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完全版!神式・キリスト教式のお葬式 冠婚葬祭事典⑱

冠婚葬祭事典⑱神式・キリスト教式葬儀編

目次 Contents

神式 葬儀の基本

故人の霊をまつる神式の葬儀

神道の一連の葬儀は、総称して「神葬祭」と呼ばれます。死後は成仏するという仏教に対し、「大は神から生まれ神へ帰る」という考えかたの神道では、死後は神となってこの世にとどまり、遺族を守ってくれるとされています。つまり、神葬祭は、故人の霊を残された家族や生前に親交のあった人の守護神としてまつる儀式なのです。
神道では死を忌み、慎むことから、喪の期間中の遺族は鳥居をくぐってはいけないとされているので、葬儀は神社では行わず、自宅か斎場で行います。最近では、簡略化されて行われることが多く、地域によっても差があります。そのため、地域の神式葬儀に精通している葬儀社に相談して、葬儀の進行をまかせるのがよいでしょう。

神式の儀式の基本は二拝二拍手一拝(二礼二拍手一礼)

  1. 手水(てみず)の儀
  2. 二拝二拍手一拝
  3. 玉串奉奠(たまぐしほうてん)

以上の3つが神式独自の儀式です。まず手水の儀で身を清め、神式の拝礼である二拝二拍手一拝をします。弔事の場合は、しのび手という音を立てない拍手をします。玉串とは、神木である榊の小枝に紙垂と呼ばれる紙片をつけたもので、これをささげて故人の霊を慰めます。

神式では、拝礼の前に必ず、身を清める「手水の儀」行います。

メモ 手水の儀の準備

神式では、拝礼の前に必ず「手水の儀」を行って身を清めます。葬儀社に頼んで、葬場の入り口に「手水の儀」を行うための手桶とひしゃくを用意し
てもらいます。ただ、最近では簡略化されて、洗面所で手を洗うだけですませてしまうケースもあるようです。

メモ 献饌(けんせん)とは
神式の葬儀でよく行われる「献饌」とは、神饌を供えることをいいます。洗米や塩、酒などの「生饌(せいせん)」と、故人が生前に好んで食べた「常饌(じょうせん)」を三方(さんぽう)にのせて供えます。葬儀社の用意したものに故人の好物をを加えるとよいでしょう。


通夜祭、遷霊祭の流れ

仏式の通夜にあたる逮通夜祭、遷霊祭

神式では通夜のことを「通夜祭」といい、半通夜が一般的です。続いて、故人の霊魂を肉体から霊璽(仏式の位牌にあたるもの)に遷す還霊祭を行います。神職は故人の霊が遷るように還霊詞を奏上し、霊璽を仮霊舎(仏式の後飾りのようなもの)に納めます。

霊璽は仏式でいう位牌にあたるもの。表には霊号(仏式でいう戒名)が、裏には没年月日や享年などが書かれます。なお、遷霊祭は通夜祭の前に行うこともあります。

[通夜祭、遷霊祭の流れ]

通夜祭

  1. 手水(てみず)の儀、修抜(しゅばつ)の儀
    式場に入る前に全員が手水の儀をし、式場に入ったら、神職が大麻、柩、祭壇、玉串、弔問客の順におはらいをします。
  2. 神職一拝
    神職が一拝し、それに合わせて一同が一拝します。
  3. 献饌(けんせん)
    一同は着席。神職が饌を供える「献饌」を行います。
  4. 通夜祭詞奏上(つやさいしそうじょう)
    神職が、故人の安らかな死と遺族を守ってくれることを祈る祭詞を奏上します。
  5. 玉串奉奠(たまぐしほうてん)
    神職、喪主、遺族や親せき、弔問者の順に玉串をささげて拝礼。拝礼は二拝二拍手一拝で、音を立てないように手を打ちます。

