素人には分かりにくい「発達障害」。子育て中のパパとママは『もしかして、わが子もそうなのでは?』と気になったことが一度はあるはず。ここでは、子育て中の方から寄せられている相談内容をまとめています。気になる場合は、早めに専門医に相談しましょう。
目次 Contents
発達障害とは
文部科学省が、特別支援教育のなかで定義する『発達障害』は、以下のとおりとなっています。
- 自閉症(Autistic Disorder)
自閉症とは、3歳位までに現れ、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。 - 高機能自閉症(High-Functioning Autism)
高機能自閉症とは、3歳位までに現れ、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいう。
また、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。 - 学習障害(LD)(Learning Disabilities)
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。 - 注意欠陥/多動性障害(ADHD)(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。
また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。 - ※アスペルガー症候群
アスペルガー症候群とは、知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものである。なお、高機能自閉症やアスペルガー症候群は、広汎性発達障害に分類されるものである。
1歳を迎えるころ
おしゃべりを始めるお子さま、まだその様子が見えないお子さま、親としては、わが子に発達の遅れがあるのではないかと不安に心配になる時期でもあります。
子どもは、おしゃべりするようになるずっと前から、人と関わる力やコミュニケーションの力を、日々育んできているそうです。
この時期のお子さまは、視線や声、微笑みや身振りなど、ことば以外の表現方法を精一杯使って、周囲とコミュニケーションしようとしてくるでしょう。これらの行動の芽生えが、その後の対人関係やコミュニケーションの基礎となっていくと言われています。
0歳後半にみられる特徴
大人とのやりとり遊びを一緒に楽しむことができます。
- 目が合う
- 身体を揺らすと喜ぶ
- イナイイナイバーを喜ぶ
- 微笑みかけると微笑み返す
- 名前を呼ぶと反応する
- 他の子どもに興味を示す
兆候の確認方法
イナイイナイバーや、身体を大きく揺らすなど、身体を使った遊びを、微笑みながら目を合わせて、一緒に楽しんでみてください。
11ヵ月~12ヵ月にみられる特徴
お子さま自ら様々なやり方で大人に自分の意思を伝えようとしてくるようになってきます。
- 大人の注意をさかんにひこうとする
- 大人の真似をする
- 大人が指さしたものを見る
- 欲しいものを指さしで伝える
- 興味があるものを指さしで伝える
兆候の確認方法
遊びの中で、パパ、ママがお子さまの真似をしたり、逆にお子さんが大人の真似をしたくなるような関わりをしてみましょう。喜んだお子さんは、もっとやって欲しいと要求してくるでしょうか?
また、お子さまが欲しがったり、興味を示しているものを見つけたら、一緒に指さしをして、顔を見ながら優しく言葉をかけてみましょう。お子さま
は、いろんなものを指さしして、もっと伝えようとしてくるでしょうか?
15ヵ月~17ヵ月に見られる特徴
コミュニケーションの表現方法がますます複雑になってきます。
- 興味があるものを見せに持ってくる
- 大人の視線を追って、大人が見ているものを見る
- いつもと違うことがあると、親の顔を確認する
兆候の確認方法
お子さまの、人と関わる力やコミュニケーションの力は、日々の経験の中で育ちます。ご家庭や地域の実情に合わせて、児童館など同年齢のお子さんと遊べる場所に出かけてみましょう。ご家庭にはないような遊具で遊んだり、同年齢のお子さんと関わったりするなど、いろいろな経験ができる機会を持ってみて、お子さまに「特徴」が表れてきているか確かめてみましょう。
乳幼児期の症例
(国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育支援センターHPより転載)
おもちゃを使って遊ぼうとしない
- Q Aくんは1歳6ヶ月の男の子です。単語はたくさんお話ししますが、おもちゃを使って遊ぶことにあまり興味がないようです。おもちゃの車のタイヤをいじったり、投げたりするばかりなのです。どのように対応したらいいでしょうか。
- A 平均的な発達の1歳6ヶ月児は、おもちゃの車を動かしたり、積み木を荷物に見立てて積んだりするなど、おもちゃに合った遊び方をするようになります。また、人形やぬいぐるみを使ってごっこ遊びも楽しむようになります。
服が濡れるとすぐに着替えたがる
- Q Bちゃんは、1歳8ヶ月の女の子です。粘土や砂場で遊ぶのを嫌がって、なかなか遊べません。服が少しでも濡れると、すぐに着替えないと気がすまないようです。着る服も数が限られているのですが、色にこだわっているのでもないようだし、何にこだわっているのかわからずに困っています。どのように対応したらいいでしょうか。
