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教えて!祝儀袋の表書き 冠婚葬祭事典①

冠婚葬祭事典① 表書き編

目次 Contents

祝儀袋不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)の基本

お金包みに使われてきたのし袋

日本には、昔から金品を贈るときに紙で包む作法が伝わってきました。なぜなら、けがれのないものを贈ることが重要とされ、紙で包み、ものを汚さないようにしていたからです。
現在では、お金包みとして、あらかじめ水引とのしがついたのし袋や、それらが印刷されたのし紙・かけ紙か使われています。冠婚葬祭や暮らしのなかのさまざまなお付きあいで、金品を贈る機会は何かと多いもの。古来伝わった形式や意味を知ったうえで応用しましょう。

水引の種類は2種類ある

本来は、お金や贈り物の包みをしっかり結び留めておくために用いられていたのが「水引」で、慶弔問わずかけるのが礼儀です。水引には大き分けて「ちょう結び」と「結び切り」の2種類があり、目的によって使い分けます。(38ページ参照)

のしはお祝いごとのみにつけるもの

「のし」は「のしあわび」を簡略化したもの。日本では古来より贈り物にお酒とともに海産物のあわび、するめなどの酒肴(なまもの)を添える習慣があったことが趣旨で、のしをつけると「なまものを添えて贈ります」という意味になりますです。ですから慶事では基本的にのしをつけますが、魚介類や肉類を贈る場合は、なまものが重複するとされ、のしは不要。弔事では、のしはつけません。

贈る目的と金額に見合った袋を選ぶ

お金を贈るときには、何の目的で、いくら包むのかによって袋を選びます。結婚祝いで5万円を包むならやや豪華や結び切りの祝儀袋を、出産祝いで1万円を包むならシンプルなちょう結びの祝儀袋を用います。一般的にはなかに入れる金額が高くなるほど、袋も豪華にします。
袋の基本は白です。目上の方へ贈る場合、高額を包む場合は上質な白と和紙を使った、正式な袋がふさわしいでしょう。カラフルなものはカジュアルな印象になるので、親しい友人に贈る場合や、若い人向きです。


表書きの書きかたのルール

表書きは、文字をていねいにバランスよく書く

上包みの上半分には贈り物の意味を、下半分には贈り姓名をやや小さめに片きます。文字を崩したりせず、わかりやすい楷書で書くことが大切です。
表書きは筆と墨で書くのが正式。略式ならは筆ペンで書きます。ボールペンだけでなく万年筆もNG。慶事は濃い墨で、弔事は「涙で墨も薄くなる」という意味の薄墨で書きましょう。袋の上と下に同じくらいの空白ができるとバランスがよく見えます。

一(壱) 二〔弐) 三(参) 四(肆)
五(伍)
十(拾) 千(阡)
万(萬) 円(圓)  ―  ―

慶弔の金包みでは、中包み(中袋)に金額を書きます。金額は大字(上表のカッコ内の漢字)という文字を使うのが正式ですが、大字にこだわる必要はありません。


贈り主が複数のときの姓名の書きかた

ひとつの袋に贈り主の名を書き連ねる

贈り主が複数いる場合は、人数によって書き方が異なります。2~3人で贈るときは、上包みの右から目上の方順に書き、4名以上の場合は、全員の氏名を奉書紙か半紙に書いて、祝儀袋に入れます。その場合も上下の区別がある場合は、目上の方から順に右から左へ。同格の場合は、五十音順がよいでしょう。取引先など、本人とのお付き合いが浅いなら、中包みに名刺を入れます。


