー

通夜が自宅の和室などで行われる場合、焼香のために祭壇前に移動するときは、遺族の近くまで進んで腰を落とし、ひざをついたまま動く膝行、膝退かマナーです。膝行、膝退は和室でのふるまいの基本マナーなので、しっかり覚えておきましょう。

[膝行、膝退のしかた]

  1. 座った姿勢で、かかとを上げてつま先立ちをします。
  2. 手を軽くついて身をかがめ、ひざを交互に運んで進みます。戻るときは前向きのまま同様に下がり、立って席に戻ります。

メモ 通夜見舞いとは

通夜見舞いとは、故人とごく親しい人が、遺族を慰めるために通夜の前におにぎりなどの軽食を差し入れることをいいます。サンドイッチ、すし、果
物、オードブルなど、すぐつまめるものが適切です。お酒やビールなどでもかまいません。通夜が始まる前に届けるようにしましょう。
また、渡す際には香典とまちがえられないように、通夜見舞いだということを告けておきましょう。


通夜でのふるまいー焼香後ー

通夜ぶるまいには はしをつける

通夜の儀式が終わると、お酒や食事などで弔問者をもてなす「通夜ぶるまい」の席が設けられます。食事などをしながら故人との生前の思い出話をすることは、故人の供養になるとされているので、喪家に勧められたら席に着きましょう。
ただし、お酒を飲みすぎたり、騒ぐのは厳禁です。長居をしすぎると迷惑になるので、適当なころ合いを見て辞去しましょう。

遺族へのあいさつは黙礼にとどめておく

通夜などの儀式の間は、遺族へのあいさつは黙礼にとどめておくのがマナーです。焼香の前後に遺族に向き合った際も、声をかけずに黙礼をします。同様に、会場内で知り合いに会ったときも、私語は慎み、黙礼ですませます。
焼香の後に、どうしても遺族にお悔やみを述べたいときは、儀式が終わるのを待って、世話役に案内してもらいます。ただし、遺族が忙しそうな場合は無理にお願いせず、受付か世話役にあいさつするだけにします。
通夜ぶるまいの後、帰り際に「きょうはこれで失礼します。お疲れが出ませんように」と、遺族にひと言あいさつできればていねいですが、取り込んでいるような場合は、そのまま退席するほうがよいでしょう。

通夜ぶるまいは、故人の供養ともされるので、勧められたら固辞せず席に着きましょう。

気をつけよう! 通夜ぶるまいは断らない

故人とあまり深い交際がなかった場合でも、遺族に通夜ぶるまいを勧められたら、断るのは失礼にあたります。
通夜ぶるまいは、故人をしのんで行うための儀式でもあるので、ひと口でもはしをつけるのがマナーです。ただし、長居をする必要はないので、20~30分を目安に退席しましょう。
特に勧められなかった場合は、僧侶の退席とともに辞去してもかまいません。


葬儀、告別式への参列

葬儀への参列は付き合いの程度で判断

葬儀とは故人を送る儀式、告別式とは故人とお別れをする儀式をいいます。葬儀には遺族や親しい人が出席し、一般の会葬者は葬儀と同時に行う告別式に参列するのが通例です。
故人とそれほど親しくない場合は、告別式に参列するのが一般的。葬儀への参列は定刻前に、告別式への参列は時間内に出向くようにしましょう。

一般会葬者の装いは略礼装が基本

喪服を着るのは、本来は喪に服している人なので、一般会葬者は略礼装に身を包むのが基本です。男性はブラックスーツが一般的ですが、急なときなどは、ダークスーツでもネクタイが黒ならば失礼にはあたりません。
女性は黒無地のスーツやワンピース、アンサンブル、あるいはじみな色の平服を着用しましょう。

[葬儀の流れと参列者のマナー]