遷霊祭

  1. 遷霊の儀
    部屋の明かりをすべて消し、神職が柩に霊璽を向けて、故人の霊魂が霊璽に遷るように遷霊詞を唱えます。
  2. 遷霊祭詞奏上
    神職が霊璽に遷られた御霊に、遺族を見守ってくれるように願う祝詞を奏上します。この間、一同は低頭します。その後、霊璽を仮霊舎に納めます。
  3. 玉串奉寞
    神職、喪主、遺族や親せき、弔問者の順に玉串をささげます(通夜祭と合わせて1ですませることがほとんどです)。
  4. 直会(なおらい)
    仏式の通夜ぶるまいにあたる「直会」を行います。遺族は簡単な食事などで、弔問者をもてなします。

通夜祭、遷霊祭で遺族がすること

祭詞奏上の原稿資料を用意する

通夜祭、遷霊祭、葬場祭で行われる「祭詞奏上」は、神職が故人の略歴や功績、人がらを織り込んだことばを述べ、故人の安らかな死と遺族への守護を祈るものです。
通夜祭の前に神職と、故人の略歴などを打ち合わせして祭詞を作成するか、資料を渡します。資料は履歴書のような形式で、まとめてもよいでしょう。

弔問者に神式の葬儀であることを伝える

神式の葬儀は独特の作法があるので、弔問者がとまどうこともあります。事前に神式の葬儀であることをいい、注意点などがあったら伝えておきます。不慣れな弔問者が多いときは、葬儀社や世話役に対応をお願いします。
宗派や地方によって、神式のまつりかたや式次第が異なります。一般的には、帰幽奉告(きゆうほうこく)、納棺(のうかん)の儀、通夜祭、遷霊祭、葬場祭(そうじょうさい)、出棺祭(しゅっかんさい)、火葬祭、帰夜祭(きかさい)などがおもな儀式です。このように儀式が煩雑なうえ、葬儀自体の数が少ないので、神職や葬儀社によく相談して執り行うとよいでしょう。葬儀社にまかせれば、うまく取り計らってくれます。
臨終時に帰幽奉告(神棚と祖先に死亡したことを奉告すること)をしたら、神棚の前面に白い紙をはるか、扉を閉めます。

祭詞奏上では、神職が故人の略歴や功績、人がらを織り込んで祭詞を奏上します。

メモ 神式儀式での席順

 

メモ 直会(なおらい)の料理

神式では、通夜祭、遷霊祭の後に「直会」という宴席を設けます。これは、仏式の通夜ぶるまいにあたるもの。神式では喪家は火を使ってはいけないと
されているので、仕出屋のすしなどを利用します。



葬場祭、告別式

略式化される発柩祭(はっきゅうさい)と葬場祭(そうじょうさい)

本来は、葬場祭の前に発柩祭(出棺祭・しゅっかんさい)が行われます。柩(ひつぎ)が自宅から斎場へ向かうときに葬列を組んで移動するものですが、現在では省略または簡略化される場合がほとんどです。最近の発柩祭は、葬場祭で出棺の祭詞(さいし)を奏上(そうじょう)し、故人と最後のお別れをしたらくぎ打ちを行います。本来、神式でのくぎ打ちは臨終後の納棺の儀で行いましたが、現在では仏式に習って出棺直前に行われることが多くなっています。

[葬場祭、告別式の流れ]

  1. 手水(てみず)の儀
    手水の儀をすませ、全員が着席します。会場の入り口付近に手桶を用意します。
  2. 神職入場、開式の辞
    神職が入場。全員が起立して(和室の場合は座つたまま)低頭して迎えます。司会者が葬場祭の開式を告げます。
  3. 修抜(しゅばつ)の儀、神職一拝
    神職は葬場(祭壇)、柩、玉串、遺族、会葬者の順に修祓(おはらい)を行います。神職のー拝に合わせ、会葬者も一拝します。
  4. 奉幣(ほうへい)、献饌(けんせん)の儀
    楽が奏でられ、神職が神饌と幣帛を供えます。
  5. 葬場祭詞奏上
    神職が故人の略歴や人がら、功績などを述べる祭詞を奏上し、故人の安寧と遺族への守護を祈ります。一同は低頭して聞きます。
  6. 弔辞と弔電
    弔辞をいただき、弔電を紹介します。弔辞は3人以内、弔電は2~5通を紹介します。
  7. 玉串奉寞(たまぐしほうてん)
    神職、喪主、遺族、親せき、一般会葬者の順に霊前に進み、玉串をささげます。
  8. 神職一拝、閉式の辞
    神職の一拝に合わせて会葬者一同が一拝します。その後、司会者が葬場祭の閉式を告げます。