表書き一覧表

祝儀、不祝儀の際や、日常のお付き合いで使われる表書きは、贈る目的や相手に合わせて使い分けます。

用途 表書き
婚礼 結婚のお祝い 寿 壽 御結婚御祝 御祝 祝御結婚
仲人へのお礼 御礼 御禮 寿 壽 御酒肴料
心付け、お車代 御祝儀 御礼 寿 お車代
仏式のお礼 懇志 御礼
神式のお礼 初穂料 御玉串料 御礼
キリスト教式のお礼 御礼(神父(カトリック)、牧師(プロテスタント)様へ) 献金(教会へ)
懐妊、出産 帯祝い 祝い帯 御帯祝 御祝
出産 御安産御祝 御出産御祝 御出産祝 御誕生祝福
お七夜、命名 祝御七夜 御酒肴料 寿 祝命名
家族のお祝い お宮参り 祝御宮参 御祝
初誕生日 祝初誕生日 祝御誕生日 御祝
初節句 祝御初節句 初雛御祝 初節句御祝 御祝
七五三 御祝 祝七五三 七五三御祝 七五三おめでとう
神社へのお礼 御初穂料 御玉串料
入園、入学 御入園御祝 祝御入園 御入学御祝 祝御入学 ご入園(ご入学)おめでとう 合格御祝
卒業、就職 祝御卒業 卒業御祝 祝御就職 就職御祝
成人式 御成人御祝 祝御成人
結婚記念日 祝結婚記念日 祝銀婚式(25年目) 祝金婚式(50年目)
長寿 長寿御祝 寿福 敬寿 祝還暦(61歳) 祝古稀(70歳) 祝喜寿(77歳) 祝傘寿(80歳) 祝米寿(88歳) 祝卒寿(90歳) 祝白寿(99歳)
贈り物 訪問の手土産 御伺い 御挨拶
帰省の手土産 お土産 松の葉
引っ越し 引っ越し先でのあいさつ 御挨拶
引っ越し業者へのお礼 寸志 御礼
引っ越しする人へ 御餞別 はなむけ
暮らしのお祝い 一般的な御礼 御礼 謝礼 感謝 御祝儀 御挨拶 寸志 薄謝(目下の人、同輩へ)
新築 御新築御祝 祝御新築 祝御新居
地鎮祭 御祝儀(工事関係者へ) 御神饌料(神主へ)
上棟式 祝御上棟 祝祝儀 御酒肴料(工事関係者へ)
栄転、昇進 祝御昇進 祝御昇格 祝御栄転 御栄転御祝 御祝
勤続祝い 勤続○年御祝 御祝
定年退職 御祝 祝御退職 御礼
受賞、入賞、叙勲 御受賞御祝 祝御受賞 御入賞御祝 受勲御祝
発表会、展覧会 御祝 楽屋御見舞(発表会に)
開店、開業 祝御開店 祝御開業 祈御発展
お見舞い 病気、けが見舞い 御見舞 祈御回復 祈御全快 御伺
災害見舞い 御見舞 災害御見舞 災難御見舞
陣中見舞い 陣中御見舞 祈必勝 祈御健闘
快気祝い 快気祝 快気内祝
不祝儀 仏式 通夜、葬儀 御霊前 御香典 御香料 御仏前 御佛前(「御仏(佛)前」は浄土真宗のみ)
法要 御仏前 御佛前 御供物料 御香料
お寺へのお礼 御布施 御経料 御膳料 御礼 お車代
神式 通夜、葬儀 御玉串料 御榊料 御霊前
霊祭 御玉串料 御榊料 御神饌料
神社へのお礼 御玉串料 御榊料 御祭祀料 御神饌料 御膳料 御礼 お車代
キリスト教式 通夜、葬儀 お花料 御霊前(カトリックのみ)
追悼式(記念式) お花料
教会へのお礼 献金 御礼 お車代
弔事でお世話になった人へ 志 御礼(目上の方へ) 寸志(目下の方へ)

結婚する側の表書き

「結び切り」の水引がついた袋を使用

粘婚に関するお金を包む場合は一度きりで二度と繰り返さないという願いを込めた「結び切り」の水引がついた袋を用います(教会への献金の場合は除く)。表書きは「寿」とすれば、結婚関係のほとんどのものに使えます。
結婚する側では、媒酌人、式を挙げた教会や神社、挙式や披露宴の関係者、挙式当日手伝ってくれた方など、お世話になった方へ感謝を込めてお金を包むことが主になります。

[相手に合わせた表書き]

結婚を祝う側の表書き

デザイン性のある「結び切り」の袋が人気

少額を包むなら印刷された略式の袋でかまいませんが、高額の場合は袋も豪華にしないと不自然になります。
3万円程度を包む場合を基準に、祝儀袋を選んでみましょう。


表書きは「御結婚御祝」と1行で書いてもよいでしょう。また、中央に大きく「御祝」と書いて、右側に小さく「御結婚」と添える方法もあります。

お祝いごと全般に使える表書き

「ちょう結び」の水引に「御祝」と書く

出産、入学など成長に伴うお祝いや、新築など人生の節目にあたるお祝いには「ちょう結び」の水引を使います。この水引は何度も結び直すことができることから、何度あってもうれしいお祝いごとという意味が込められています。
高額の場合は金銀の水引にするなど、場合によって使い分けましょう。

ちょう結び、のしつきの袋に「御祝」と書いた場合は、一般的なお祝いごと全般に使えます。贈り主の名前はフルネームを書くのが基本です。

[ お祝いの目的を書くとき ]

何のお祝いかを書き添えたいときは、「御祝」の文字の右側に「御出産」など、お祝い目的をやや小さく添えて書きます。


目的に合わせたお祝いの表書き

何のお祝か表書きで伝える

古来より贈り物をする際は、だれが何を贈ったか目録をつけるのが慣習でした。その風習が変化して、のし袋やのし紙の表に書くようになり、表書きになりました。
かつて表書きは何を贈ったか中身を知らせるものでしたが、現在では「祝御入学」など相手に伝えることばを書くようになっています。

[目的に合わせた表書き]