※一般的な仏式葬儀の流れ

  1. 手荷物を預ける
    受付前にコートやマフラー、手袋などを取り、荷物預かり所で保管してもらいます。
  2. 記帳する
    受付係に一礼し、「このたびはご愁傷さまです」とお悔やみを述べ、芳名帳に記入します。
  3. 香典を渡す
  4. 着席する
    式場係にしたがって席に着きます。
  5. 焼香
    順番が回ってきたら、祭壇の前に進み焼香を行います。
  6. 出棺を見送る
    喪主のあいさつの後、出棺を見送ります。遺族から依頼があったら、火葬場へ同行します。
  7. 精進落とし
    火葬場へ同行した場合は、精進落としの席に着きます。

メモ 名刺の準備をしておく

故人との仕事上の関係があった場合、名刺を差し出したほうがよいときもあります。受付で記帳に代えて名刺を渡すこともあるので、受付の前に用意し
ておくとよいでしょう。

メモ 参列する人に香典を託す場合

同僚や香典を友人に託す場合は、連名にするのではなく、香典袋は個別に用意しましょう。氏名、住所、金額なども忘れずに明記しておきます。



会葬でのふるまい

出棺は、できる限り見送るのがマナー

告別式が終わり、喪主のあいさつがすむと出棺となります。出棺は、できる限り見送るのがマナーです。やむをえない事情で時間がとれないとき以外は、出棺を見送りましょう。
そのときは、できるだけコート類を脱ぐのが礼儀。合掌や黙礼をして最後まで静かに見送ります。
柩(ひつぎ)をのせた霊柩車(れいきゅうしゃ)を見送った後は、会葬者は解散となります。火葬場に同行しない場合は、そこで静かに帰路につきます。

火葬場へ同行したら精進落としに出席する

火葬場へは、遺族と近親者のみが同行するのが基本です。遺族から同行をぜひにと依頼されたら、できるだけ同行し、故人との最後のお別れをしましょう。
仏式では火葬の後、葬儀で世話になった人たちを招いて「精進落とし」が行われます。
招かれたら辞退する必要はなく、出席しましょう。遺族が悲しみと疲労のなかにいるのを忘れず、あまり長居はしないのがマナーです。時間が来たら、あいさつをして早めに辞去するようにします。

出棺時は、なるべくコートを脱いで見送りましょう。

[辞去のあいさつの例]

  • おさみしくなりましたが、私もできるだけおうかがいするようにいたしますので……。
  • お疲れでしょうから、お体を休めることに専念なさってください。

メモ 火葬場への同行を希望する場合

火葬場に同行するのは近親者となりますが、自ら希望して同行することもできます。その場合は、車の手配などがあるので、事前に遺族や世話役に申
し入れておきましょう。
反対に火葬場への同行を、時間がないなどやむを得ない理由で断るときは、「申しわけありませんが、どうしても所用がありまして」などとおわびをして辞去します。後日お参りにうかがう旨を伝えて、おわびを述べてもよいでしょう。


葬儀、告別式の後で

静かに帰路につき、自宅に戻ったら塩で清める

出棺を見送った後は、帰路につきます。
ほっとしたからといって大声で話したり、笑ったりするのは不謹慎なので、静かに帰りましょう。知り合いといっしょに帰る際は、故人の噂や死因などの話題は避けます。
葬儀に参列すると、会葬御礼とともに塩が入った小袋を渡されることがあります。風習によるものですが、これは死のけがれをはらうための「清めの塩」といわれます。自宅の玄関の前で、塩をかけて身を清めましょう。

塩をかける場所は、胸もと、背中、両手、足もとです。自分で、または家族などに手伝ってもらいます。ただし、死をけがれとして受けとめない浄土真宗では。清めの儀式は行いません。