告別式

  1. 開式の辞
    短い休憩の後、司会者が告別式の開式を告げます。
  2. 故人との最後の別れ
    会葬者が柩に花などを入れ、故人の肉体との最後の別れをします。
  3. あいさつ、閉式の辞
    喪主があいさつをして、司会者が閉式の辞を述べます。

神式 火葬祭、帰家祭

土葬の禁止により変化した火葬祭、帰家祭(きかさい)

昔は葬場祭後に土葬にされていたので、すぐに「埋葬祭」や「墓前祭」に移りましたが、土葬が禁止になった現在では、火葬場で「火葬祭」を行います。また、本来は昔のしきたりにならい、火葬後すぐに墓地に埋葬していました。しかし現在では、遺骨を家にもち帰って、「帰家祭」を行うのが通例です。

出棺後の家で行う後はらいの儀

神職がふたりいる場合、出棺後に残ったひとりが「後はらいの儀」を行います。祭壇を取りはずしてから、おはらいをして家を清め、忌中札をはずします。それから身を清めるための水と塩を準備し、遺骨を四十九日まで安置する「後飾り」の祭壇をつくります。神職がひとりの場合は、火葬の帰宅後に行います。

[火葬祭、帰家祭の流れ]

  1. 火葬祭
    炉の前に柩を安置し、白い布をかけた案に米、塩、水や花などを供えます。神職が一拝します。
  2. 祭詞奏上
    神職が祭詞を奏上します。
  3. 玉串奉奠
    会葬者全員が玉串をささげます。
  4. 火葬
    柩を火葬します。
  5. 拾骨(しゅうこつ)
    拾骨は仏式と同様の作法です。

帰家祭(きかさい)

  1. おはらい
    火葬場から戻ったら、門を入る前におはらいをしてもらいます。
  2. 遺骨、霊璽(れいじ)の安置
    仮祭壇に遺骨と霊璽を安置します。
  3. 祭詞奏上
    神職が祭詞を奏上します。次いで全員が拝礼します。
  4. 玉串奉奠
    新たな玉串をささげます。(火葬場で使用した玉串は使用しません。)
  5. 直会(なおらい)
    遺族は葬儀を手伝ってくれた人々の労をねぎらうために、直会の席を設けてもてなします。

キリスト教式(カトリック)の通夜

儀礼を重んじた教会でのミサが中心

カトリックでは、仏式のような通夜のしきたりは特にありません。葬儀は、神をたたえ許しを請い、永遠の命を願うための重厚なミサが中心となります。最近では、それぞれの国や地方の伝統や習慣を取り入れた葬儀も認める傾向にあり、通夜や火葬場での儀式も行われ、焼香を行うこともあります。

通夜の司式は神父に依頼する

通夜は、自宅か教会で行われます。自宅で行う場合は、病者の塗油の儀式に来てもらった神父に、葬儀の司式(司会のこと)を引き続きお願いする旨を伝え、葬儀社を含めて打ち合わせをします。つごうが悪いときは、ほかの神父にお願いします。葬儀社は、教会指定の会社に頼むとスムーズに進みます。

[通夜の流れ]

  1. 聖歌
    遺族、弔問者、神父がそろったら聖歌を歌うか、沈黙があります。
  2. 聖書の朗読、説教
    聖書の一節の朗読後、神父による説教か、しのぶことばがあります。
  3. 通夜の祈り
    弔問者全員で聖歌を歌うか、沈黙の後、祈りをささげます。
  4. 献花または焼香
    神父、遺族、親せき、弔問者の順番で行います。献花のかわりに焼香を行うこともあります。
  5. 茶話会
    神父、弔問者を茶菓でもてなし、故人の思い出を語り合うこともあります。

