指一本で逃げる容疑者を逮捕した警察官の話!? 合気道ガイドブック番外編

合気道

目次 Contents

指一本で人を倒せる?

ある条件下ならそれもあり得ます

「どんな人でも、指一本で人を倒すことが出来ます!」と言うと、「またまた。嘘ばっかり」とお叱りを受けるかもしれません。でも私にはその経験があります。少し大げさかもしれませんが、私の指一本で、人が吹っ飛んでいくのを見たのです。

その「ある条件」とは?

すみません!もう少し正確に言いますね。それは『全力で走る人を後ろから押した場合』のことでした。

合気道の前に、まずは警察学校での出来事から

警察学校

今は、佐賀市 はやぶさパソコン教室の講師をしている私は、今から30年ほど前は何と地元の警察官をしていました。警察学校というところで、逮捕術という部外秘の技術を習いました。柔道の先生が教官で、警視庁かどこかで習ってきたという技術を自分流にアレンジして指導しておられたようです。

~このとき私たちが習った逮捕術は、塩田剛三先生という合気道の大家が警視庁警察官に指導しておられた養神館合気道が素になっていたようです。そのことは、ずいぶんあとになって分かったことですが…~

逮捕術

逃げる犯人を捕まえるには?

ある日、先生は私たちに質問しました。「走って逃げる犯人を簡単に捕まえるにはどうする?」と。答が分からずにいる私たちに、先生は『”追いかけ”という技を使え』と言われたのです。私たちに『追いかけ?どんな技だろう?』と一瞬緊張が走りました。でも、何のことはありません。それは、後ろから、犯人が逃げる方向に更に押すことだ、と言うのです。「掴むのではなく後から押し倒す?なあんだ!」と全員笑ったように記憶しています。

そしてそのあと、警察学校の武道場で、警察官役に犯人役とに分かれて、この『追いかけ』を練習しました。お互いに分かっている状態でしたので、はっきり言って、警官役が犯人役の背中を押せば犯人役はそのまま倒れるだけのヤラセです。倒れた犯人をうつぶせに制圧し、「確保ーっ!」と叫べば、『おいかけ』の練習は完結でした。


ついに私の指一本で人が吹っ飛ぶときが!

逃走

数年後、私は、この「追いかけ」を実践することになりました。覚せい剤所持の容疑者アパートを捜索中、立会人であった容疑者が、突然アパート4階の自宅から逃走したのです。

らせん階段を駆け降り、アパート敷地の外へ逃げようとする容疑者を、私は必死に追いかけました。少しずつ距離が縮まったとき、教官が言っていた『追いかけ』を思い出しました。もうすぐ背中に手が届きそうだったので、容疑者の背中を押してみました・・・・・・、が、手は届かず失敗!実際には中指の先っぽが、容疑者の背中をかすっただけでした。

吹っ飛ぶ

「くそっ!失敗した!」と思ったその矢先、容疑者は「うわぁぁぁぁぁ」という声を上げながら吹っ飛んでいったのです。私には、まるで映画のシーンを観ているかのように感じられました。私の指先がかすっただけなのに、人間がここまで吹っ飛ぶとは、なんという威力だろう、とびっくりしました。
「押すてんなんてん!」(佐賀弁で「押すなど、なんてひどいことを!」の意)
受け身もとれない容疑者は、前方に吹っ飛んだあと、四つん這いの状態で着地し、両手・両膝から痛々しい出血をしてしまいました。彼が、追いかけていた私に言った一言は今でも忘れません。「押すてんなんてん!」後から押すなど、なんとひどいことを!といった意味の抗議です。

実際には、私の指先がかすっただけだったのに、容疑者本人には、大きな力で押し倒されたと感じたのでしょう。逃げる気力も完全に失せていたようで、私は、痛々しい彼のケガを介抱することになりました。


警察学校で習った逮捕術、これって養神館合気道では!?

それからさらに時が流れ、40歳近くになったころ、私は娘と一緒に合気道を習うことになりました。よく転んでケガばかりしていた娘に受け身を習わせようと思ったからです。地元の体育館では、二つの流派の合気道サークルがありました。一つが、国内最大の合気会という団体のもの、もう一つは、塩田剛三先生という方が興された養神館合気道という流派でした。どっちでもよかったのですが、曜日が合わせやすい養神館合気道という方に入門することにしました。

小手返しとか、二ヶ条抑えとか、三カ条抑えといった、古風な名前の技を習い始めましたが、ある日、「ハッ!」と気づいたのです。これって警察学校時代に習った逮捕術だと。私がやった『追いかけ』という技は、合気道にはありませんが、『力で逆らわずに合理的な方法で相手を制する』合気道的手法だと思います。
警視庁以外の全国の警察官の方にも合気道をおススメしたい

警視庁

警視庁

以前、柔道の先生が教えてくれた逮捕術は、本来の合気道とは異なる、力任せのやり方であったことも少しずつ分かっていきました。もしかすると、逮捕や制圧の際、犯人を必要以上に痛めつけてしまうかもしれません。現在、東京の警視庁は、女性警察官や機動隊の習得武道として、合気道を取り入れておられるようです。警視庁に限らず、全国の警察官の方にも、ぜひ合気道を直接習っていただき、ご自分の身を護りつつ、よりスマートな制圧ができる実力をつけていただきたいと思います。

合気道これからの魅力を紹介していきます

私の場合、警察学校の逮捕術という術科訓練のなかで知らず知らず合気道に触れ、その後、合気道道場に通うことになりました。合気道には様々な流派がありますが、塩田剛三先生の愛弟子、千田 務先生が主宰しておれる合気道錬身会の傘下にある合気道錬身会鍋島道場で稽古しています。

合気道は勝敗を争う試合がありません。武道や格闘技の優劣にこだわる方からは、『合気道は役に立たない』とか『ヤラセだ』というご意見も聞きます。でもそれは、リングや試合会場のなかで、審判がいて、決められた制限時間で勝敗を争う、競技武道や格闘スポーツをイメージしてのものでしょう。そうではない実社会で同じことをしたら、勝者は即、傷害罪で捕まることになります。また、武道や格闘スポーツに真面目に取り組んでおられる方ほど、力の誇示をせず、自分を律する真の強さをお持ちのように思います。

合気道の場合、こうした「誰が強いか」「どちらが強いか」とは関係なく、老若男女どなたでも楽しんで稽古できることが魅力です。それでいながら、襲い掛かってきた力に対しても、しっかり護身として役に立つこともあるわけです。

遅咲きの一社会人合気道ファンに過ぎない私ですが、この合気道ガイドブックのブログを通して、私なりの合気道の魅力を少しずつ紹介していきます。お楽しみに!

 

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