形見分けの申し出はなるべく受ける

形見分けとは、故人の親族や親しい人に、故人の遺品を贈るならわしをいいます。葬儀、告別式の後、故人の家族から、形見分けの申し出があることがあります。たいていは事前に問い合わせがあるので、お礼を述べ、なるべぐ受けるようにしましょう。
受け取るときは、「ありがとうございます。○○さんの思い出として、たいせつにさせていただきます」といったことばを添えると、ていねいです。
しかし、サイズが合わない衣類など、使うことができないようなものは、辞退してもかまいません。そのときはまずお礼を述べて、「ただ、寸法が合いそうにありません。いただいて使わないと申しわけありませんので……」と、丁重に断るようにしましょう。

メモ 葬儀後に仕事に向かう場合

葬儀後、直接に仕事先に向かう場合は、斎場を出るときに足もとに塩をまき、2回踏むというしきたりもあります。

メモ 香典返しのお礼のしかた

香典返しを後日、宅配便などで受け取った場合、基本的にお礼状は不要ですが、品物が届いたまま、受け取りっぱなしでは失礼です。少し日を置いて
から喪中見舞いを兼ねて手紙を出し、「先日は丁重なごあいさつをいただき恐縮です」などの一文を添え、品物が届いたことを伝えましょう。


仏式拝礼マナー 焼香

仏式では焼香と合掌をする

仏式の通夜や葬儀、告別式では、会葬者は祭壇の前に進み、焼香を行います。焼香とは香によって仏を供養するもの、あるいは自分の心身を清めるものなどとされています。
焼香には抹香と線香の2種類がありますが、葬儀、告別式では抹香(粉末状の香)を用いるのが一般的です。
焼香の方法には、座って行う座礼、立って行う立礼、参列者に香炉が回される回し焼香の3種類があります。抹香をつまむ回数は宗派によって1~3回と異なります。線香は1本が一般的ですが、線香2~3本を折って寝かせてたく、浄土真宗などもあります。

[抹香焼香のしかた]

  1. 僧侶と遺族に一礼して、焼香台の前に進みます。
  2. 本尊または遺影に向かって一礼します。
  3. 抹香を3本指でつまみ、目の高さで おしいただきます。浄土真宗では、おしいただくことはしません。
  4. 抹香を香炉にくべます。回数は宗派によって1~3回。その後、手を合わせて合掌します。

メモ 焼香する順番

焼香は、喪主、遺族、親せきから行い、一般会葬者は最後になります。案内係の指示にしたがい、順番が来たら、僧侶、遺族、本尊あるいは遺影に一礼
して焼香をし、合掌します。
合掌後は2~3歩下がって本尊または遺影に一礼し、僧侶と遺族も一礼して、下がります。退出順路があれば、順路にしたがいましょう。


仏式拝礼マナー 回し焼香、線香での焼香

[回し焼香のしかた]

  1. 香炉が回ってきたら前の人に黙礼して受け取ります。自分の前に置いて、本尊または遺影に向かって一礼。
  2. 抹香を3本指でつまみ、目の高さでおしいただき、ゆっくり香炉にくべます。浄土真宗ではおしいただきません。
  3. 合掌をして本尊または遺影に一礼します
  4. 香炉を隣の人に回します。

[線香での焼香のしかた]

  1. 僧侶と遺族に一礼して祭壇の前に進み、本尊または遺影に一礼。右手で線香を1本取り、ろうそくの火をつけます。
  2. 線香を左手にもちかえ、右手であおいで消すか、右手に持つたまま下に引いて消します。
  3. 再び線香を右手にもちかえて、香炉の奥から、すでに供えられている線香につかないようにして静かに立てます。
  4. 合掌をし、本尊または遺影に一礼。僧侶と遺族に一礼して下がります。

気をつけよう! 焼香のタブー

抹香焼香で抹香をおしいただくとき、手のひらを上に返すのは禁物。手のひらは下に向けたまま、静かに額にかかげます。
線香の場合、息で火を吹き消したり、強く振って消したりしてはいけません。
空いている手で、あおぐようにして消します。線香は隣の線香にぶつからないように立てましょう。