メモ 日本の風習を取り入れた通夜

キリスト教には、教派によって定められた式順序があります。外国には、献花や香典のような習慣はありませんが、アメリカでは、故人や遺族の遺志
で、特定の機関や計画への献金が、行われるケースが多いようです。
日本で行われている納棺式、前夜式、献花などは、日本の葬儀の風習を取り入れているといわれています。

メモ 通夜のとき、葬儀社に依頼すること

弔問者の数を数え、献花の花、式の進行を示した式次第、茶菓などを用意してもらいましょう。



キリスト教式(カトリック) 葬儀、告別式の流れ

告別式は遺族が主催

カトリックの葬儀では「ことばの典礼」と「感謝の典礼」からなる葬儀ミサを行いますが、参加信者の多少により「感謝の典礼」(聖体拝領・せいたいはいりょう)を省くこともあります。告別式は、神父の了承を得て遺族が主催します。弔電紹介や弔辞朗読もこのときに行います。

教会で葬儀を行う場合は、祭壇は神父の指示にしたがってつくります。

[葬儀、告別式の流れ]

葬儀

  1. 入堂式
    神父、柩(ひつぎ)、遺族の順に入堂します。会葬者は先に入堂していて起立して迎えます(あらかじめ柩が祭壇前に安置されている場合は、神父のみ入堂します)。
  2. 開会の辞
    祭壇に安置された柩に神父が潅水(かんすい)し、献香(けんこう)して祈りへの招きをします。
  3. 着席
    一般的には前列から喪主、遺族、親せき、一般会葬者の順に着席します。
  4. 葬儀のミサ
    神父が聖書の一節などを朗読し、短い説教をします(ことばの典礼)。その後、パンとぶどう酒を奉納し、さらに聖体拝領があります(感謝の典礼)。信者の人数により、ことばの典礼だけのこともあります。
  5. 弔電、弔辞
    柩への献香や潅水の後、弔辞(あるいはあいさつ)をいただき、弔電を紹介します。弔辞は、会葬者に向けて故人の思い出を語りかけるように行います。

告別式

  1. 讃美歌斉唱
    会葬者一同で讃美歌を斉唱します。
  2. 献花
    まず遺族、親せきが献花をし、その後に一般会葬者が献花をします。信者の多少により、献花の代わりに焼香を行うこともあります。
  3. 遺族のあいさつ
    出棺(しゅっかん)の際、遺族代表があいさつをします。教会によっては献花の前にあいさつを行うこともあります。

キリスト教式(カトリック) 告別式の準備

教会のやりかたにしたがって式の準備をする

カトリックの葬儀は教会によって決まりごとが異なるので、教会のやりかたにしたがって準備します。世話役は神父に相談し、事情のわかる信徒にお願いするとよいでしょう。
弔辞(あるいはあいさつ)は故人の親しかった大に早めに依頼し、3分ほどで終わるようお願いします。当日は弔辞を読む人の席を前方に用意します。会葬者へは告別式の最後に喪主があいさつをします。
教会への葬儀のお礼は、後ほど献金という形で渡します。これとは別に神父やオルガン奏者など、教会での葬儀でお世話になった大に謝礼を渡すことがあります。
葬儀社には、式の進行、聖書のことば、賛美歌の歌詞などが書かれた式次第を用意してもらいます。足りないことのないよう、多めに印刷してもらいます。会葬者の人数が把握できたら葬儀社に献花用の花も多めに用意してもらい、死体火葬許可証や埋葬許可証などの書類の受け渡しも葬儀社にお願いします。
また、葬儀では、裏に故人の写真や略歴を印刷した「ご絵」を配ります。

[キリスト教式葬儀の席順]