- A 粘土や泥んこ遊びが嫌いな子どもは、遊び自体の面白さよりも、粘土のベタベタした手ざわりや、砂のザラザラした手ざわりが苦手、つまり、肌の触覚が極度に敏感な場合が多いようです。そのように考えると、服が濡れるとすぐに着替えたがるのは、服が肌にピッタリくっつく肌ざわりや、水分を吸って服の重みが増した感じが苦手なためかもしれません。
触覚にひどく敏感な子どもが、着る服を極端により好みする場合、タグ、素材、留め具の重みなどの肌ざわりが苦手という可能性もあります。どのような手ざわり、肌ざわりのものを嫌がっているのかを見つけてあげましょう。
手ざわりなどの触覚のほかに、音、温度などさまざまな感覚について、人は誰でも生まれながらに、多かれ少なかれ苦手なものをもっています。そして、「猫舌」の人が熱い食べ物を口にするのがとても大変であるように、苦手な感覚は、個人の努力で克服するのは大変困難です。生活に大きな支障をきたさない限り、無理に克服することはありません。「苦手な種類の感触のものは触らなくてもいい」環境にしてあげると、子どもは安心して過ごすことができます。どうしても慣れないといけないもの以外は、避ける工夫を手伝ってあげましょう。
理由もなく怒り出す
- Q Cくんは、2歳半の男の子です。同年代の子と比べるとことばが遅いようで、二語文はまだ出ません。しょっちゅう、わけもなくかんしゃくを起こし、しかもなかなかおさまらないので外出もできず、困っています。あまりにも聞きわけが悪いので、お母さんはときにはCくんをぶってしまいたくなります。どのように対応したらいいでしょうか。
- A ことばがまだ十分に話せない、あるいはいわれたことばの理解が十分でない子どもは、自分の要求や思いが聞き入れてもらえなかったと感じると、とたんにかんしゃくを起こすことがあります。まずは、どんな状況のときに子どもがかんしゃくを起こすのか、注意深くみてみましょう。そして、かんしゃくを起こす理由を理解するための手がかりを見つけてあげましょう。
かんしゃくをおこすきっかけでよくあるものは、「だめ!」といわれることとか、「○○をしなさい」といわれることです。そういったきっかけを減らしたり、避けたりする方法を考えてみましょう。たとえば、次のような方法が考えられます。
●子どもが触っていけないものはあらかじめ手の届かないところに置く
●「いいわよ」と言える場合にはなるべくそうする
●「だめ」と言う代わりにほかの選択肢を呈示したり、別のものに注意を向けるようにさせるまた、子どもがかんしゃくをおこさずに落ち着いていられたら、何かごほうびがもらえるようなシステムもつくってみましょう。そして子どもの悪い点だけでなく、よい点を見つける努力をすることです。少しでも見つけたらすかさずほめることが大切です。物事には終わりがあること、ひとつが終われば次の予定に移るのだ、ということを、子どもにわかる形で、前もって伝えてあげることも有効でしょう。たとえば、次のような方法が考えられます。
●これからの予定を示す
例)「ブランコを10回こいだら、公園での遊びをおしまいにして家に帰ります」
「これから○○店で買い物をして、家に帰ります。ごはんは家に帰ってから食べます」
●前もって写真や絵を見せながら説明する。
ことばがまだ十分に理解できない頃は、状況の見通しがもてずに、不安が高まってかんしゃくを起こしやすいのです。子どもにわかるような方法で説明してあげることで、落ち着くようになるでしょう。言語の発達がよいにもかかわらず、遊びが広がらず、おもちゃを投げるといった感覚を楽しむ遊びが中心だったり、車のタイヤなどおもちゃの特定の部分だけに興味をもったりするタイプの子どもは、ひとりでは遊びのレパートリーを広げることが苦手な場合が多いようです。ひとりで遊んでいると、どうしてもそのような遊びを繰り返してしまいがちなので、少しの時間でも大人が一緒に遊ぶ時間をつくりましょう。そして、子どもが喜びそうなおもちゃを使って、大人が遊びの見本をみせてあげましょう。たとえば、大人がコップで飲み物を飲むふりや、人形に食べ物や飲み物を飲ませるふりをして子どもに見せると、子どもは喜びませんか? そして、それらの真似をするようになったら、子どもは徐々に自分の遊びに取り入れていくことでしょう。そのようにして、遊びのレパートリーは少しずつ広がっていくでしょう。
会話がなりたたない
- Q Dくんは3歳の男の子です。物の名前はたくさん言えるのですが、会話では何を言いたいのか分かりにくく、こちらが言っていることも伝わっていないように感じます。同年齢の子どもと比べてことばが遅れているようで、3歳児健診で何を言われるのか心配です。どのようにかかわってあげたらいいでしょうか。
- A Dくんは、どのようなタイプでしょうか。こちらの言っている事が伝わっていないとのことですが、聞かれたことに関連する内容を話そうと努力をしているようでしょうか。それとも、自分から話しをしておしまいということが多いでしょうか。また、こちらの話しをしているのが待っていられなくて、どんどん話してしまうという事はないでしょうか。 ここでお聞きしたようなことを観察することによって、Dくんの苦手な事は何か想像する事ができます。例えば、言葉を使って考えるスピードが周りについて行けなくて困っているのかもしれませんし、言葉のやりとりの始めと終わりという枠組みがよくわからないのかもしれませんし、待っているという事が苦手なのかもしれません。 まずは、大人はうまく相づちを打ちながら、タイミング良く短めの返事をして、お互いのスピードを合わせるということを試してみてはいかがでしょうか。ゆっくり考える子も、待てないという子も、その子なりのスピードがあるのです。また、やりとりの始めと終わりを、動作や文字や絵などの目に見えるものを使ったりしながら教えていくのも良いかもしれません。 市区町村でおこなわれる3歳児健診では、ことばの遅れについても相談にのってもらえます。相談したいことや気になることは、あらかじめメモしておくとよいでしょう。