メモ 回し焼香とは
座ったまま香炉と香を載せたお盆を回す回し焼香は、自宅での葬儀や参列者が多い場合に行われる焼香のしかたです。
祭壇前でする焼香のしかたと、基本的な作法は同じ。お盆を置く場所がないときは、ひざの上に置いて左手で支えて焼香します。
地域によっては、お盆の香炉の横に小銭を置く場合もあります。


仏式拝礼マナー 数珠

数珠はつねに左手にかけてもつ

通夜や葬儀、告別式には、もっていれば数珠を持参します。数珠は仏を礼拝するときに手にかける法具で、長いものと短いものがあります。一般的に、二重にしてもつ長い数珠を二輪念珠、短いものを単念珠といいます。
宗派によって形や用いかたが異なりますが、自分の宗派のものでかまいません。
数珠はつねに左手にかけてもち、座って焼香する場合は、ひざの上に置きます。数珠をもてあそんだり、腕に下げてもつのも見苦しいものです。数珠はたいせつな法具なので、畳やいすの上にじかに置かないようにします。
数珠は家にあればそれを持参しますが、必ずしも必要なものではなく、もっていなくても、失礼にはなりません。また、焼香のときにだれかに借りてもかまいません。

[焼香をするとき]

  • 左手の指を伸ばして数珠をかけ、右手で焼香をします。長い数珠の場合は、二重にして同様に左手で持ちます。

[合掌をするとき]

  • 短い数珠
    左手にかけた数珠に右手を差し入れるようにして、ひとさし指と親指の間に数珠をかけ、合掌します。
  • 長い数珠
    両手を合わせた親指に二連にした数珠をかけ、房を両腕の間にたらして合掌します。短い数珠と同様にしてもいいでしょう。

メモ 数珠とは

数珠は本来、仏事に欠かせないもののひとつです。珠の数は108個が正式ですが、実際には54個のもの、27個のものが用いられています。材質も紫
檀、黒檀、水晶、象牙など、さまざまです。
なお、現在の仏事には短い数珠が使われることが多いようです。長い数珠はひとひねりして二重にし、短い数珠と同様に使います。
もち運びのときは、数珠入れに入れると傷つきません。専用のじみな布製の袋を用意しておくとよいでしょう。



神式拝礼マナー 手水(てみず)の儀

式場の入り口で両手と口を清める

神式では、仏式の通夜と葬儀にあたる儀式を、「通夜祭(つやさい)」「葬場祭(そうじょうさい)」と呼びます。
神道では死はけがれとされ、神社に死をもち込むことはタブーとされています。このため神式では、神社ではなく、一般の斎場で行われるのが主流です。

また、神道では儀式や拝礼の前に身を清めるしきたりがあります。最近は省略されることも多くなっていますが、会葬者は式場に入る前に両手と口を清める「手水の儀」を行うのが正式です。
手水(てみず)の儀では、ひしゃくを使って両手と口を水ですすぎます。すすぐ順序をよく覚えておきましょう。

[手水の儀のしかた]

  1. 右手でひしゃくをもち、水をくみ上げ左手にかけます。
  2. 次にひしゃくを左手にもちかえ、水をくみ上げ右手にかけます。
  3. 再び右手にひしゃくをもちかえ、左手に水を受けます。その水で口をすすぎ、水を再度、左手にかけます。
  4. 最後にひしゃくを立てて、残っている水を柄に流します。ひしゃくはもとの位置に戻します。

メモ 神式葬儀の名称

  • 通夜祭=通夜(仏式)
    通夜祭では玉串奉奠(たまぐしほうてん)を行います。通夜祭の後には、故人の霊を霊璽(れいじ・仏式の位牌にあたるもの)に遷(うつ)す「遷霊祭(せんれいさい)」が行われます。遷霊祭によって、故人の霊魂は肉体を離れ霊璽に遷り、以後は神としてまつられていく、といわれています。
  • 葬場祭=葬儀(仏式)
    葬場祭では、神職が故人の出生や業績を織り込んだ祭詞(さいし)を奏上します。その後、玉串奉奠などが行われます。