一般会葬者には式開始の10分前くらいまでには受付をすませてもらい、会場に案内しましょう。

最前列は喪主、世話役代表、2、3列目までに遺族、その後ろに知人や友人、一般会葬者が座ります。

メモ キリスト教式の火葬

本来は、土葬が原則でしたが、日本では火葬が法的に定められているため、火葬式は日本独自に発展した儀式です。
火葬場では火葬前の祈りを行い、柩に十字架や生花などを飾って、聖歌を歌います。カトリックでは、神父が聖書を朗読し、祈りをささげて火葬され
ます。遺骨は自宅で、納骨の日まで花を飾るなどして安置します。納骨する時期については、後日、神父と相談をして日取りを決めましょう。


キリスト教式(プロテスタント)前夜式

仏教の通夜にあたるプロテスタントの前夜式

プロテスタントの基本的な考えかたは、「イエス・キリストの死と復活により死と罪から解放され、神の恵みにより天に召され、神とともに生きる」という信仰です。そのため葬儀では、故人が受けた神の恵みに感謝し、復活への希望が確認されます。聖書と個人の信仰を重視するため、葬儀は比較的簡素です。
仏式の通夜にあたるプロテスタントの前夜式には特別な決まりごとはありません。柩は自宅または教会に安置し、柩の上に十字架をのせます。仏式の通夜にあたる前夜式があり、自宅か教会に牧師、遺族、友人や知人が集まって故人をしのびます。
一同で讃美歌を斉唱し、牧師が聖書の朗読、祈り、故人をしのぶ話を行い、一同が献花をするという式の流れが一般的です。

[前夜式の流れ]

  1. 着席、前夜式宣告
    弔問者一同が着席し、牧師が前夜式の開式を告げます。
  2. 讃美歌斉唱
    弔問者一同が讃美歌を斉唱します。
  3. 聖書の朗読
    牧師が聖書の一節を朗読します。
  4. 祈祷
    牧師が祈祷をし、弔問者一同も祈りをささげます。
  5. 讃美歌斉唱
    故人が好きだった讃美歌などを歌います。
  6. 説教
    牧師は説教ととともに、故人をしのぶことばを述べます。
  7. 献花
    一般的に、献花を行います。献花の前か後に喪主があいさつします。
  8. 語らい
    遺族が牧師や弔問者を茶菓でもてなし、故人の思い出を語り合うこともあります。

気をつけよう! 供物は飾らない

仏式では会場に供物や花環を飾りますが、キリスト教では供物は供えず、花環にも送り主の名札などはつけません。遺体の枕もとの枕飾りには、十字架、ろうそく、遺影、生花などを置き、祭壇には故人が愛用していたものを飾つでもよいでしょう。

メモ 式次第を準備しておく

信者以外の会葬者は戸惑うことも多いので、式次第をプリントして配布するのが一般的です。
式次第には、讃美歌、故人略歴が挿入されています。式の進行は牧師、葬儀社に確認しましょう。弔辞をお願いする人、紹介する弔電、席次なども打
ち合わせます。告別式の最後には遺族代表がお礼のあいさつを行います。


キリスト教式(プロテスタント)葬儀、告別式、火葬

祈りと説教が中心のプロテスタントの葬儀

神を礼拝するために行われるプロテスタントの葬儀は、神にささげられる祈りと説教が中心となります。葬儀と告別式は、区別せずに続けて行われることが多いようです。葬儀は教会主催で行われるので、式の進行は教会にしたがいます。故人の希望がある場合には、事前に教会側と相談しましょう。

出棺と火葬も祈りのうちに

葬儀、告別式後には、遺族が故人のまわりに花を飾って最後の対面をします。火葬場では、祈りをささげ、讃美歌を合唱する「火葬前式」を行います。もし、出棺や火葬前式の方法などで希望があれば、事前に牧師にお願いしておきます。拾骨の後は、仏式の精進落としにあたる会を開くこともあります。

[葬儀、告別式の流れ]