同世代の子と遊ばない
- Q 保育所に通っている4歳半の息子(Eくん)についての相談です。先日、保育参観に行ってきました。他の子たちと話したり遊んだりせず、一人で絵本を見ていました。兄弟がいないので、ふだんも家で一人遊びばかりしています。どのようにしたらお友だちと遊んでくれるようになるのでしょうか。
- A Eくんが、お友だちと一緒に遊ばない理由を考えてみましょう。他の子の声がうるさくて嫌だと感じている、どうしたら仲間に入れるのかわからない、他の子のしている遊びに興味がない、絵本などにはまり込んで没頭しやすい、他の子とペースが合わないなど、様々なことが考えられます。
これらの一つ一つの理由に対して対応を考えてみます。例えば、他の子の声がうるさいのであれば、周りの子どもと小さい声で話をする機会を作ってみるとか、大勢でいる部屋ではなくて少人数で静かに遊ぶようにしてみる。どうしたらいいか分からないようであれば、大人が見本を見せて真似を促してみる。絵本にはまり込んで没頭しやすければ、終わりのページがきたらタイミング良く他の遊びに誘うとか本の片付けを一緒にする。他の子とペースが合わなければ、Eくんの真似を他の子にしてもらうなど、ペースを合わせる楽しさを体験させてみるなど。
このような理由の想像や対応のアイデアは、やはり専門家などの相談を利用してみるのが得策でしょう。
活発すぎてあぶなっかしい
- Q Fくんは幼稚園の年中の男の子です。好奇心旺盛で動きが活発で元気な男の子です。ですが、道路に飛び出したり、走り回って転んでけがをしたり、熱い物に手を出したりと、とても危険です。走っていてお友だちにぶつかったり、口げんかになると手が出て相手をけがさせたりします。Fくんと外に出るとお母さんはへとへとです。どのように対応したらいいでしょうか?
- A まずは危険なことが起きるのを避ける工夫をしましょう。危険なものをFくんの手の届かないところに置くようにします。その上で、Fくんと「○△は触ってはダメね」と約束をします。スーパーへの買い物など、好きなものや目新しくて楽しそうなものがたくさんある場所へ行く時には、あらかじめ約束を確認して見通しを絵などでわかりやすく伝えます。お母さんのお買い物が終わったら「ガチャガチャのところに行って1回だけやっていい」などをなるべく具体的に伝えます。最初にFくんの大好きなお菓子を手にもたせれば後はおとなしく待てる、という場合もあります。
けんかの場面では、ことばで言いたいことをすぐに言えないのがもどかしくて、お友だちに手が出てしまうのかもしれません。そういう場合にはたとえば「やめて!」と言う、先生に言いに行く、などの行動を具体的に教えてあげます。うまくできたときにはほめてあげましょう。
衝動性をコントロールすることは大変なことです。特に幼児はコントロールする力も弱いので、なおさらです。このままだと怪我や事故が起きるのではないかと心配な場合は、市町村の窓口、発達障害者支援センターならびに医療機関で相談しましょう。
就学前のお子さまの症例
(国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育支援センターHPより転載)
- Q きょうだいや他の子どもと比べて何だか違う気がして心配。
- A 他の子どもと比べて、お子さんの発達や行動について「どうして?」と心配になることがあります。将来のことも考え、今のうちに何かしてあげたいと思います。熱心にいろいろなことに取り組み、少しでも他の子どもと同じように伸ばしてあげたいという気持ちが強くなることがあります。しかし、そのことが、逆にお子さんに負担をかけてしまうことがあり、かえってマイナスの影響を及ぼすことがあります。また、親御さんの不安な気持ちが、お子さんに伝わってしまうことも少なくありません。お子さんの育ちについて不安を感じたら、まずは安心して話ができる身近な人に相談してみましょう。あるいは、健診でお世話になった保健師さんや専門の相談機関(発達障害者支援センター「相談窓口」)に相談してみましょう。お子さんの特性に合わせた子育てのアドバイスをもらえるでしょう。また、引き続きサポートをしてもらえることもあります。
- Q 同じくらいの年齢の子と遊ぶことができないので心配です。
- A 幼児期は、集団の中でことばや友達との関わり(社会性)を育んでいきます。子どもたちの中には、自分の思っていることをうまく友達に話せなかったり、友達の言うことがよくわからなかったりして一緒に遊べなくなってしまう子どもがいます。ここで重要となるのは、「ことばの育ち」と「他者との関わり」の2点から考えることです。「ことばの育ち」では、理解ができて使える単語や話し方を増やしていくために、いろいろな場面での体験を通して事物や出来事に関することばの理解や表現方法を教えていく必要があります。「他者との関わり」では、集団の中にいてもその場の状況やルール(暗黙のルールも含めて)がうまく理解できないのか、友達の気持ちや意図していることに気づかずにいるのか確認する必要があります。もし、設定された集団活動を嫌がり、集団から離れてしまう姿が頻繁に見られるようでしたら地域の相談機関(発達障害者支援センター「相談窓口」)に詳しく相談にのってもらってはいかがでしょうか。
- Q 幼稚園(保育所)から「みんなと一緒の行動がとれないから何とかして欲しい」と言われました。どうしたらよいでしょうか?
