日本の食生活が危ない! 急げ「和食」回帰 その秘策とは?

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人の命と人格の根底にある食生活

人は、生まれ、成長し、結婚し、子どもが生まれ、子育てし、「家族」が出来、そして「命」を受け継いでいきますが、そのすべての根底にあるのが「食生活」です。

何千年、何万年も続けられてきた、日本の食生活。それが今、深刻な状況にあり、早急の対策が必要だというのです。

『カルシウム不足はキレやすくなる』ってやっぱり本当?

本当のようです。学研の「おやこCAN」というページに、『キレる子を作らない食事とは…』という教育コラムがあり、そこにはこう書いてあります。

 最近は、小学校低学年の子どもや幼児の中にさえも突然キレて暴れる子どもが出現してきています。恐ろしいことですね。キレる原因はいくつか考えられますが、日常の食事も影響していることはご存知でしたか。

 どうやらスナック菓子や清涼飲料水などのとりすぎがひき起こすカルシウム不足が原因の一つのようです。骨や歯の成長に欠かせないカルシウムの不足が「キレる」ことにも関係しているのです。カルシウムが不足すると神経や脳の安定した状態の維持が難しくなり、イライラ、情緒不安定、神経の興奮が抑えられないなどの現象につながりやすくなるのです。

一方で、子どもだけではありません。2017年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待件数は、前年度比1万1,203件(9.1%)増の13万3,778件(2017.8.30日速報値)にものぼったそうだです。1990年度の統計開始以来、27年連続で最多更新!との内容です。

ここで、自然食・自然療法の権威で、92歳になっても現役の 東城百合子先生著『長生きできる食生活』(育鵬社)から、食事と感情との関係の説明を一部抜粋してみます。

 ワシントン大学ではネズミに白砂糖を大量に与えたら、ネズミは異常行動をするようになった。
 そして脳の中のドーパミンの量を計ってみると、砂糖を与えたときにはそれが激減していた。
 ドーパミンは神経刺激の伝達物質で、これが減ると頭も心も行動もおかしくなるようです。
 日本でも異常行動する青少年が増えてきていますが、家庭のしつけも含めて、そのなかには砂糖の摂り過ぎ、不自然な加工食品の摂り過ぎが目立つという調査もあります。(P37)
 例えばビタミンB1が欠乏すると、体はだるく眠くなって、身を重くします。
 するとなまけ者になって、体を動かさないで何かいいことはないか、自分は働かないで人をあてにするようになり、棚からぼたもちでも降ってこないかなどと思い、一攫千金を夢見るなど精神が不安定になります。詐欺師、泥棒などは怠け者です。
 B1の多いものは、未精白穀類・豆類・くるみ・ごま などです。(P116~P117)
 人間の場合もビタミンA不足は肝臓の働きを悪くし、胆汁の働きや流れも害しますから、脂肪の代謝がうまくゆかなくなります。
 すると血は汚れ、肝臓の疲労が激しくなり、怒りっぽくなります。
 肝臓がくたびれるとイライラしたり、短気になってどなりたくなります。
 最近ではA不足は知能指数を低くするという報告もあります。
 ビタミンAは葉緑素の多い緑の野菜やにんじん・しそ・ピーマンに多くあります。
 緑は心を安らげる平和のシンボルですが、体にとっても安らぎを与えるのです。(P117)
 カルシウムをつとめて摂る食生活は、神経も丈夫にする。
 大脳の働きも活発になるので、健脳のためにはどうしても必要です。
 カルシウムが足りなくなると脳が酸欠にになりやすく、大脳が疲労します。
 それでイライラしたり怒りっぽくなり、疲れとともに無気力、なまけ根性、集中力を欠き、落ち着きのない性格づくりにもつながりますから重要なことです。(P129)


給食を変えたことで生まれ変わった学校の例

長野県真田町(現 上田市)の元教育長 大塚 貢著「給食で死ぬ!!」(コスモトゥーワン)では、興味深い事例が紹介されています。

1992年、長野県A中学校(生徒数1,200人)に校長であった大塚先生の実体験です。
赴任当時のA中学校は荒れ放題で、生徒が廊下をバイクで暴走、校舎内外にバケツ一杯のタバコの吸い殻が投げ捨てられている、校内で弱い生徒から現金を脅し取る、校外で空き巣事件を起こす、一人暮らしのお年寄りの家で恐喝事件を起こすなどの事件が起こっていたそうです。
学校改革に乗り出した大塚先生は、紆余曲折の末、生徒の38%が朝食抜きで登校しており、また、朝食をとっている生徒にしても、コンビニ弁当、菓子パン、果汁なしの清涼飲料水などがメインであることに気づかれました。

 朝食を摂らないと、なぜ学習で無気力になったり、いじめ問題を起こしたりするのでしょうか?
 少し考えると分かることですが、中学校には歩いて登校します。
 朝の部活があり、朝の清掃があり、体育やその他の授業があります。
 その子どもがエネルギーを使うべき重要なときに、食べていないから力が湧いてこないわけです。
 子どもたちは夕食をだいたい夜の7時から8時に摂り、朝食抜きで登校したら、給食は昼の12時半ごろ…。
 つまり16時間くらい何も食べていないのですから、無気力になりますし、イライラしてくるのは当然です。
 だれでもお腹がすくとイライラしますが、子どもたちは特に顕著です。
 イライラのはけ口はいじめとなり、あるいは無気力になってしまうのです。(P24)