葬儀

  1. 着席
    喪主、遺族、会葬者は先に着席し、後から入場する牧師を迎えます。
  2. 聖書の朗読、祈祷、讃美歌斉唱
    牧師が聖書の一節を朗読して祈祷をささげ、会葬者一同で讃美歌を歌います。再び、牧師が祈りをささげ、会葬者一同で讃美歌を歌います。
  3. 説教
    牧師が故人の略歴紹介後、聖書から説教します。
  4. 讃美歌斉唱
    再び会葬者一同で讃美歌を歌います。
  5. 弔辞、弔電
    弔辞をいただき、弔電を紹介します。弔辞は会葬者に向けて故人の思い出を語りかけるように行います。
  6. 祈祷、オルガン奏楽
    牧師が祈りをささげ、オルガンが演奏されます。その間、会葬者は黙とうします。

告別式

  1. 献花
    告別式の献花をします。牧師、喪主、遺族、親せき、一般会葬者の順に行います。
  2. 遺族のあいさつ
    遺族代表がお礼のあいさつをします。

 

キリスト教の供物である生花には、送り主の名札をつけません。



葬儀の行い方 密葬、家族葬

密葬は親しい人だけで行う葬儀

「密葬」とは、遺族や近親者などの身内だけで葬儀をすることをいいます。もともと死因を公にしたくないとき、年末年始に亡くなるなど告別式を行うのが困難なとき、あるいは後日、社葬などとして本葬(告別式)を行うことを前提にしたときなどに行われてきました。
しかし最近では、「盛大な葬儀より、身内だけでお別れがしたい」という要望が増え、弔問者を受け付けず、家族だけで行う「家族葬」を希望する人も増えています。

密葬、家族葬は式の段取りをよく相談する

密葬や家族葬は、規模が小さいからといって簡単に行えるものではありません。葬儀社と相談して段取ぴを決めましょう。
基本的に弔問は受け付けないので、通夜ぶるまいのような大がかりなおもてなしの席は不要です。また、宗教者を立てず、焼香や献花だけを身内ですませ、火葬することも。故人が信仰していた宗教があれば、宗教関係者に連絡をして葬儀を行いましょう。火葬後には、家族で故人の思い出話をしながら、食事をするといった形もあります。

斎場で密葬、家族葬ができるところもあります。特に密葬を行いたい場合は、自宅ではなく専門の斎場を借りたほうが便利でしょう。

メモ 故人と遺族の希望が異なる場合

法が守ってくれる遺言の内容は限られていて、葬儀の形式については範囲外です。そのため、遺言があっても葬儀の形式に関しては法的効力がないので、最終的には遺族の判断で決められます。
密葬にしたいけれど、故人の地位上の問題からそれがむずかしい場合などは、密葬後に本葬(告別式)をするなど、できるだけ故人の希望にそうよう な形を取りたいものです。
本人も密葬、家族葬を望む場合は、生前に直筆の通知状を書いておくのも一案でしょう。


葬儀の行い方 密葬、家族葬の後

葬儀後に友人や知人へ死亡の連絡をする

密葬、家族葬の後には、友人や知人など故人にゆかりのある人たちに死亡通知状を出し、死亡を伝えます。死亡の経過を書き、生前の厚誼に対する感謝のことばも添えましょう。
ただ、連絡を受けた後に香典や供物をもって弔問に訪れる人もいます。そのような事態を避けたい場合は、あらかじめ通知状に、「本人の遺志により供物やご香典も辞退したい」という一文を加えておくとよいでしょう。
密葬、家族葬の後に社葬や団体葬を行う場合には、密葬の執り行いかたについて、会社や団体の担当部署と連絡を取っておきます。
また、友人や知人にとって、お別れの場がないのはつらいものです。その場合は、友人などを集めて、しのぶ会を行ってもよいでしょう。会食をするなどの形式は自由です。

しのぶ会は形式にこだわらず、故人を思い出せるものを用意します。この場合は、実行委員会や幹事団を結成し、故人の人がらにふさわしい会にしましょう。

[密葬、家族葬の通知状の文例]