- A 発達障害のある子どもの中には、集団で行動することが苦手な子どもがいます。しかし、それは、保護者の方だけで解決できることではありません。保護者としてできることは、お子さんに集団活動を無理強いしないようにしたり、注意したり叱ったりしないようにすることです。これらは、事態をより複雑にする可能性があります。まず、幼稚園(保育所)でのお子さんの様子について担当の先生から話を聞き、状況を把握しましょう。その上でどんな対応をしてもらうべきか、話し合うことが必要です。最近は、幼稚園などにも特別支援教育コーディネーターが配置されていることが多くなっています。そのような立場の先生に話し合いに入ってもらったり、地域の相談機関(発達障害者支援センター「相談窓口」)に相談したりして適切な対応策を聞きましょう。現在、指導や支援を受けている専門機関があれば、その担当者にアドバイスをもらったりすることもよいでしょう。
- Q 他の友達が使っているおもちゃを取ったり、急に友達を叩いたりしてしまいます。どうしたらよいでしょうか?
- A 自分の感情をコントロールしたり、言葉で表現したりすることが難しいために、友達のおもちゃを取ってしまったり叩いてしまったりする子どもがいます。また、その場の状況やルールが分からなかったり、友達の気持ちを思いやることが難しかったりする場合もあります。このような場合には、まずどうしてお子さんがそういった行動をとってしまったのか、その時の状況や理由を正しく知ることが大切です。頭ごなしに叱るのではなく、お子さんがとってしまった行動の理由や思いに共感した上で、どのように行動すればよいのかを具体的に教えてあげましょう。お子さんが、乱暴な行動をとってしまいそうなことが察知された時には、穏やかに声をかけて事前に止めることも1つの方法です。
- Q 思ったことをそのまま言ってしまうことがあります。どうしたらよいでしょうか?
- A 相手の気持ちを想像したり、表情から相手の気持ちを読み取ったりすることが難しいために、相手の嫌がる(傷つく)言葉を率直に言ってしまう子どもがいます。このようなお子さんに対しては、その場で相手の嫌がることを言ってはいけないことを教えましょう。ただし、相手の気持ちを想像することが難しいため、「どうして相手が嫌がることを言うの?」と尋ねたり、「相手が傷つくことは言いません」と抽象的に注意したりするのでは、お子さんはどうしたらよいのかわかりません。「〇〇という言葉は、言わないよ」といったように具体的に教えましょう。
- Q 落ち着きがないことが心配です。
- A 落ち着きのない行動には、様々な理由が考えられます。例えば、目の前の興味のあるものに触ってみたい、苦手な状況から逃げ出したい、自分が何をすればよいのかわからない、大人からもっと注目されたいなどです。お子さんにとって危険な行動をした場合はすぐに止める必要がありますが、行動の理由を考えて対応することが大切です。何か嫌なことがあって落ち着かない行動をとっている場合に、叱ったり注意したりしても効果はありません。まず、そうした行動をとったお子さんの気持ちを受け止めましょう。お子さんがどう振る舞えばよいのかわからない時は、具体的に指示しましょう。例えば、約束やルールを「○○しましょう」と具体的に伝えるとよいです。落ち着きがないお子さんは、どうしても叱られることが多くなりがちです。落ち着いている時や状況に合った行動ができた時には、ほめることも大切です。
- Q 外出先で突然、子どもが走り出し、目が離せません。どうしたらよいでしょうか?