神式拝礼マナー 玉串奉奠

玉串をささげ二拝二拍手一拝

「ニ礼ニ拍手一礼」とも言います。
神道の儀式では弔事に限らず、必ず玉串奉奠が行われます。これは榊などの枝に紙垂(しで)という白い紙片をつけた玉串を祭壇にささげて拝礼する儀式です。玉串奉奠は自分の真心をのせて故人を追悼するためのものといわれ、通夜祭、葬場祭で行われる、仏式の焼香にあたります。神職、喪主、遺族、親せき、会葬者の順で、全員が行います。

[玉串奉奠のしかた]

  1. 神職に一礼し、玉串の根もとを右手で上からもち、葉を下から支えて受け取ります。
  2. 案(玉串を置く台)の前に進み、玉串をおしいただき、根もとが手前に来るように時計回りに90度回します。
  3. 左手を玉串の根もとに、右手を葉先に、左右の手をもちかえます。
  4. もちかえたら、時計回りに180度回し、根もとを祭壇に向けて案の上に置きます。
  5. 玉串をささげたら、深く2回、頭を下げます。
  6. しのび手(音を立てない拍手)でニ拍手し、再び深く頭を下げ、下がってから神職、遺族に一礼。

メモ しのび手とは

神式の拝礼は「ニ拝ニ拍手一拝」が基本ですが、弔事の場合の拍手は「しのび手」で行います(五十日祭まで)。
しのび手とは音を立てない拍手で、大きな音は立てません。手のひらを合わせる寸前で止めるのがポイントです。これを2回繰り返します。


キリスト教式拝礼マナー 基本

一般会葬者も葬儀の10分前には着席を

本来、キリスト教には、通夜という概念はありませんが、それに代わる「前夜式」、「通夜式」などと呼ばれる儀式が、自宅や教会で執り行われます。
キリスト教式の場合、一般会葬者も葬儀から参列したいものです。葬儀には、開式の10分前には着席するようにしましょう。
服装マナーは、仏式の葬儀に参列するときと同様でかまいません。信者はベールをかぶりますが、信者以外は不要です。

聖歌、讃美歌の合唱と献花を全員で行う

キリスト教では、仏教や神道と異なり、故人は仏や神とはならないので、礼拝の対象にはなりません。葬儀では、故人をしのび、神に礼拝をささげるのが目的となります。
プロテスタントでもカトリックでも、葬儀に特別な形式はありませんが、柩を教会の祭壇に安置し、讃美歌斉唱、聖書の朗読、追悼の説教、弔辞や弔電の朗読、献花などを行うのが一般的です。
讃美歌は知らなければ歌わなくてもかまいません。また、信者でなければ、十字を切る必要はありません。ほかの宗教の葬儀と同様に、厳粛な気持ちで儀式に臨みましょう。
持参する香典は、無地の白封筒に入れ、表書きは「お花料」とします。

ささげる花は両手で受け取り胸の高さでもちましょう。

メモ 葬儀形式が自分の宗教と異なるとき

神式やキリスト教式など、なじみのない場合でも、印刷された式次第が配られるので心配する必要はありません。
宗派によって違いはあっても、参列者の作法はほとんど同じです。聖歌や讃美歌を知らなくても、静かに拝聴します。献花では、白菊やカーネーションなどの花をささげます。


キリスト教式拝礼マナー 献花

仏式の焼香にあたる献花を行う

キリスト教式の葬儀では、献花が一般的になっています。カトリックとプロテスタント、また教派や教会によっても式次第が異なりますが、いずれも告別式にあたるところで献花が行われます。欧米では土葬の際、穴のなかに柩を入れるときに会葬者が花をささげますが、日本では祭壇に白菊などの茎の長い花をささげるのが通例となっています。
献花は喪主、遺族、親せき、一般会葬者の順に行われます。順番が来たら、祭壇前に進み、係の人から花の部分が右になるように受け取るのが一般的です。
最近では、特定の宗教によらない自由葬、無宗教葬などでも献花が行われています。