そこで、学校の給食を思い切って「完全米飯給食」に変えたそうです。「パン」ではなく「ごはん」です。
すると、A中学校の生徒たちは以前とは見違えるほど落ち着き、驚くことに『熱心に本を読むようになった』のだそうです。当然、学校全体が落ち着き、学力も目覚ましく向上したとあります。
その後、「完全米飯給食」の取り組みは、A中学校だけではなく、長野県真田町全体に広がっていきました。学校給食の90%は、無農薬・低農薬の食材を使用し、意図的に青魚を増やされています。青魚には、脳の働きを活発にし、記憶力や学習能力を高める働きがあるDHA(ドコサヘキサエン酸)や、血液を浄化する働きのあるEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれているからです。毎日小魚を食べるようにし、カルシウムや鉄分を補給しました。さらに、米飯に発芽玄米を混ぜるようにしました。発芽玄米に含まれる「ギャバ」は血をきれいにし、血管や内臓を丈夫にするのだそうです。

その結果、

  1. アトピーの子どもが激減した
  2. 非行が減少した
  3. 不登校生徒が減少した
  4. 塾に通う生徒は少ないのに、全国レベルでも高学力になった

という変化がみられたとされています。

ここまで来たのか!日本の食卓

日本人の食の文化研究を続けておられる、大正大学客員教授 岩村暢子先生著「残念和食にもワケがある―写真でみるニッポンの食卓の今」(中央公論新社)によると、現代の日本の食卓の驚くべき現状が書かれています。

コメの朝食は4人に一人!
4人に3人が「パン食」、という意味ではありません。

いまの家庭で「朝食は何を食べる?」と尋ねるとき、それは「おかず」の話ではない。「菓子パン」「トースト」「シリアル」「ラーメン」「パスタ」「おにぎり」「白米」などのどれがいいか、つまり「主食」を聞かれているのだ。(P15)

家族共通の朝食がない!
「お父さんはそばめし、お母さんは菓子パン、子どもたちはホットサンド」とか、「お父さんはおにぎり、お母さんはスパゲティ、子どもはコーンフレーク」「お父さんはラーメン、お母さんはシリアル、長女は焼きそばパン、長男は焼きトウモロコシ」など、家族一人ひとりバラバラというのが普通だ。(P18)

コメよりパン!

総務省の「家計調査」によると、2011年一般家庭における一世帯当たりのパン年間支出額が、コメの年間支出額を初めて上回りました。そしてその後も、パン支出額・消費量と、コメ支出額・消費量の差は、開き続けています。主婦が、コメよりパンを好む傾向について、こう説明があります。

多くの主婦たちが「ご飯にすると、おかずを作らなければならなくなるから、余裕がないときは面倒なんです」と笑う。
例えば、朝食に「トーストとコーヒー」だけ出しても全く違和感がないのに、「白いご飯とお茶」だけだとなんだか侘しく感じる。(P22)

味噌汁は食べない!

岩村先生によると、味噌汁を作っているのは、一家庭当たり平均週2回だそうです。しかも「週1回以下」の家は48%にものぼります。

魚を食べるのは週1回!

頭をよくする、体にいい、と言われている魚ですが、これも減少傾向が続いています。

増える子どもの糖尿病とその理由

以前は「成人病」と呼ばれていた糖尿病などの病気、今では「生活習慣病」と呼び名が変更されました。理由は、成人だけではなく、子どもがこうした病気にかかるケースが増えてきたからです。

糖尿病とは、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が異常に高くなる病気です。血糖値が高いまま何年も経過すると、全身の血管が傷つき、三大合併症(糖尿病未梢神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症)をきたす恐れがあり、失明や腎不全による透析、足の切断のほか、脳梗塞や心筋梗塞などさまざまな病気を引き起こす可能性があります。
糖尿病には1型と2型があります。1型は、インスリンが分泌されなくなることで発症するものです。2型は、遺伝、過食、肥満、運動不足、ストレスなどが原因で発症されます。糖尿病患者の約9割は、2型だと言われています。

子どもの糖尿病の場合、小学生までは1型糖尿病が多く、中学生になると2型糖尿病の方が多くなっているそうです。その理由のほとんどは、食生活の欧米化や運動不足からくる「肥満」とのことです。

和食が体にいいことは分かる でも…ムリ!

日本の子どもたちが、健康で丈夫に成長していくためには、『心と体によい食べ物』を摂取といいことは、既に多くの方が認めています。日本のすべての家庭の朝食が、一汁三菜の和食になればいいわけです。

でも、どうしてそれが実現しないのでしょうか?その理由も簡単です。日本人、とりわけ主婦の方に余裕がなく、時間がないからでしょう。大半が共働きの昨今、家事や育児の負担はあいかわらず女性の仕事とされています。仮に夫に理解があって、協力したとしても、昔のような専業主婦がしていた家事と同じことを継続することには限界もあります。

それでは、私たち日本人は、どうやって、食生活を改善し、虐待やいじめ、ストレス、肥満、生活習慣病から抜け出すべきなのでしょうか?


まずは子どもの食生活改善から

すべてをガラリと変えることは出来ません。個々の家庭での頑張りにも限界があります。そこで、地域や行政が主導して、次の方法から始めてみることを提案します。

秘策その1

和朝食給食制度の導入

幼稚園、保育園、小学校、中学校に「朝給食」を導入します。ご飯とみそ汁、あとは魚、卵、野菜など少々の軽い内容でもOKです。

秘策その2

完全米飯給食制度の導入

お昼の給食も、もちろん完全米飯給食です。その効果の素晴らしさは、ご紹介したとおりです。

秘策その3

学童保育とセットの和夕食給食制度の導入

共稼ぎでお忙しいご家庭などには、希望に応じて和食の夕食給食を提供します。そうすると、1日の3食を学校などで子どもも出てきますが、体に悪いファストフードなどばかりを食べ、様々な障害に苦しむよりもいいでしょう。

また、親の負担が軽くなるわけですし、生じてきた余裕で、出来る限り、家族団らんの食事をとることが増えるかもしれません。

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