- A お子さんが急に走り出すと事故に遭うのではないかと気が気ではなく、心が休まりません。お子さんが突然、走り出してしまうのには、自分の好きなものを見つけたために嬉しくて駆け寄ってしまう、あるいは逆に嫌いなものや初めての場所で不安になり、それらを避けるために走り出してしまうなどの理由が考えられます。外出先でのお子さんの好きなものや場所、苦手なものや場所を把握しておきましょう。また、外出先では、手をつないで行動することをお子さんと約束しておきましょう。時間に余裕がない時は、迷子になりやすい広い場所に出かけることは控え、親御さん自身が疲れてしまわないようにしましょう。
- Q 何度注意しても子どもが言うことをきかないので、つい感情的に叱ってしまいます。
- A お子さんの行動が、周りに迷惑をかけないようにと気を遣ったり、周囲の視線が気になったりしてお子さんを過度に注意し叱ってしまうことがあります。このことで親御さんが、自己嫌悪に陥ったりストレスがたまったりして、ますますイライラしてお子さんを感情的に叱ってしまうといった悪循環に陥ってしまいがちです。また、お子さんにおいては、度々、注意されることで自信をなくしてしまったり、やる気を失ってしまったり、反抗的になったりします。こうした状況は、親御さんとお子さんの双方にとって辛いことです。親御さんの焦る気持ちは、親心として当然です。それでも、まずはお子さんがなぜ、そのような行動をするのかを振り返り、お子さんの気持ちを推測してみましょう。お子さんの行動と気持ちを振り返ることで、行動の意味が見えてきます。冷静に振り返れば、お子さんもずいぶんと我慢し、頑張っていることが見えてきます。あわせて、ご自身のお子さんへの関わり方も振り返ることで、お子さんの状態にあった対応をしているのかを見直すことができます。お子さんやご自身のことを振り返ることとともに、親御さんが休息をとってリフレッシュしたり、周囲からの助けを借りたりすることも大切です。
- Q 予定を変更するとパニックになってしまいます。どうしたらよいでしょうか?
- A いつものやり方にこだわる子どもは、見通しが立たない状況、もしくは見通しと異なった状況に置かれると不安が高まります。これは、予期しなかった状況の中で、いったいこれらから何が起こるのか分からず不安だけが高まり、どのように対応すればよいのかを想像することが難しいためです。予定の変更が生じた時は、あらかじめお子さんにそのことを伝え、どのように行動するかを具体的に伝えましょう。そうすることで、お子さんの不安を和らげることができます。そして、予定の変更を伝える際には、言葉での説明だけでなく写真や絵カードなどを添えて伝えると、お子さんに理解しやすいです。もし、やむを得ず急な予定の変更が生じた場合には、上述のような対応をした上でお子さんの様子を確認し、混乱が大きい場合には無理強いをしないことが大切です。
- Q 初めての場所や活動が苦手です。
- A 初めての場所や初めての行事などの活動に対して身がすくんだり、パニックを起こしてしまったりする子どもがいます。初めての場所や活動に対して、不安な気持ちになるのは当然です。このような場合、「この状況は、あの時と似ているから大丈夫」と以前に経験したことや類似した出来事を思い出して、これからのことを予測することができれば不安を軽減することができます。しかし、こうしたことが難しいお子さんにとっては、初めての場所や活動は非常に不安が大きいものとなります。お子さんの不安を軽減させるために、事前に写真や絵などを使用して具体的に説明をしてあげましょう。そして、初めての場所で過ごせたり、初めての活動に参加できたりした時には、そのことをほめてあげましょう。
- Q 音にひどく敏感なことが気になります。
- A 音そのものが苦手である、あるいは、赤ちゃんの泣き声や工事の音、トイレのエアタオルなどの特定の音を嫌がる子どもがいます。こうした子どもには、耳栓やノイズキャンセリングヘッドフォンなどがあると安心して外出できる場合があります。また、音に対して敏感であるにもかかわらず、大きな声を出す子どもの中には、自分の声で嫌な音を遮ろうとしていることがあります。音への過敏性の対応に当たっては、まずはお子さんが苦手とする音を把握することが大切です。お子さんの苦手な音を把握できれば、お子さんの前ではその音を極力出さない、音を緩和するものを用いる、苦手な音が聞こえる場所は避けるといった対応をとることができます。加えて、音に対して過敏になる背景には、不適切な環境のために強い不安や抑うつ状態にある可能性が考えられます。こうした場合には、不安を喚起させない環境づくりに努め、お子さんが気持ちを落ち着けることができるスペースを作るなどして対応することが求められます。
- Q 身体の動きがぎこちないことが気になります。
- A 走り方がぎこちなかったり、ブランコに上手く乗ることができなかったりするなど、自分の身体を上手に使うことが難しい子どもがいます。また、不注意のために足元や周囲をよく見ておらず、転んだり物にぶつかったりする子どももいます。こうした子どもは、周りのお友達に身体を上手に動かすことができないことをからかわれたり、失敗経験を重ねたりすることで運動に対して苦手意識をもってしまうことがあります。まずはお子さんの好きな遊びを通して、身体を動かす楽しさを経験させることが大切です。トランポリンやシーツブランコなど、大人が子どもと一緒に楽しみながら身体を動かす機会を積極的につくりましょう。また、ボールプールなど、手足の動きがぎこちない子どもが、そうでない子どもと同じように遊べる遊具の活用も自発的な運動を促進します。