[献花のしかた]

  1. 祭壇の前で一礼したら、献花台の前に立ち、茎を自分側に向けます。
  2. 花を180度時計回りに回転させて茎を祭壇に向け、両手で静かに献花台に置きます。
  3. 少し頭を下げ、黙とうするか遺影に一礼し、2~3歩退いてから、遺族、神父や牧師に一礼します。

気をつけよう! お悔やみことばは使わない

キリスト教の場合、死はすべての終わりではなく、死は神のみもとに召されることを意味します。そのため、「ご愁傷さまです」というお悔やみのこと
ばはふさわしくありません。知らせを受けたら、「お知らせいただき、恐れ入ります」とあいさつしましょう。
また、生花以外の供物は贈らない習慣があるので注意します。


新しい形式の葬儀に参列する

従来のしきたりにとらわれない「自由葬」

最近では、宗教儀礼の形式にとらわれない葬儀が注目されています。これらの葬儀は「自由葬」「無宗教葬」などと呼ばれます。
自由葬には、告別式などで自由な演出を盛り込むものや、宗教色を排除したものがあります。拝礼の方法としては、献花を行うことが多いようです。
自由葬に参列する場合は、基本的に通常の葬儀と同様の服装マナーで、香典を持参し、故人との親しさに応じて供物や供花などを贈ります。特に葬儀の案内に「平服でお越しください」などの記述があれば、それにしたがいます。通知に供物や香典を辞退する意向があるときも、同様にしたがいましょう。
また最近は、家族や身内だけで行う「密葬」や「家族葬」も増えてきています。

生きているうちに行う「生前葬」

「生前葬」とは、生きている間にお世話になった人にお礼を言っておきたいという気持ちから、存命中に自分の葬儀を行うことをいいます。形式は、実際の葬儀にのっとった形式であったり、和やかな雰囲気でパーティー風にして行ったり、とさまざまです。
生前葬は会費制の場合が多く、その場合は香典を持参するは必要ありません。

生前葬はレストランなどでパーティー形式にする場合も。

メモ 特別なマナーはないのであわてない

自由葬と聞くと、どうふるまえばよいか心配になるかもしれませんが、仏式の焼香、神式の玉串奉奠、キリスト教式の献花など、いくつかの宗教の葬
儀のマナーを知っていれば、あわてることはありません。
また、当日にならなければ葬儀の形式がわからないことが多いものです。特に事前に案内がなければ、通常の葬儀と同様の心構えをしておけばよいでしょう。


新しい形式の葬儀での注意点

作法は趣向に応じて「良識」で判断

自由葬など新しい形式の葬儀に参列する場合は、故人や遺族側の要望や思いを尊重するのが原則です。故人の願いを理解して、良識あるふるまいを心がけましょう。

また、新しい形式の葬儀は、趣旨を理解して出席することがたいせつです。基本的には通常の葬儀のマナーに準じますが、もし自分が信仰している宗教の作法があり、それをまわりに強要したりしなければ、その作法にしたがってもかまわないとされています。

[新しい形式の葬儀の注意点]