父○○儀老衰のため、○月○日午後○時○分逝去いたしました。
ここに生前のご厚誼に感謝いたしますとともに、謹んでご通知申し上げます。
尚誠に勝手ながら、葬儀は本人の遺志によリ内々にて行わせていただきました。
ご供物ご香典も本人の遺志によりご辞退申し上げます。
何卒、ご了承ぐださいますようお願い申し上げます。

平成○年○月○日
喪主○○○○
ほか 親族一同

死亡通知には、「近親者だけで葬儀をすませましたので、ご報告申し上げるとともに、生前に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げます」というあいさつを添えましょう。

メモ 死亡広告を掲載する場合

密葬、家族葬の後に社葬や団体葬を行う場合は、死亡広告を掲載することがあります。このとき、密葬に一般の弔問者が訪れることがないように、社
葬の日時だけを掲載します。


葬儀の行い方 自由葬、無宗教葬

故人の人がらを反映させる自由葬

無宗教葬とは、特定の宗教や宗旨にとらわれない、自由な形の葬儀です。内容は自由ですが、通常、故人の人がらや業績などが反映される内容にします。故人の好きな音楽を流したり、献花の花を故人の好みに合わせて選んだりします。また、絵や写真が趣味だった場合、それらを祭壇に飾ることもあります。
葬儀は、遺族代表が喪主となり、中心となる葬儀委員長を決め、進めるようにしましょう。会場は自宅のほか、公共施設や集会場などで行います。葬儀社のなかには、自由葬や無宗教葬に力を入れているところもあるので、相談してみてもよいでしょう。
当然のことですが、法は厳守します。死亡届は必ず出す、死後24時間以内に火葬しないといった法律は、必ず守るようにしましょう。

[自由葬のプログラム例]

  1. 式の辞
    司会、進行係や遺族のあいさつと、自由葬を選んだ経緯や趣旨などを説明。
  2. 黙祷
    合図に従って全員で黙祷をします。
  3. 弔辞、弔電の披露
  4. 故人の業績や人がらの紹介
    写真やスライド、ビデオなどを流しながら、故人を紹介します。
  5. 献花
    故人の好きな花を選んだり、故人が好んだ音楽を流したりします。
  6. 喪主や遺族代表のあいさつ
  7. 最後の別れ
  8. 閉会の辞
    滞りなく会を終えたことを述べます。
  9. 茶話会や会食
    1~2時間を目安に行います。お祝いの席での「乾杯」にかわり、弔事では「献杯」ということばを使います。

メモ 自由葬、無宗教葬での注意点

自由葬や無宗教葬は、故人の遺志を尊重し、自由なスタイルで行えますが、法律を守ることは必要です。以下の点に注意しましょう。

わからないことがあるときは、自由葬や無宗教葬を行っている葬儀業者に相談するようにしましょう。



冠婚葬祭早引き事典シリーズ

① 教えて 祝儀袋の表書き
② 喜ばれる 中元・歳暮の贈り方
③ バッチリ決める!訪問のマナー
④ 大切なお客様の おもてなし
⑤ おいしくいただくテーブルマナー
⑥ 『手紙の書き方』これで解決!
⑦ これで安心!結婚式に招待されたら!
⑧ 仲人を頼まれたら
⑨ 婚約・結納のしきたり
⑩ 結婚披露宴のプランニング
⑪ 結婚式挙式のプランニング
⑫ 出産から成人まで!わが子のお祝いごと
⑬ 大切にしたい人生の記念日・お祝いごと
⑭ 暮らしの歳時記
⑮ お葬式参列のしきたり
⑯ ご臨終!突然「遺族」になったら
⑰ 仏式のお通夜・お葬式
⑱ 神式・キリスト教式のお葬式
⑲ 終活・生前にしておきたいこと
⑳ お葬式 Q&A よくあるご質問
㉑ お葬式が終わってからのこと
㉒ お墓と納骨のこと
㉓ 四十九日・年忌法要の行い方

 

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