- Q 特定のおもちゃで遊んだり、同じ絵本ばかり読んだりして興味が広がりません。
- A 子どもが、同じおもちゃなどで遊び続けることに対して、どうして飽きないのだろうかと不思議に感じることがあるでしょう。子どもが、同じおもちゃなどで遊び続けるといった行為は、その対象にじっくりと関わり、満足感や充実感を味わっているという意味では、今後の遊びを発展させていく上でとても大切なことです。一つのことを大事にしている子どもの気持ちをほめてあげましょう。一方、子どもが、他のおもちゃなどに関心が向きにくい理由には、扱い方(遊び方)がわからない、特定のおもちゃなどであれば他者と関わりがもちやすいなどといったことが考えられます。お子さんが、気に入っているおもちゃやそれに類似したおもちゃなどを介して楽しいと思える遊びの環境を作り、お子さんの他の遊びへの興味・関心を広げていけるとよいです。また、見慣れないおもちゃや絵本に不安を覚え、いつも同じものであることで気持ちが落ち着き、安心できる子どももいます。この場合は、お子さんの気持ちの安定を大事にしつつ、環境に新しいものを徐々に加え、そのことへの反応を見ながら、少しずつ新しいおもちゃや絵本への関心を引き出すようにしましょう。
小学校段階のお子さまの症例
(国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育支援センターHPより転載)
- Q 自分の好きなことについて一方的に話したり、突然、話題を変えたりします。どうしたらよいでしょうか。
- A このようなお子さんの行動に対して、ただおかしいと注意するのは逆効果であり好ましくありません。どうすればよいのか、具体的にお子さんに伝えることが大切です。おしゃべりは、相手と自分が話したり、聞いたりを順番に繰り返すことによりお互いのことがわかり、楽しいことなのだということを教えましょう。「少し話したら、止まろう」、「2回話したら、いったん止まって何回話したか数えるようにしよう」などの具体的な約束を決め、実際に家族の会話の中で練習するとよいでしょう。また、突然、話題が変わったために何の話をしているのかわからなくなった場合には、大げさな表情を見せて、「ん?今何の話だったっけ?」などと問いかけ、お子さんが自らの話し方に気づくようにするとよいでしょう。
- Q 電車や文字などをよく知っているけれど、いつもその話ばかりなので気になります。
- A 自分の好きなことや興味・関心のあることに夢中になれる集中力のあるお子さんです。しかし、周りの状況や相手の状況に関係なく、自分の興味・関心のあることを一方的に伝えようとするのは気になります。ある特定のこと(もの)に高い関心をもつあまりに他のこと(友達がする遊びなど)にあまり関心を示さず、自分の興味・関心のあることだけを優先している可能性があります。同じことを何回も話したり、大人には興味のないことであったりしても、まずはお子さんの話をじっくりと聞いてあげることが大切です。一方で、集団の中で状況に応じて自分の行動をコントロールすることは、大人に近づいていくための練習であると考えると、他者との関わり方や他者の気持ちへの気づきを育てていく必要があります。何回話したら終わりといったように、時間を区切る習慣をつけていくことから始めましょう。
- Q 勝ち負けのこだわりが強く、みんなと楽しく遊べません。
- A 「勝つこと」にこだわるあまり、負けるかもしれないことに予測が及ばないままゲームに参加してしまい、負けるとすぐにかんしゃくを起こすということがあります。また、勝ち負けが、遊びの中だけのことに過ぎないという状況の理解が難しく、「負ける=ダメなこと」と思い込んでしまうこともあります。例えば、負けた方が、先に好きなものを選べるじゃんけんゲームや勝ち負けのないゲームをやってみる、大人や友達が負けたときのモデルを示す、負けたときに少しでも自暴自棄にならずにいられたら、すぐにほめる、認めるといったことを繰り返すうちに、次第に克服できるようになる場合があります。
- Q 落ち着きがないことが心配です。
- A 落ち着きのない行動には、様々な理由が考えられます。例えば、気になるものに触ってみたい、活動の意味や勉強がわからないためにその場から逃げ出したい、もっと周囲から注目されたいなどがあります。また、生物学的な原因によって特に理由なく落ち着けない場合もあり、叱ったり注意したりするだけでは効果がありません。危険性の高い状況や場所では、どのような行動をとる必要があるのか、例えば、道路は歩道か道の端を歩くこと、交差点では必ず両側を見て信号を確認することなどを辛抱強く繰り返し教えましょう。じっと落ち着いていることに、困難を強く感じているお子さんの気持ちを受け止めましょう。そして、どうすればよいのかを具体的に伝えましょう。「○○しましょう」と約束やルールを具体的に紙に書くのもよいです。落ち着きがないお子さんは、どうしても叱られることが多くなりますが、ほとんどの場合、逆効果です。普段の何気ないことも含め、例えばじっとしていることが10秒間長くできるようになったことでも、できていることや頑張っていることをほめることが大切です。