  • 参列者
    自主的にだれでも出席できる場合や、招かれる場合、有志として出席する場合があります。喪家から連絡を受けなかったものの、どうしても焼香をさせてもらいたいときは、日をおいて家族に連絡をし、焼香をさせてもらうようにお願いします。
  • 香典
    香典は、会費制の場合や「香典、供物はご辞退します」など葬儀当日の通知があった場合以外は、持参するのが普通です。表書きは、「お花料」「御香典」などとし、金額に迷った場合は、主催者に直接たずねてもかまいません。遺族が香典を辞退している場合は、持参しないのがマナーです。どうしても贈リたい場合は、お花や故人の好きだったものを贈るのがよいでしょう。ただし、遺族の負担にならないようにします。
  • 服装
    服装は案内状や通知に添うようにします。「平服でおいでください」と言われたら、黒の礼服は慎むのがマナーです。ただし、はでな服装は避けるべきでしょう。男性はじみな色のスーツ、女性はじみな色のスーツやワンピースを選びます。

メモ 自由葬ならではのスタイル

自由葬は、故人が愛好したことを中心にプランニングされるものです。もし、葬儀の演出用に故人に関係する思い出の品などを持参するように依頼さ
れたら、快く受けましょう。そうした品物で故人をしのぶことができるのも、自由葬の特徴です。
祭壇には、故人が生前に好きだった生花を飾り、黙とうが行われ、ときには焼香や献花を取り入れるスタイルも多く見られます。



葬儀に参列できなかったら

葬儀後の弔問では後飾りの祭壇に拝礼する

葬儀後に喪家を訪問した際は、弔問が遅れた言いわけはせずに、非礼を手短にわびるだけにします。お悔やみを述べて香典を渡した後、「お参りさせてください」と断り、後飾りに拝礼します。仏式ならば線香をあげ、合掌して祈ります。四十九日以降で後飾りがない場合は、仏壇へ拝礼します。
葬儀後の間もない時期で、遺族が忙しそうなときは、早めに辞去するのが礼儀です。ただ、日がたっていて先方に引き止められた場合は、故人の思い出を語るなどして、できるだけお付き合いするのもマナーです。
香典の表書きは「御香典」としておくと時期を問いません。

[仏壇への礼拝のしかた]

  1. 正座して姿勢を正し、本尊に向かって一礼します。
  2. 線香を取って、ろうそくの火をつけ、手であおぐなどして消し、香炉に立てます。
  3. 合掌し、最後にもう一度、本尊に一礼をします。

メモ 後で不幸を知ったら

訃報を受けたときに不在だったり、喪家の手違いなどで不幸を遅れて知ったときは、すぐに電話か手紙でお悔やみを述べます。先方のつごうを聞き、
できるだけ早く香典を持参して弔問しましょう。
すぐに行けないときは、その旨を伝えて非礼をわび、香典は現金書留で郵送します。すでに香典返しがすんでいると思われる場合は、お返しはいらな
いことを中袋などに書いておきましょう。


弔問のマナーQ&A

Q お手伝いを申し出るときに注意するべきことは?

A 遺族や世話役の指示にしたがうことがたいせつです

手伝いをする場合は、喪主や世話役に「何かさせてくださいませ」などと申し出ます。近親者であっても勝手なふるまいは控え、喪家の指示にしたがうことがたいせつ。
手伝いの手が足りている場合は辞去し、おにぎりやサンドイッチなど、食事を差し入れてもよいでしょう。台所まわりを手伝うことも多いので、エプロンを持参したいものです。エプロンは、黒または白が無難ですが、なければ、じみなものにします。服装は通夜の前までは動きやすい普段着でかまいませんが、通夜以降に、受付係などで表に立つ場合は、黒無地のスーツやワンピースなどに着がえます。台所係は動きやすいじみな平服でかまいません。

Q 供物、供花を贈ったときにも香典は必要なの?

A 決まりはありませんが、故人や遺族との関係によって決めます

香典、供物、供花は、いずれもそれらを贈る人の弔意の表明です。したがって、供物や供花だけでもかまいませんし、香典だけでもかまいません。また、その両方を贈ってもかまいません。けれども、供物を贈る場合は、事前に先方の意向を確認するようにしましょう。
供物は霊前に供える品物のことですが、一般的には故人や遺族と関係の深い人が贈ることが多く、近親者、故人、遺族と親しい間がらにある場合は、両方贈ることが多いようです。

Q 受付で名刺を出すときのマナーは?