お付き合いの表書き

紅白の「ちょう結び」の水引でお礼やごあいさつを

日常のさまざまなお付き合いのなかで、ちょっとしたお礼や、季節のごあいさつとして金品を贈る場合があります。
その際は、紅白のちょう結びの水引で、のしつきの袋を使います。表書きは目的や相手によって選びましょう。
目上の方へは「寸志」は使いません。

葬儀 -喪家側の表書き

「結び切り」の不祝儀を使う

お通夜、葬儀の際の不祝儀袋は、不幸が二度とあってほしくないという意を込め「結び切り」の袋を使います。不祝儀袋には、なまものの象徴であるのしはつけません。
喪家側では、お通夜、葬儀を通じて僧侶や神職など、たくさんの方にお世話になります。そのお礼としてお金を包む場合が多くなりますので、宗教や目的によって表書きを使い分ける必要があります。

葬儀 -弔問者側の表書き

宗教や形式で表書きを変える

通夜や葬式で現金を贈るとき、一般的に「香典」といわれることが多いものですが、これは本来、仏式の呼びかた。正しくは「不祝儀」です。
弔問者側の不祝儀袋も、故人の宗教で形式や表書きが異なるので気をつけます。喪家側か参列者を把握できるよう、表書きにはフルネームを書き、中包みには住所も忘れずに書きます。

法要の表書き

宗教によって異なる表書き

法要は、親せきや親しい人を招いて、死者の魂が無事にあの世へ行けるようにと祈る儀式です。
仏式で四十九日の法要以降は「御仏前」とします。神式の法要は霊祭といい、「御玉串料」とします。キリスト教式では追悼式(記念会)を営むことがあり、お金ではなく生花を贈るのが原則ですが、「お花料」として現金を包むこともあります。表書きや氏名を書くのは、普通の墨でかまいません。

お見舞いの表書き

不幸なできごとと励ましとで形式が異なる

お見舞いには、病気やけが、地震、火事、風水害などの不幸なできごとを見舞う場合と、発表会や選挙、合宿などへ激励の気持ちで見舞う場合があります。
不幸なできごとへのお見舞いには、水引ものしもない白い袋を用います。励ますためのお見舞いには、お祝いごとと同じように、紅白のちょう結びの水引で、のしつきの袋を用います。
お見舞いは相手の立場に立って考えないと、かえって迷惑にもなりかねません。特に病気見舞いや災害見舞いを贈るときは、まずは相手の状況を察して、贈る物、うかがう時期などを配慮するのがたいせつです。

ふくさの包みかた

祝儀袋、不祝儀袋はふくさに包んで持参する

祝儀袋や不祝儀袋は、お祝いやお悔やみの気持ちを伝えるものなので、むき出しで持ち歩かずに、相手に渡すまでふくさに包‘みます。
ふくさは、慶事には明るい華やかな色のもの、弔事では紺や灰色などの落ち着いた色のものを使います。紫ならば慶弔どちらにも使用できるので、1枚あると便利でしょう。
ふくさがない場合は、小さなふろしきでもかまいません。また、最近では、札入れタイプの「はさみふくさ」や盆代わりの板がついた「台つきふくさ」など便利なふくさも販売されています。

水引の結びかた

用途で変わる水引の色と結び

水引の起源は、飛鳥時代にさかのぼり、中国からの贈り物に紅白の麻ひもが結ばれていたことが始まりといわれています。
室町時代には贈り物に帯紙が巻かれて、江戸時代には現在のような形式になって目的により、水引の色や結びかたを変えるようになったといわれています。
水引は慶弔で色が異なり、慶事では赤白、金銀、赤金が、弔事では黒白、黄白、双白(白色のみ)、双銀(銀色のみ)が使われます。水引の本数も、本来は慶事では奇数、弔事では偶数にするとの慣習がありましたが、現在はどちらも5本が定番です。

代表的な水引きの結びかた


冠婚葬祭早引き事典シリーズ

① 教えて 祝儀袋の表書き
② 喜ばれる 中元・歳暮の贈り方
③ バッチリ決める!訪問のマナー
④ 大切なお客様の おもてなし
⑤ おいしくいただくテーブルマナー
⑥ 『手紙の書き方』これで解決!
⑦ これで安心!結婚式に招待されたら!
⑧ 仲人を頼まれたら
⑨ 婚約・結納のしきたり
⑩ 結婚披露宴のプランニング
⑪ 結婚式挙式のプランニング
⑫ 出産から成人まで!わが子のお祝いごと
⑬ 大切にしたい人生の記念日・お祝いごと
⑭ 暮らしの歳時記
⑮ お葬式参列のしきたり
⑯ ご臨終!突然「遺族」になったら
⑰ 仏式のお通夜・お葬式
⑱ 神式・キリスト教式のお葬式
⑲ 終活・生前にしておきたいこと
⑳ お葬式 Q&A よくあるご質問
㉑ お葬式が終わってからのこと
㉒ お墓と納骨のこと
㉓ 四十九日・年忌法要の行い方

 

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