- Q 忘れ物が多いことが気になります。
- A 持ち物を間違えずに用意する、用意したものを忘れず持って行くためには、まわりの人たちも確認のための声をかけるなどして本人に意識づけをすることが大切です。持ち物リストの活用なども有効です。用意ができたらチェックをつけ、大人に確認してもらいます。はじめは大人がリストを作成しますが、少しずつ自分でも作れるように教えていきます。持ち物が多いときは、大きな袋やバッグにすべて入れるようにします。また、家なら玄関、学校なら机の横などに、用意ができたら気づきやすい場所にいつも置くようにします。
- Q 体育や運動が苦手です。
- A 手足を同時に動かしたり、相手や物との距離感を把握したりすることが苦手であることが、その背景として考えられます。例えば、ボールを投げるのがぎこちないのは、片手を大きく振り上げると同時に反対側の足を一歩踏み出すといった手足や身体全体の動きをうまく協調させることが難しいためです。また、ドアや隙間を通り抜けるときに、よくドア枠などにぶつかるのは、その隙間と自分の身体の幅の感覚をとらえることが難しいためです。まずは、お子さんが楽しく参加できる遊びや運動の機会をつくるとよいでしょう。例えば、風船を羽の代わりに使う風船バトミントンは、風船の動きがゆっくりであるため、素早い動きについていくことが難しいお子さんでも楽しく取り組めます。また、段ボールやトンネルなどをくぐったりする遊びは、身体感覚を育むことができます。
- Q 手先が不器用で、コンパスを使ったりすることや図工の工作などで手こずったりています。何か家庭でできることはありますか。
- A 手首をひねらずに作図できるコンパスや塗りやすいのり、書きやすい三角形の鉛筆など、一工夫された文房具が市販されています。どれがお子さんにとって一番使いやすいかを試してみるとよいでしょう。また、家庭でのお手伝い(洗濯物たたみ、茶碗洗いなど)も、手先の動きのトレーニングになります。少し頑張ればできる程度の難しさの課題が、一番、子どもを伸ばしてくれます。適度に大人が支援しながら、練習する機会を日々の生活の中で取り入れるとよいでしょう。
- Q 小学校4年生ですが、音読で「め」と「ぬ」を読み間違えたり、読み飛ばしをしたりします。日常の会話は普通にできるのに、なぜなのか不思議です。
- A これは、お子さんがやる気がなく頑張っていないからではなく、お子さんの脳の機能の偏りのために起こります。「聞く」、「話す」能力に問題がない場合、「読み間違い」が生じる背景には、形を正確にとらえることが難しいことや文字から音(読み方)をイメージすることが難しいことが考えられます。また、「読み飛ばし」の背景には、一文をどこで区切ったらよいのかわからず、一文字ずつ目で追ってしまったり、自分が今どこを読んでいるのかが途中でわからなくなり、単語や行を飛ばしてしまったりして文章をスムーズに読めないことがあります。
中学校・高校段階のお子さまの症例
(国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育支援センターHPより転載)
- Q 音にひどく敏感なことが気になります。
- A 日常生活の中で、音に敏感な子どもが穏やかな生活を送ることは、とても大変なことです。音そのものが苦手な子どももいますが、子どもによっては、突然の鳥の鳴き声や道路工事の音などが気になったり、嫌だったりする場合があります。また、通常は気にならないようなざわめきが気になって、仕方がない場合もあります。こうした子どもには、耳栓やノイズキャンセリングヘッドフォンなどを使用して音を緩和したり、気持ちを落ち着かせることのできる環境を設けたりすることで安心して生活できる場合があります。音に敏感なお子さんと生活することは、家族にとってもとても大変です。お子さんの苦手な音を把握できれば、お子さんの前ではその音を極力出さない、苦手な音が聞こえる場所は避けるなどといった対応をとることができます。加えて、音に対して過敏になる背景には、不適切な環境のために強い不安や抑うつ状態にある可能性が考えられます。こうした場合には、不安を喚起させない環境づくりに努める、お子さんが気持ちを落ち着けることができるスペースを作るなどして対応することが求められます。
- Q 少し注意をするだけで反抗的になるので困っています。
- A 思春期になると、急に口数が減り親への態度が反抗的になることがあります。こうした子どもの様子は成長過程の1つですが、親などの大人からの関わりに過敏に反応する子どもがいます。こうした子どもは、これまで周りから注意されたり、叱責を受けたりした経験を繰り返してきたことにより、わずかな注意を受けただけでも反抗的になることがあります。こうした経験を積み重ねると、子どもは自分を嫌いになり、さらには自分が居てはいけない存在であると感じるようになります。注意をしたからといって、自分の努力だけではどうにもならないことがあります。お子さんに注意をするよりも、小さなことでも本人のよさを見つけたり、少しでもよい方向に努力したり、さらには努力する意欲を見せるだけでもほめることが大切です。これによって、お子さんは自分のことが少しずつ好きになり、自分が変われるかもしれないという希望をもてるようになります。また、お子さんの反抗的な態度を助長しないために、親御さんが感情的にならず冷静に対応することが必要です。