A 名刺の右肩に「弔」と書くか左下Aを折ります

そのままでもかまいませんが、名刺の右肩に「弔」と書くか、左下を折って弔意を表します。お悔やみのことばを書き添えてもていねいです。
上司の代理の際は、自分の名刺の右肩に「代理」と書き、上司の名刺に添えます。この場合も名刺の左下を折り、弔意を表します。

Q 弔事が、慶事や出産、病気と重なった場合はどうしたらよい?

A 一般的には弔事を優先させます

弔事と慶事が重なった場合は、弔事の相手は最後の対面になるという理由から、一般的には弔事を優先させるのが礼儀とされています。
弔事は通夜、葬儀と告別式の2日間あるので、どちらか一方に出席することで、弔事と慶事に参加できないか検討します。
都合がつかずに、弔事を優先する場合は、慶事の相手にすぐに欠席の連絡をし、日をあらためでご祝儀や祝いの品を贈りましょう。その際は、おわびのあいさつ状も忘れずに。
また、身内の結婚式と重なったときは、弔問を遠慮したほうがよい場合もあります。この場合、欠席の理由をはっきり説明する必要はなく、「やむをえない事情で」などとし、弔電やお悔やみの手紙を送るようにしましょう。
自分が出産間近であったり、乳児がいる場合や病気療養中のときなどは、弔問を見合わせても失礼にはあたりません。

乳児がいる場合や病気療養中のときは、弔問を見合わせてもかまいません。

Q 宗派が違う場合、拝礼を自分の信仰でしてもよい?

A 自分が信じる宗派の作法にそってもかまいません

喪家の宗教と別の宗教を信仰している場合、無理に合わせなくてもかまいません。
たいせつなのは周囲との調和を乱さないよう心配りをすることです。自分なりに最善と思われる方法で弔意を表せば、差し支えありません。

Q キリスト教式の葬儀には、ロザリオが必要?

A キリスト教の信者でなければ合掌と黙とうで十分

ロザリオとは、キリスト教のカトリック教徒が祈りのときに用いるもので、十字架に数珠のようにつなげた珠がついているものです。信者でなければ、合掌と黙とうで十分です。

Q 火葬場や葬式会場からの帰り道は、行きと違う道にするべき?

A 迷信なので、気にする必要はありません

葬儀は、死者の霊を来世へ送り出す儀式であるため、葬儀に出向いた後の帰り道は、霊が再び現世に戻るのを避け、来た道をなぞらないほうがよいというならわしがありました。
最近ではそれはどこだわることもなくなつてきましたが、どうしても気になるようなら、別の道かもしくはまわり道をして帰るとよいでしょう。



冠婚葬祭早引き事典シリーズ

① 教えて 祝儀袋の表書き
② 喜ばれる 中元・歳暮の贈り方
③ バッチリ決める!訪問のマナー
④ 大切なお客様の おもてなし
⑤ おいしくいただくテーブルマナー
⑥ 『手紙の書き方』これで解決!
⑦ これで安心!結婚式に招待されたら!
⑧ 仲人を頼まれたら
⑨ 婚約・結納のしきたり
⑩ 結婚披露宴のプランニング
⑪ 結婚式挙式のプランニング
⑫ 出産から成人まで!わが子のお祝いごと
⑬ 大切にしたい人生の記念日・お祝いごと
⑭ 暮らしの歳時記
⑮ お葬式参列のしきたり
⑯ ご臨終!突然「遺族」になったら
⑰ 仏式のお通夜・お葬式
⑱ 神式・キリスト教式のお葬式
⑲ 終活・生前にしておきたいこと
⑳ お葬式 Q&A よくあるご質問
㉑ お葬式が終わってからのこと
㉒ お墓と納骨のこと
㉓ 四十九日・年忌法要の行い方

 

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