- Q 中学校に入ったら、学習についていけなくなりました。どうしたらよいでしょう。
- A 中学校は、小学校と異なり教科担任制で授業が行われます。教科によって担当が変わるため、担任によって指導の仕方が異なります。変化に対応することが苦手な子どもは、それだけでもストレスに感じます。また、小学校にはなかった新たな教科が加わり、戸惑いを感じているのかもしれません。担任の先生に相談し、学習の進度も含めてお子さんが何に困っているのかを確認してもらいましょう。その上で、家庭学習の進め方についてもアドバイスを受けるとよいでしょう。
- Q 中学生になっても、まだ親が声をかけないと部屋を片づけません。どうしたらよいでしょう。
- A こうしたお子さんは、部屋を「片づけない」のではなく、どのように、また、どこに物を片づければよいかが「わからない」と考えられます。こうした片付けが苦手な子どもの中には、片づけ方を身に付けることが難しい場合もあります。「ちゃんと片づけなさい」では、どうしたら良いのかが全くわかりません。一度にきれいに片づけるように求めるのではなく、少しずつ片づける習慣を身に着けるようにするとよいでしょう。最初は、学校で使うものと家庭で使うものとを分けて片づけることから始め、次いで学校の勉強で使うものと部活などのその他で使うものとに分けて片づけるようにさせましょう。このように順を追って、少しずつ分類し整理できるようにしていきましょう。また、片づけ方を具体的に示すことも大切です。どこに何を置くのかを決め、収納場所に文字やマークなどの手がかりを示すことは1つの方法です。また、よく使うもの、あまり使わないものというように分類して収納し、使用したらそこに戻す習慣をつけましょう。お子さんが自ら片づけることができたら、そのことをほめてあげることが大切です。
- Q 中学生になっても、まだ学校の持ち物の準備ができず困っています。
- A 担任の先生に協力を依頼して、持ち物はすべて黒板に書いてもらい、それを見ながらメモ帳などに確実に書けているかを確認してもらうようにしましょう。また、それぞれの授業に必要な教科書、ノート、問題集などを1セットにして、クリアケースなどを用いてまとめておく方法もあります。家庭では、次の日の予定を書いたメモ帳を親御さんが一緒に見て、授業で必要なものを確認しましょう。初めのうちは声がけをし、最終的には一人でできるように習慣化させていくことが大切です。自分から持ち物を準備しようとしたり、実際に一人でできたりした場合は十分にほめてあげましょう。
- Q もともと整理は苦手なのですが、中学生になってノートや筆記用具、さらには教科書までなくしてきます。何度言い聞かせても改善しません。どうしたらよいのでしょうか。
- A 中学生になると、教室を移動しての授業が増えます。授業に必要な教材などを整理できないまま慌てて移動すれば、教室にそれらを置き忘れたり、移動中に落としたりすることがあります。ノートなどをなくしてしまう原因を見つけ、それを少しでも防ぐための工夫や対応をお子さんと一緒に考えましょう。例えば、教科ごとにクリアケースなどを用意し、それに教科書、副教材(問題集)、ノート、下敷きなどをひとまとめにしておくことも一つの方法です。お子さんが私物を頻繁になくし、なかなか改善が見られない場合には、友人関係など物を整理することの難しさ以外に他の理由がないかを学級担任に確認してみましょう。
- Q 制服を着ることが嫌いなようで、中学校に入学してから「苦しいから着たくない」とわがままを言います。どうしたらよいでしょうか。
- A 小学校の時、お子さんは、どのような服装で学校に通っていましたか。ゆったりとした上着やズボンではありませんでしたか。わがままで制服を着用しないのではなく、肌触りや体の締め付けといった感覚上の敏感さがあるために着用することが難しい子どもがいます。お子さんが、なぜ制服を着たくないのか、まずはその理由を知ることが大切です。その上で、担任や生徒指導担当の先生と相談しましょう。例えば、制服を着用する時間帯と着用しなくてよい時間帯をつくってもらうことで、安心できる場合があります。また、ワイシャツの襟やそで口には糊付けをしない、サスペンダーの使用を許可してもらうなどの対応も考えられます。
- Q 高校生になり毎月の小遣いを増やしたのですが、渡すとすぐに使い切ってしまいます。中学生の時は、そのようなことはありませんでした。どうしたらよいでしょう。
- A 子どもが自分でお金の管理をできるようになることは、社会人になる準備として大切なことです。もらった小遣いを使い切ってしまう理由には、親が稼いだお金をもらっているという自覚がないことや、自分が欲しいと思ったものを衝動的に購入してしまうことなどが挙げられます。高校生になると友達との付き合いが増えたり、電車通学の場合には最寄り駅周辺の店に立ち寄る機会が増えたりします。お子さんが浪費をしてしまわないように、小遣い帳をつけさせましょう。細かく支出の内訳を記入することが難しい場合は、ノートなどにその日のレシートを貼り付けるだけでも構いません。計画的に小遣いを使用できたかを確認して、次の小遣いを渡すようにしましょう。また、学級担任に同級生などとの交友関係について聞いてみることも必要です。
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